「うつ病を知る、治す」その2 うつ病をどう判断すればいい?

2016年03月15日

 

いまや国民病といわれるようになった「うつ病」。前回はうつ病がどんな病気であるかをお話ししました。第二回となる今回は、どんな症状が出たらうつ病と判断されるのか、また、受診の際の注意点についてガイドします。

抑うつ症状が「強く」「長く続く」のが特徴

 

うつ病の特徴は、「非常に強い憂うつ感(抑うつ症状)」が強く出て、しかも長く続くことです。それによって仕事、家事や学業をはじめ、生活全般に支障をきたすようになります。
仕事や人間関係のトラブルや学業の不調、失恋など、憂うつな気持ちは日常生活を営むなかで誰でも感じるものです。ただし多くの場合は、トラブルが解決したり、とても嬉しい出来事があったりすれば、自然と消えていきます。健康な心は「復原力」を持っているのです。
しかし、うつ病にかかった患者さんは、心の「復原力」が失われているため、悩みの種だった問題が解決しても、また本来は喜ばしいと思われる出来事が起こっても、憂うつ感が消えることなく続きます。
うつ病は発症してすぐそれと気づくよりも、ある程度の期間が経過して、症状から抜け出せない苦しみによって気がつくことが多いと言われています。一般的に、症状が出はじめてから2週間ぐらいで病院を受診するのが適当だとされています。

 

うつ病の判定に使われる基準とは?

 

では、うつ病にかかっているのか、いないのかを、どう判断すればいいのでしょうか。
現在、うつ病の診断には主にアメリカ精神医学会が作成した『DSM-Ⅳ』(ディーエスエム・フォー)という診断基準が用いられています。

○うつ病の診断基準(『DSM-Ⅳ』より)
次の(1)から(9)の症状のうち、5つ以上が当てはまり(ただし、(1)(2)の少なくとも一方は必須)、それらの症状が最近2週間以上続いて苦痛を感じている、あるいは生活に支障をきたしている場合に「うつ病」と診断される。
(1)ほとんど毎日、抑うつ気分が続いている。
(2)何も楽しいと感じることができず、無気力で、興味もわかない。
(3)食欲が低下している。
(4)よく眠れない。
(5)イライラする。
(6)疲れやすく、だるさがとれない。
(7)自分を責めてばかりいる。
(8)集中力が低下し、考えることができない。
(9)繰り返し、死にたいと思う。自殺を口にする。

この診断基準を用いるうえで、「2週間以上続いて苦痛を感じている、あるいは生活に支障をきたしている」という部分に注目してください。それは、症状が「強く出て」「長く続く」のがうつ病の大きな特徴だからです。そして「2週間」という期間が、うつ病かどうかを判断する一つの目安となります。
ただし、受診前の段階であまり厳密にこの基準にこだわりすぎることはありません。比較的症状が軽く、症状の数が少ない「軽症うつ病」(「小うつ病」とも言う)や、現れる症状が似ている「心身症」などの場合もありますし、何より受診の遅れによる重症化を避けるためにも、疑わしいと思った場合には早めに医師にかかったほうがよいでしょう。

 

受診は「精神科」「心療内科」「メンタルクリニック」、どこでもOK

 

では、うつ病の疑いがあると判断した場合、どこで受診すればいいのでしょうか。
以前は「精神科」しか選択肢がありませんでしたが、現在は患者さんの心理的な抵抗を減らすために「心療内科」や「メンタルクリニック」という看板を掲げる病院が増えています。
結論を言えば、受診するのは上記のどの病院でもかまいません。それぞれに得意な専門分野はありますが、いずれも「心の病」を扱っているという意味では変わりないからです。
また、最初に受診する病院の規模でいえば、待ち時間が長かったり、出入りする人が多かったりする大病院よりも、小規模なクリニックや個人病院のほうが足を踏み入れやすいかもしれません。病院選びに迷った際は、各都道府県にある公立の「精神保健福祉センター」に問い合わせてみましょう。
下に<参考>として挙げているホームページ『こころの陽だまり』など、製薬会社のうつ病関連サイトにも病院の情報が掲載されていますので、受診先を決める際の一助としてご利用ください。
最初の受診の際は、医師に症状の客観的な情報を伝えるためにも、また受診者の心理的負担を軽くするためにも、家族や親族の同伴をお勧めします。

 

 

<参考>
野村総一郎『うつ病をなおす』(講談社現代新書)/野村総一郎総監修『うつ病―正しく知って治す』(別冊NHKきょうの健康)/大野裕『最新版「うつ」を治す』(PHP新書)/吉野聡『それってホントに「うつ」?』(講談社+α新書)等。以上、書籍。
『こころの陽だまり』(ファイザー株式会社)http://www.cocoro-h.jp/index.html
『うつ病 こころとからだ』(シオノギ製薬、日本イーライリリー株式会社)http://utsu.ne.jp/

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