夏かぜ注意!葛根湯だけじゃない、かぜのタイプ別、漢方薬の選び方

2016年06月28日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第27回

 


かぜを引いたかなと感じたら、なんとなく葛根湯に手が伸びている人、いると思います。そんな葛根湯ですが、実はどんなかぜにも万能というわけではありません。夏場に多い「のどかぜ」「胃腸かぜ」には、別の漢方が良いこともあります。今回はかぜのタイプ別、薬局で買える漢方薬の選び方です。

 

なぜ、かぜに葛根湯を買う人が多いの?


夏も冬も、通年悩まされるかぜ。ドラッグストアでは、かぜ薬の売り場は一年中盛況です。なかでも、私の勤務先で最近よく買われているのが「葛根湯」。
かぜの引きはじめや、肩こりでお悩みの方に昔から使われている漢方のお薬ですね。
お客さんにお聞きすると、近年、漢方を使った体質改善が注目されていることもあり、なんとなく葛根湯が良さそうというイメージで手にする方が増えているようです。

確かに、いわゆる西洋薬と呼ばれるお薬は、かぜに対しては熱を下げたり、せきや鼻水を止めたりといった対症療法しかできないので、体の抵抗力・自然治癒力に働きかける漢方は、場合によっては西洋薬より適していることもあります。また、漢方は眠くなりにくい処方のものが多いので、お仕事や受験中の方には重宝しますね。
でも、葛根湯を使うのが良いと言われるかぜは、実は意外と限られているんです。

 

せき、鼻水・・・症状が出てからのかぜに葛根湯はあまり効果がない?!


ゲホゲホと辛そうにせき込みながら葛根湯を買いに来る方。のどが痛くて体があついんだけど、と葛根湯を手に取る方。節々が痛い、なんだか胃の調子も悪いと仰る方・・・このような場合、葛根湯はベストな選択とは言えません。

葛根湯は、体を温めて発汗を促し、病邪を外に出そう、というコンセプトの漢方です。
悪寒でゾクゾクする方や、なんだか冷え気味で肩が重い、という方には大変オススメですが、時間が経ってせきや鼻水といった具体的な症状が現れている方、もともと汗をかきやすい体質の方や熱っぽさの強いかぜにはあまり効果的ではないと考えられています。

こういう時、薬剤師や登録販売者はお客様の相談に乗ってお薬をオススメしています。でも、体が消耗している時にあれこれと薬の説明をされても、頭がぼーっとしているし、早く家に帰らせてくれと思いますよね。
だからこそ、漢方の選び方は元気な時から豆知識として覚えておきたいもの。
家族がかぜ気味の時にも役立ちますよ。

 

 

 

のどが痛くて渇く“熱性”のかぜに葛根湯はNG


漢方では、かぜは“熱性(表熱証)”と“寒性(表寒証)”の2タイプにざっくり分けて考えられます。

● 熱性(表熱証)・・・熱のこもった感じがする、手足がほてる、口や喉が渇く、冷たいものが飲みたい

● 寒性(表寒証)・・・寒気が強い、悪寒がする、手足が冷える、温かいものが飲みたい


のどかぜには「銀翹散(ギンギョウサン)」

夏場に多い「のどかぜ」は、のどが痛み、口が渇いて、体はなんだか熱がこもっている感じという症状ではないでしょうか。とにかくのどが渇いて、冷たい水が飲みたくなるようなかぜです。このような寒気を感じない“熱性”のかぜに葛根湯を使うと、ますます体が熱くなって渇きが進んでしまいます。

そんな時にオススメなのは銀翹散(ギンギョウサン)です。
銀翹散は天津感冒片という名前でも売られており、中国で最も売れている漢方の一つ。とてもメジャーな処方です。名前の由来でもあるメインの生薬「連翹(レンギョウ)」と「金銀花(キンギンカ)」が、体にこもった熱を取り去ってくれます。

特に、熱性のかぜのひき始め3日目くらいまでに使うと良いと言われています。
「あれ、なんかのどがカラカラして痛いな」と思ったら、試しに使ってみると良いかもしれません。

*銀翹散は、正確には日本の漢方ではなく、中国からの「生薬製剤」として扱われています。保険が利かないので、ドラッグストアなど市販での対応になります。

 


せきが残ってしまったかぜには「麦門冬湯(バクモンドウトウ)」

のどかぜが何とか治まっても、せきが残ってまだちょっとのどが乾燥した感じがすること、痰が絡まってもぞもぞすることはありませんか?

そんな時には麦門冬湯(バクモンドウトウ)がオススメです。実は、パブロン50が最近リニューアルされましたが、メインの中身は麦門冬湯になっています。また、トローチとしても売られていることがあるので、意外と身近にある漢方かもしれません。

漢方では、熱や乾燥によって“肺”(呼吸機能や、水分代謝、皮膚の状態、免疫調節に関わる)がうるおいを失っている状態と考え、麦門冬(バクモンドウ)がこれを補いつつせきを鎮めてくれます。加齢で乾燥しがちな高齢者の方の空咳にも使われています。
また人参(ニンジン)や大棗(タイソウ=なつめ)、甘草(カンゾウ)はかぜで弱った体を元気づける効果があるので、特にかぜの治りかけの時期を支えるのに適した処方と考えられます。

 

胃腸かぜで弱ってしまった体には柴胡桂枝湯、鼻水が止まらない時は小青竜湯


悪寒でゾクゾクする“寒性”のかぜでも、葛根湯が合わないことがあります。

 


食欲が出ない、長引くかぜには「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」

葛根湯は、実は胃腸の弱い方にはあまり向かない漢方です。
胃腸が弱めの方の“寒性”のかぜや、食欲不振、下痢などのいわゆる胃腸かぜには柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)がオススメです。
葛根湯も柴胡桂枝湯も、桂枝湯(ケイシトウ)という、“寒性”向けのベースの処方から作られています。つまり、体を温めるという意味では似た系統の漢方になります。

葛根湯は桂枝湯に葛根(カッコン)や麻黄(マオウ)という、より発汗を促し体の張りを取る生薬がプラスされています。一方柴胡桂枝湯は、柴胡(サイコ)や黄芩(オウゴン)という、胃の働きを良くし胸のつかえを改善する生薬に半夏(ハンゲ)という吐き気を抑える生薬がプラスされています。また柴胡桂枝湯には、滋養強壮効果のある生薬、炎症を鎮める生薬も配合されているため、いわゆる胃腸かぜだけでなく、かぜをこじらせて長引いた時や内臓の炎症を抑えるのにも効果的です。葛根湯はかぜのひき始めに使われますが、こちらはかぜの中期〜終盤の使用が適しています。

さらっとした鼻水が出るかぜ、アレルギー性鼻炎には「小青竜湯(ショウセイリュウトウ)」

花粉症の方にはお馴染みかもしれない、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
透明で水っぽい鼻水が出る時は、かぜでもアレルギー性鼻炎でも、小青竜湯がオススメです。西洋薬と違って眠くなりにくいのも嬉しいポイント。「眠くなりにくい」と謳っていて、かぜやアレルギーの鼻炎症状に効くと販売されている薬は、たいてい小青竜湯です。
ただし、膿っぽい粘り気のある鼻水や、鼻詰まりがひどい場合には辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)の方が適しています。こちらは、ドラッグストアだとあまり見ないかもしれません。

お店によっては今回ご紹介した以外の漢方も揃っているので、より体質に合わせてきめ細かなチョイスができるかもしれません。薬剤師さんがいれば、西洋薬との併用についても相談できます。

最近ではパッケージに適している症状がわかりやすく書いてある商品が増えたので、お店の方に相談する余裕がない時は、まずはパッケージの症状で選んでみては。


コメント

    はぐれ

    2016年06月30日 12時12分

    はぐれ

    コメントありがとうございます。

    > 漢方薬は体質によっても変わってくるもの、とかかっていた漢方医の先生に教えられました。
    仰るとおり,漢方はその方の体質や状態によって変えていく,オーダーメイドのお薬です。
    本来はご本人の体質や状態をしっかり見極めて(証をたてるといいます)使うのが一番よいのですが,ドラッグストアで漢方薬を買われる方がせめて状態と合わない漢方を買ってしまった・・・とい...


    更年期世代

    2016年06月29日 01時39分

    更年期世代

    漢方は普段、よく利用します。今回、知らなかった漢方薬の名前が知れてよかったです。ただ、漢方薬は体質によっても変わってくるもの、とかかっていた漢方医の先生に教えられました。安易に使う前に体質にあったものを選ぶのも大事ですよね。葛根湯はよく知られた「風邪症状」に効くといわれますが、ひき始めに飲むのが一番効果が高いですよね。頭痛、肩こりにも効くと言われていて常備してます。基本、処方薬(保険がきくも...

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