「うつ病を知る、治す」その6 知っておきたいうつ病のタイプ

2016年07月07日


誰でもかかりうる病気「うつ病」についてお伝えしてきた本稿も、最終回。今回はうつ病のタイプを紹介しながら、昨今よく話題にのぼる「新型うつ病」「産後うつ病」の特徴について説明します。

 

うつ病は大きく3つのタイプに分かれる


うつ病は主に次の3つのタイプに分類されます。

(1)抑うつ症状が続く『大うつ病』
一般的に『うつ病』というときに指すのがこのタイプです。『大うつ病』とは、「うつ病の中でも主たるもの」という意味。強い抑うつ症状が続くのが特徴です。

(2)抑うつ状態と躁状態を繰り返す『双極性障害』
このタイプは、強い抑うつ状態と、気分が高揚する躁状態、この「二つの極」を併せ持つことから『双極性障害』と呼ばれます。抑うつ状態のときには一般的なうつ病と同様の症状を示しますが、躁状態になった際は、活動性が過剰に高まって多弁になり、自信過剰に陥るなどの特徴がみられます。

(3)軽い抑うつ状態が長く続く『気分変調症』
『大うつ病』と比べて抑うつ症状は軽いものの、それが長期間にわたって続くタイプ。抑うつ症状や、それに伴う体の不調が2年以上続いている場合、『気分変調症』と診断されます。若い人に多いのが特徴で、薬物療法が効きにくいと言われています。

その他、前記の3つに当てはまりにくい特殊なタイプや、誤解されているうつ病もあり、今回はその中から2つのタイプをご紹介します。

 

「新型うつ」と呼ばれる『非定型うつ病』


上司に叱責されると激しい抑うつ症状を示す一方で、余暇は喜々として楽しんでいる――こういう特異な様態を示すことから、若者特有の“さぼり”と受け取られることが多いと話題になっているのが、「新型うつ」です。このタイプは、正式には『非定型うつ病』と呼ばれています。特徴としては、以下のようなものがあります。

・不眠や食欲の減退を伴わないことがある
・自分の好きなことをするときは気分が晴れている
・責められると極端に落ち込み、通学や通勤ができなくなることがある
・褒められると一時的にうつ症状が消える

本人の考え方や性格に甘えや自己愛が強い傾向が見られることから、“さぼり”や“わがまま”と捉えられることが多く、本人にもうつ病の自覚はありません。
『非定型うつ病』は薬物療法だけでは治りにくいと言われ、自らの感情や意識のパターンを知り、考え方の偏りを正して抑うつ状態に陥りにくくする『認知療法』と併用するのが効果的だとされています。また『大うつ病』とは違って、休養がよい方向に働くとは限らないのも特徴で、倦怠感があっても、規則正しい生活を送りながら自分でやれることはやるというアプローチが一般的です。
『非定型うつ病』は素人には判断が難しい病ですので、できるだけ早く専門医にかかることが大切です。

 

出産後の女性に多い『産後うつ病』


出産を経験した女性の10%以上がかかると言われる『産後うつ病』はいま、社会問題化しています。
『産後うつ病』は、マタニティーブルーとは意味合いが違い、産後3~6カ月の期間に起こるものを指します。基本的な症状は『大うつ病』と似通っており、気分が落ち込む、不安感、イライラ、疲れやすい、興味がわかない、不眠などがあげられます。これらの不調に加え、育児や家事が思いどおりにできないことに罪悪感を覚え、自責の念に駆られるのが特徴です。
治療に関しては、医師の処方を受けると同時に、育児や家事が心理的な負担にならないよう、周囲がサポートすることが大切です。夫や母親にまず打ち明けて、遠慮せずに協力を求めましょう。

(ライター/三好達彦)

<参考図書>
野村総一郎『うつ病をなおす』(講談社現代新書)/野村総一郎総監修『うつ病』(別冊NHKきょうの健康)/大野裕『最新版「うつ」を治す』(PHP新書)/吉野聡『それってホントに「うつ」?』(講談社+α新書)/笠原嘉『軽症うつ病 「ゆううつ」の精神病理』(講談社現代新書)/桑崎彰嗣監修『家族が「うつ」かもしれない、と思ったら』(オレンジページOTONA生活科)

<参考サイト>
こころの陽だまり』(ファイザー株式会社)
うつ病 こころとからだ』(塩野義製薬、日本イーライリリー株式会社)

 

コメント

この記事へのコメントはありません。

この記事の関連ワード

新着の記事

Sidekibit b fefa1c4699a4986147a527399409cd3c5417e373a7c81d98947fd955971daf54

人工知能KIBITが、あなたに合った記事をおすすめします。 初めてKIBITに教えた時は翌朝までお待ちください。