ストレスが脳に与える影響は鬱にもつながる?

2015年12月10日

現代に生きる私たちにとって、ストレスは切っても切り離せない身近なものです。特に職場環境をめぐるストレスは深刻な問題となっており、国もメンタルヘルス対策に乗り出しました。そもそも「ストレス」とはどんなもので、どう付き合っていけばいいのでしょうか。

会社でストレスをチェックしてくれるようになる?

 

最近「ストレスチェック」という言葉を耳にしたことはありませんか?
2015年12月1日より、従業員50名以上の事業所に対して「ストレスチェック」の実施が義務づけられることになりました。定期的に労働者のストレスチェックを実施することで、メンタルヘルスの不調を未然に防ぎ、職場環境の改善につなげようという国の施策です。
最近では、ブラック企業・サービス残業・過労死・様々なハラスメントなど、職場環境をめぐる問題も多様化し、深刻な社会問題となっています。変化の激しいこの時代に、職場でストレスを感じるなと言っても無理な話ですね。自殺者やうつ病患者が増えていることも、この「ストレスチェック制度」の義務化の背景と言えるでしょう。
では、ストレスチェックとは具体的にどのようなものでしょうか? 厚生労働省が例として示しているものを見ると、自分の仕事について、「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「時間内に仕事が処理しきれない」「自分のペースで仕事ができる」などの問いに対して「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」の中から答えを選ぶようになっています。ほかにも、最近一ヵ月の状態について、「ひどく疲れる」「仕事が手につかない」「悲しいと感じる」などの問いに答えたりします。
このような「ストレスチェック」は、企業が職場環境の問題を把握するのに役立ったり、従業員が自分のストレス状態に気づくことで「セルフケア」のきっかけになると期待されています。

 

そもそもストレスってどんなもの?

 

自分のストレス状態を知ったり、セルフケアをするためには、ストレスがどんなものなのか知っておくことも大切です。一生懸命働いているだけなのに、何が、なぜ、ストレスを生み出してしまうのでしょうか。実践心理学の立場からストレスのメカニズムを見つめてみましょう。

人は、他の動物たちに比べて身体能力では劣っていますが、様々なことを考えたり、複雑な動きをしたり、感情をコントロールしたりと、優れた知的能力を持っています。これは人間の大脳皮質、特にその三分の一を占める前頭前野が、他の動物に比べて高度に進化しているからです。
前頭前野は、記憶や学習などをコントロールしているところで、ものを考えたり判断したりするときに働きます。また、創造性や感情のコントロールにおいても重要な働きをしています。脳はよくコンピューターに例えられますが、前頭前野は「コンピューターの中枢」といえるくらい、大切なところなのです。

近年、「ストレス」がこの人間の前頭前野に影響を与え、高度な精神機能を阻害することがわかってきました。ストレスによって交感神経が緊張し、脳内ホルモンの神経伝達物質「アドレナリン」「ノルアドレナリン」「コルチゾール」などのストレスホルモンが分泌されるのです。それらが、例えば「メラトニン」に影響を与えて不眠や早朝からの目覚めを引き起こしたり、心のバランスを整える伝達物質「セロトニン」不足を招いたりします。すると、集中力や記憶力が低下したり、何をやっても楽しくなくなってしまったり、果ては体調が悪くなってしまったりと、心と体に大きく影響してしまうのです。
普通なら、時間が経つにつれてバランスが戻るのですが、ストレスが長すぎたり大きすぎたりすると、脳内ホルモンのアンバランスが続き、ひいては「うつ」状態になってしまうこともあるのです。

ストレスとうまく付き合おう!

 

このような「ストレス」の悪影響をなるべく少なくするには、ストレスのメカニズムを理解し、自分なりに効果的な対処法を身につけることです。もちろん、ストレスの原因をなくすことができれば一番いいのですが、それが難しければ、趣味や運動で気分転換をしたり、風呂にゆったり入って鼻歌を歌うなど、意識的にリラックスできる時間と環境を作りましょう。要はもっと自分をいつくしみ、大切にすること。
僕が心理学者としてひとつヒントを差し上げるとしたら、予想外の出来事に出会ったときでも、あえて「想定内!」「予想どおり!」と声に出して自分に言い聞かせてみるという逆転のワザです。言葉の力は強いので、前頭前野に逆の圧をかけちゃう。
自分なりのストレスへの対処法を見つけて、上手に付き合っていきましょう。

プロフィール

 

鈴木丈織(すずき・じょうじ)先生
米国医学・心理学博士。株式会社ビジネスラポール代表。東京大学法学部卒。米国UCユニオン大学にて心理学博士号、セント・トーマス大学で医学博士号を取得し、「Dr. ジョージ」の愛称で親しまれている。実践心理学の立場から、「飛躍する企業と人間」をモットーにビジネスセミナーを主宰。

株式会社ビジネスラポールURL
http://www.business-rapport.org/

コメント

この記事へのコメントはありません。

この記事の関連ワード

新着の記事

Sidekibit b fefa1c4699a4986147a527399409cd3c5417e373a7c81d98947fd955971daf54

人工知能KIBITが、あなたに合った記事をおすすめします。 初めてKIBITに教えた時は翌朝までお待ちください。