音楽は脳に働きかける!不調改善と健康促進の効果について

2015年11月04日

聴くだけでスッキリ! Dr.藤本の「音楽は名医」(全12回) 第1回

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音楽の力が、近年科学的に証明されるようになってきました。音楽は聴覚を刺激し、脳に働きかけます。それにより、例えば痛み、悩み、不眠といった心身の不調が和らいだり、美肌やアンチエイジングといった効果を期待できることが科学的にわかってきたのです。このコラムでは、音楽を聴くことで得られる効果とその仕組みについてお話していきます。

音楽の力が“見える”ようになった21世紀

音楽を聴いているとき、脳の中でいったい何が起きているのかご存知ですか?

様々な研究者や医療関係者が音楽の持つ力や可能性について興味を持ち、これまで研究を行ってきましたが、サイエンスの世界ではこの10年ほどの間にファンクショナルMRI(fMRI:磁気共鳴機能画像法)という技術が確立・進歩して、音楽がどのように脳に作用しているのかをより科学的に解明できるようになりました。

fMRIは、磁石の力で脳を調べ、ある特定の刺激が脳に与えられたとき果たして脳の中の一体どの部分がより活発に働いているのか、それを画像化することができる技術・機器となります。これにより音楽の力もまさに“目に見える”ようになったわけです。

今後さらに詳しい研究が進めば、人間にとって音楽がいかに名医となり良薬になり得るのかがより科学的に、そして医学的にも明らかにされていくことと思います。

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音楽は脳に働きかける!

視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚・・・という五感の中で聴覚の刺激は脳の中枢に直接働きかけます。例えば黒板を引っかくような嫌な音を耳がとらえることによって及ぼされる不快感は絶大なものです。

ちなみに視覚では、いったん脳で画像が整理され好き嫌いを判断しますので、見たくなければ目を閉じることができます。しかし、音は違います。これは古来より音を耳で捉えることがそれだけ危険を察知するのに重要だったからだと考えられています。

音楽はこの「音」の集大成となります。そのため音楽が脳に与える影響というのはとても大きいのです。

人間の脳は、主に新脳と旧脳とに分かれます。考えたり言葉を話したりするときに使われる新脳は、理論と倫理を組み立て理解し整理することに長けており、人間的営みや社会生活を送る上で必要不可欠です。これに対し旧脳は食欲や呼吸、感情など本能をコントロールしていて、生命の維持に欠かせない役割を担っています。

音楽の素晴らしい点は、この新脳・旧脳どちらにも働きかけることが出来ることです。新脳と旧脳どちらもが良いバランスを保ち、それぞれの中にある神経伝達物質がより機能的に放出されたり活性化されたりすれば、ヒトはより健康的に、より生き生きと、より幸せに毎日を送ることが出来ます。心と身体の充実を図ることができるのです。

脳は特別クラシックがお好き

私自身、幼少のころよりもう40年来クラシック音楽に慣れ親しんだ暮らしを送っていますが、様々な音楽ジャンルの中でもクラシックというジャンルは少々特別なものであると思っています。

リズム・メロディ・ハーモニーが三位一体となり、オーケストラによって演奏されることを前提とした楽譜により幅広い周波数の音が含まれ、旋律も複雑かつ豊かです。一曲を奏でるのに必要とする時間数も圧倒的に長く、ストーリー性溢れる構成力が下地にあり、またひとつひとつの楽章に前後を結ぶ理論展開が置かれ、一音でも順序が逆になるとその理論が崩れてしまうタイプの音楽でもあります。

楽曲の中に様々なアイディアとモチーフが隠されていて、世代を超えて解釈が楽しまれています。慣れ親しむまである程度の時間と経験は要しますが、そもそも脳という臓器は複雑なものを好み、楽なものや安易なものには飽きやすいという性質を持っています。

つまり、クラシックのような難解なものを脳は喜び、好むのです。

脳に刺激を送るために「音の集大成」である音楽を使うのであれば、その最高峰に位置するクラシックほどぴったりなものはないでしょう。

ワーグナーやラフマニノフ、ブラームス、ブルックナー、ヴェルディ・・・など、ふり返れば勉強や研究を始め人生に訪れた様々なシーンにおいて、こうしたクラシックの名曲がとても役立った経験を僕自身豊富に持っています。

悩みを抱えていた思春期には、チャイコフスキーの交響曲第5番を何度も聴き、心に希望を持つことができました。情緒の安定や安眠、創作活動において今でも欠かすことができません。幼少から思春期にかけては、なぜクラシックにこれほど自分は助けられているのか深く考えたこともなかったのですが、医師となってから学んだ専門の分野で音楽が痛みを軽減する理論を知るに至り、なるほどと膝を打った経験があります。

今は多くの方が生きづらさを感じる時代であると言われます。また、病院に行っても原因が特定できない不調を抱えている方も多いと聞きますが、そうした方々にもぜひこうした身近にある音楽を有効に活用していただきたいと思います。そして普段クラシック音楽にあまり慣れ親しんでいない方は、ぜひこの機会に「脳が喜ぶこの一曲」というクラシックの楽曲を見つけて頂きたいと思います。

特に日本で生まれ育った方であれば、小学校や中学校で行われる運動会などを始め、TVのCMやドラマ、バラエティ番組など身近な場所で意外とクラシックの名曲は使われていますから、クラシックをなんとなく苦手だと思い込まれている方でも実際聴いたことのある曲、口ずさむことのできる楽曲は多いものです。音楽を暮らしにうまく取り入れるきっかけを見つけてみてくださいね。

次回からは、心身の不調や美容などテーマ別に音楽の効果についてお話していきます。

プロフィール

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藤本 幸弘(ふじもと たかひろ)
クリニックF院長、医学博士、工学博士

麻酔科医として勤務した痛み治療外来でレーザーによる痛み治療と出会い、レーザー専門医の道に転向。現在は主にアンチエイジング領域におけるレーザーに特化した研究を行っている。海外で精力的に研究発表を行う中、自身の趣味でもあるクラシック音楽の科学的効果についても独自に検証を行う。本年ユニバーサルミュージック社よりCD「聴くだけでスッキリ」シリーズを刊行。クリニックFでも自ら選曲を行い診療に役立てている。

参考サイト
クリニックF http://clinic-f.com/
藤本先生ブログ http://clinic-f.com/blog/

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チャイコフスキー 交響曲第5番
ゲルギエフ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

悩んだときに何度も聴いた名曲を存分に堪能できる名演としてお勧めの一枚です。
演奏は繊細かつ情熱的。悩みを乗り越え前向きに生きるための一曲となるでしょう。

品  番:UCCD-50062
価  格:¥1,851(税込)
レーベル:デッカ
発売日:2009年5月20日
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
http://www.universal-music.co.jp/p/UCCD-50062

コメント

    Empty G

    2015年11月07日 15時31分

    Empty G

    音楽で不思議だなと思ってることがあります。

    それは黒鍵。(笑)
    なぜ二つと三つなのか。

    なにか大きなカギがあるのではないかと思っているのですがねぇ。
    なにか気持ちの良くなる理由がある?


    ゲスト

    2015年11月06日 23時08分

    ゲスト

    チャイコフスキーの5番は高校生の頃に好きでよく聴きました。歯医者さんに行けば親知らずを抜く時にはモーツァルトの小編成の曲を流してくれたものです。

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