季節の変わり目は膀胱炎にご用心!注意すべき症状と、自分でもできること

2016年06月08日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第20回


女性や女子に多い膀胱炎、尿路感染。気付かないでかかっている人も見かけます。自然に治ることもあるけれど、怖い面も持っています。その一方で、努力によってリスクを下げられるのは、悪くありません。今回はこの身近な病気について、予防法や症状、治療を含めて説明していきます。

 

まず、膀胱炎の症状は?


トイレが近い、排尿の時に痛い、尿を出しきったはずなのに残っている感じがする。

このような場合には、膀胱炎の可能性があります。症状が軽いとわかりにくく、検尿で発見されることもあります。意識して気を配ってみてください。春・秋に多く、また同じ人が繰り返す傾向もあります

 

そもそも尿路感染や膀胱炎って何?


病原菌と身体(の一部)が戦っている状態が「感染」で、戦いで荒れている状況を「炎症」とイメージするとわかりやすいと思います。

「尿路」とは尿がつくられて、出ていくまでの道筋です。腎臓で尿がつくられて腎盂に集まり尿管を下ります。そして膀胱にためられて尿道を通って出て行きます。

 


このどこかで細菌が感染を起こしている状態を「尿路感染」と言います。

主な犯人は大腸菌です。そう、便にいる菌です。これが尿の道を逆にたどって、問題を起こすわけです。

膀胱にたまった尿の中で、菌が居心地よく増えている様子を想像してください。それに怒った付近の粘膜はあれこれ攻撃をしかけます。だからいわゆる「膀胱刺激症状」を感じるわけです。具体的には頻尿や排尿時痛、残尿感などです。でも炎症はその場所に限られていて、ふつう熱は出ません。さらに菌が上がって「腎盂腎炎」になると高熱が出ます。

※まれに、菌ではなく、アレルギーなどで膀胱が炎症を起こすこともあります。菌がいても、炎症を起こしていないこともあります。

膀胱炎で困ること

1.もちろん症状が不愉快

2.膀胱の感染を放っておくと菌が上に進み、腎臓に病気が達することがあります。


腎臓は身体の要・不要な物質を分ける大切な臓器です。腎臓が激しく細菌に侵されると、治療した後でも部分的に傷が残る可能性があります。そのようにして腎臓の機能が落ちることは避けたいものです。軽い尿路感染や膀胱炎でも腎臓に影響を及ぼすことがあるとも言われますが、透析になってしまうほど深刻な傷は作らないと考えられています。

3.さらに、腎臓は血液の流れも豊富なので、細菌が体中へとめぐるきっかけを作ることにもなりえます。

全身に菌がはびこる「菌血症」や「敗血症」は、名前だけでも恐ろしい。膀胱炎ならば治療は抗生物質の内服ですみます。腎盂腎炎では点滴が必要になることもあります。全身に菌が回ってしまったら、もちろん入院です。早めにしっかり治したいところです。

 

尿路感染の予防・悪化させないためにできること


多くの場合はすぐによくなる病気ですが、あなどれもしません。抗生物質を飲んで治療しても、なかなかすっきりと治らなかったり、繰り返してしまったりすることもあります。特にそのようなときは生活面も見直してみてください。

1.清潔を保つ

 


細菌の侵入を防ぎましょう。特に女性は膀胱までの距離が短いのでしっかりと。膀胱炎らしき症状や、付近の皮膚や粘膜が荒れているときはシャワーのみで。浴槽につかるのは避けます。まだ上手にお尻を拭けない幼児などは、大人が仕上げ洗いをします。女の子では、前から後ろに拭くことを必ず教えます。乳児のオムツはこまめに交換を。

2.ガマンしない

膀胱に尿がたまっている時間が長ければ、菌は増えやすくなります。したがって排尿を我慢しないことは大切です。特に寝る前は必ずトイレに行きましょう。

3.水分をとる

 


膀胱を洗い流すと考えるとわかりやすいと思います。軽い膀胱炎であれば、よく飲んでガマンしないことで治ることが期待できます。

4.二段階排尿

文字通り、二段階に分けて排尿します。終わったと思っても、少し待ってからもう一度トライするのです。

待つのは「お誕生日の歌」一曲分くらい。

二回目の排尿は残っていた尿を出すための作業です。長くガマンした後など、感覚が鈍くなって尿を出しきれていないことがあると思います。
また、膀胱炎を起こしやすい人は、「膀胱尿管逆流」を持っている可能性があります。これは排尿のときに、尿の一部が膀胱から腎臓に向かって逆流してしまう状態です。この逆流がある場合には、排尿時に腎臓へ向かった尿が、排尿の後にまた膀胱に戻ってきます。この尿を二回目の排尿で出したいわけです。

5.便秘しない

便秘は尿路感染のリスク因子とされています。また、お腹が張っていると膀胱炎症状もわかりにくくなると思います。食物繊維と水分の摂取を心がけましょう。

6.クランベリージュース

 


元はいわゆる民間療法ですが、それなりに科学的な裏付けを示されつつもあります。はっきりと推奨と言えるほどではないものの、生活に取り入れてもよいかと思います。好みは分かれるようなので、甘酸っぱい味がお好きでしたらお試しを。


さて、最後に当たり前で大切なことを。

膀胱炎で抗生物質が処方されたら、指示通りに服用してください。忙しくてもスキップしてはいけません。

飲んだり飲まなかったりすると、きちんと細菌と戦えないのです。逆に抗生物質に抵抗を示す菌が増え、その後の治療を難しくする可能性があります。

ぜひキッチリと内服を。



参考文献

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Common Questions About Recurrent Urinary Tract Infections in Women.


2)Saadeh SA, Mattoo TK. Pediatr Nephrol. 2011 Nov;26(11):1967-76
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3)Stein R et al; European Association of Urology; European Society for Pediatric Urology. Eur Urol. 2015; 67(3): 546-558
Urinary tract infections in children: EAU/ESPU guidelines.


4)Subcommittee on Urinary Tract Infection, Steering Committee on Quality Improvement and Management, Roberts KB. Pediatrics 2011; 128(3): 595-610
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5)Durham SH et al. Ann Pharmacother 2015; 49(12): 1349-1356
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6)de Llano DG et al. Int J Mol Sci 2015; 16(6): 12119-12130
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