うつりやすいプール熱のウイルス:つらいアデノウイルス感染症

2016年07月13日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第25回

 


夏のアデノウイルスは冬のインフルエンザのように、「うつりやすく」「つらい」感染症です。いわゆるプール熱(咽頭結膜熱)が有名だと思いますが、重症度はさまざまです。特効薬がないので、周囲で感染があったら本気で予防してください。

 

アデノウイルスの種類はいろいろ


なんと50種類以上あって、咽風邪、角結膜炎、腸炎、膀胱炎、そして肺炎や脳炎なども起こす手ごわいウイルスです。とはいっても多く見かけるのは咽頭結膜熱(いわゆるプール熱)などの「咽と目の風邪」です。目の症状に乏しく、咽の痛みと高熱だけのことも多いようです。
逆に、目の症状が強く、顔の印象がガラリと変わってしまうこともあります(流行性角結膜炎)。本当につらい感染症です。その次に多いのは下痢だと思います。夏風邪ではありますが、一年中みられます。

 

咽頭結膜熱(プール熱)とアデノウイルス感染症の違い


プール熱はアデノウイルス感染症の一種です。咽や目が赤くなって熱が出た場合に、プール熱と呼ばれます。熱は39度以上になることも多く、5日間から1週間の苦痛を強いられることもしばしば。抗生物質などの薬が効くわけでもなく、実にじれったい思いをします。うつりやすいから無理な復帰もいけないのです。職場で何人かかかったときには、しばらく仕事が猛烈に忙しくなって大変でした。

 

どんなときに受診を考える?

 


もちろんどんな症状でも心配があれば受診していいと思います。
とはいえ下記に目安を挙げておきます。

①38度以上の熱が一日以上続くとき
小学生以上・大人が軽い風邪で高熱を出すことは珍しいので、原因を知りたくなります。乳幼児だったら風邪かもしれませんが、状態を確認したほうがいいでしょう。

②白目が赤い、目ヤニがひどい、目がかゆいとき
刺激による一時的なものでなく、時間を追うごとにひどくなっていくものが要注意。

③血尿がでたとき
実はアデノウイルスによる出血性膀胱炎は自然に治ることが多くて怖くないのですが、他の病気(腎・尿路結石や腫瘍)などが心配なのでぜひ受診を。

④お腹をこわすなどの胃腸炎症状がつらいとき

 

眼科と内科や小児科、どちらへ行くべき?


①目の症状がしっかりあれば眼科にかかることをおすすめします
なぜならアデノウイルスの目の症状は怖いからです。特に眩しさを感じる、白目が真っ赤、目ヤニが多いなど、眼症状が強ければ結膜や角膜の状態を確認すべきだと思います。
炎症が激しい場合にはステロイドの点眼薬が処方されます。ステロイド点眼薬は目への副作用に十分注意すべき薬なので、眼科で経過を見ながら使うのがベストです。

②熱や咽の症状がつらく、目の症状が軽い場合には、まずは内科や小児科へ
発熱のような全身症状がある場合には、ふつうは身全体の診察を最初に行います。目の症状もあれば次に眼科へ行ったほうがよいのですが、特に子連れで小児科と眼科両方行くのは大変だと思います。だから眼症状が軽ければ小児科でも目薬を出すことはあります。ただ、小児科で処方する目薬のほとんどは抗菌薬の点眼です。治療目的というよりも他の菌が増えないように使うものです。それでも聴診器をあてないで咳の処方をするような感じがします。目の症状がひどくなるようであれば、やはり眼科を受診してください。

 

アデノウイルスの迅速検査と診断

 


インフルエンザや溶連菌感染症のように、アデノウイルスにも簡易検査があります。だから高熱があって、「アデノウイルスが流行している」と言えば、検査をしてもらえると思います。この場合、ぜひ診察を受ける前に受付などで、「アデノウイルス感染症かもしれない」と伝えてください。院内感染予防のために助かります。
ただし、わかったところでアデノウイルス感染症には治療法がありません。このため単に熱があって受診してもすぐには検査しないかもしれません。咽が赤ければまず溶連菌を調べるでしょう(こちらは治療法が確立しているので)。だいたい3日くらい熱が続くと、理由をはっきりさせたいので検査することが多いようです。

アデノウイルス感染症は重症になることもあります
原因がアデノウイルスだとわかったとしても、熱が5日以上続く、咳がどんどんひどくなる、もうろうとする、水分がとれない、など、症状が強ければまた診察を受けてください。子どもでは入院を必要とすることも珍しくありません

 

アデノウイルス感染症の潜伏期間と予防


潜伏期間は2〜14日と言われます。しかしウイルスは1ヵ月ほど、特に便から排泄されるようです。オムツ年代を扱う方はしつこく手洗いを。目をこする、涙がつく、などもうつる原因となります。したがってタオルや寝具の共用は避けます食器もだめですよ。

 


アデノウイルスはアルコールよりも次亜塩素酸ソーダ(塩素系漂白剤)での除菌が有効とされます。古いタオルやシーツなどを手のひら三倍くらいの大きさに切って、消毒液をしみこませて使うと便利です。ドアノブなどをどんどん拭いて、捨てていきましょう。

 

集団生活への復帰の目安

①体温37.5℃以下
②飲食ができて、眼症状が消えている
③上記の状態になって2日以上経っている


咽頭結膜熱は学校保健法で出席停止が定められています。回復の条件を満たしたら、診断を受けた医療機関へ行くとよいかと思います。所定の登園あるいは登校許可書があればそれを持っていくのを忘れずに。


どうか無理をせず、楽しい夏を。

参考文献
小児感染症学(岡部信彦編集)
厚労省 保育園における感染症ガイドライン



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