大人の『ADHD』を知る、治す(2)『ADHD』と判断する基準とは?

2016年09月12日


会社で多くのトラブルを起こすなど、発達障害の一つとして社会問題化している「大人の『ADHD』(注意欠如多動性障害)」。前回はその障害がどんなものであるかを説明しましたが、今回はその判断は何を基準に行えばいいのかについて、具体的なポイントをご紹介します。

 

何を基準に判断すればいい?


自分もしくは家族や親類などの近しい人が、「大人のADHD」ではないかと思われる場合、何を基準に判断すればいいのでしょうか。
精神疾患のひとつであるADHDには、米国の精神医学会が作成した診断基準「DSM」や、WHO(世界保健機関)が作成した診断基準「ICD-10」(国際疾病分類第10版)が用いられています。ただし、これは専門的であるうえ、非常に詳細なものです。そこで、ここではスペース上の都合もあるため、その診断基準を10のポイントに要約し、具体例を示したものを記します。

 

大人のADHDを判断する手がかり


(1)子どもの頃から注意不足や遅刻をよく注意されていた。
小さい頃から遅刻、忘れ物でよく怒られていた。ただし成績がよかったため、特に問題にされなかった。社会人になってからそれらのことが問題視されるようになった。

(2)物事に集中できない。
ささいな物音や会話に過剰に反応してしまい、気が散って作業に集中できない。ケアレスミスをよく冒す。外出の際にも、通行人などに気をとられ、人や車にぶつかりそうになる。

(3)もの忘れが多い。
傘や携帯電話、カバンなどを置き忘れることが多い。買い物の際、別のものに気をとられて、目的のものを買い忘れる。またネットを見ている時も、いつのまにか目的以外のサイトを見ていたりする。

(4)人の話をじっと聞いていられない。
会議や面談の最中に集中力が保てない。気もそぞろになって、貧乏ゆすりや机を指で叩くなどの癖が出る。これらの行動で、相手や仲間を怒らせたことがある。会話でも相手の話を最後まで聞かず、割り込むことが多い。また、お喋りを始めると止まらなくなり、自分のことばかりを喋る。

(5)物事を計画的に進められない。
複数の作業を並行して進めるのが苦手で、計画を組むことができない。その結果、どれもが中途半端になる。外出の予定がいつもギリギリになり、約束の時間に遅れることも多い。

(6)大切な問題や課題を先延ばしにする。
大事な課題や問題、集中力のいる作業や時間がかかることを後回しにしてしまう。気分が乗らない、まだ時間があるなどと都合のよい言い訳をして、仕事の締め切りを守れない。部屋や机がいつも散らかっている。

(7)飽きっぽい。
行列に並ぶなど、じっと待つことが苦手。会議や面談でも、おとなしく座っていることができない。単調な作業の繰り返しに飽きがきて、長期的な課題に取り組む際も途中で気力が途切れ、最後まで全うできないことがある。

(8)SNSやゲームにハマりやすい。
ソーシャルゲームやSNS(ツイッター、フェイスブックなど)にハマりやすい。ゲーム的な遊びを適当なところで切り上げられず、それを注意されるとカッとなって怒り出すこともある。

(9)衝動的に行動を起こす。
思ったことをすぐ口にするので、しばしば相手を傷つけたり、怒らせてしまう。取るに足りないことで急に怒り出して相手を叱責するなど、感情のコントロールが利かない。よく衝動買いをする。

(10)物事を独断で始めてしまう。
アイデアを出すのは得意だが、それを誰にも相談、報告せずに独断で始めてトラブルを起こす。計画をじっくりと練ったり、同僚や仲間と協調することが苦手で、組織やグループ内で浮いてしまう傾向が見られる。

 

多くの項目に当てはまれば、医師の診断を


以上が「大人の『ADHD』の診断基準」となる主な特徴ですが、これが一つでも当てはまればADHDであるというわけではありません。仕事や社会生活を営むうえで多くのトラブルに見舞われている人のなかで、前記のような特徴が多数当てはまる場合に、疑ってみたほうがよい、正式に医師の診断を受けてみたほうがよい、と考えるといいでしょう。
ADHDは大人になって突然発症するケースはほとんど無く、仕事に就いたことによってその症状が立ち現れることが多いのです。もしADHDが疑われる場合は子どもの頃のことを振り返り、手がかりとなる特徴的な症状が見られたか否か、親の協力を仰ぐなどして確認することも大切です。

次回は、医師にADHDとの診断を受けた場合、どのような治療が行われるのかについて見ていきます。

(ライター/三好達彦)

<参考文献およびサイト>
岩波 明『大人のADHD-もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)
司馬理英子『大人のADHD』(講談社+α文庫)
『大人のためのADHD.co.jp』(日本イーライリリー株式会社)
http://adhd.co.jp/otona/
田中康雄『以外に多い“大人の”発達障害』(PRESIDENT Online)
http://president.jp/articles/-/16285
『LITALICO(りたりこ)発達ナビ』(株式会社LITALICO)
https://h-navi.jp/

 

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