大切な人ががん告知を受けたら・・・

2015年12月10日

スローフード・スローライフの地イタリア*シエナより愛をこめて 第6回

1463485884

パートナーのパトリッツィオががんの告知を受けた。どうしてよいのか分からず、ただ、オロオロと怯えて助けを模索する日々。そんな中、友達のクララは気休めの言葉をかけることはせず「覚悟なさい」と言った。クララの語る、試練の意味とは?

いつものことと思ったら・・・がんだった!


パートナーのパトリッツィオは、定期的に尿管結石の手術を行っているので、
今日の手術もてっきり、この類だと思っていた。

術後、彼から携帯にメッセージが入った。
「全て順調。これから、寝る。」

そして夕方に電話があった。
「キヨミ、ちょっと熱があって怠いよ。
二つの知らせがある。まずは良い知らせ。手術が無事に終わった。
そして二つ目は残念な知らせ。また来月に手術を受けなければならない。」

それを聞いた途端、「もしかして、がんなの?」と咄嗟に声が漏れ、
続いて「Si(そうだ)」という返事が返ってきた。

「いつから知っていたの?」
「1か月前から。肝臓に7.5センチ。」

涙をボロボロ流しながら、クララが語ってくれたこと


それから数日、私は陽炎のようにボンヤリしていた。
ある日、友達のクララを訪れた。

パトリッツィオががんだと伝えた途端、彼女は
「オー、神様」
と叫んで私を固く抱きしめ、泣いた。
そして、私の眼から言葉を吹き込むかのように、深く見つめて語り始めた。

「キヨミ、もしもの時のために、覚悟なさい。
試練には、意味があるのよ。あなたは神様に試されている。」
「試練なんていらない。このままがいい。
彼がいなくなったら私も空になる。生き続ける意味が無くなるわ」
「今は意味が分からなくても、
あ~、こういうことだったんだ、って分かる時が来る。
必ずそうなっているの。いいわね。しっかりなさい」

クララは一人でコンサートを企画・実行し、潰れかかったコーラス団体を立て直したバイタリティーある女性。そんな彼女が、涙をポロポロ流しながらそう訴える。

彼女は旦那のピエロを心から愛している。80歳を超えるピエロは時々体調不良を訴え、病院に行くことも多い。

「覚悟なさい。」

それは、彼女自身が日々自分に言い聞かせている言葉だったのだ。

そして・・・新たな一歩がスタートした

1463485884

恐怖からどう逃げるか分からず、オロオロしていたけど、
「覚悟」をもって向き合うことをクララに教えられ、気持ちがキュッと引き締まった。

するとそこから、今日を与えられた感謝と大事な人への愛おしさが心からあふれはじめた。

「誰でもいつかは命が尽きる。だったら、今を濃く生きたい! 愛で満たされたい! 魂をふるわせたい!」

イタリアを代表する画家、ミケランジェロことカラヴァッジョが、影をもって光を浮立たせたように、人生も、影があるから光が輝きを増す。

がんの告知を受け、「人生の光を模索しよう」と決心させてくれたクララの言葉。そこから新たな一歩がスタートしたなと感じる今日このごろです。

プロフィール

1463485884

大多和聖美(おおたわきよみ)
トスカーナ州・シエナ在住。ソムリエ。ワインショップ、小麦粉アレルギー対応レストランでのコック体験を経て独立。「エノテカトスカーナ」を立ち上げ、日本にワインやオリーブオイルの販売を行う。

コメント

この記事へのコメントはありません。

この記事の関連ワード

新着の記事

Sidekibit b fefa1c4699a4986147a527399409cd3c5417e373a7c81d98947fd955971daf54

人工知能KIBITが、あなたに合った記事をおすすめします。 初めてKIBITに教えた時は翌朝までお待ちください。