旅行やお泊まり・お出かけに その1〜処方薬の利用法

2016年04月15日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第13回


今回は旅行用に処方薬をもらうコツと、使い方などを紹介します。特に子連れや海外旅行の場合に、小さな不調に備えて荷物に入れておくと心強いかと思います。その他、子どもを眠らせる薬、酔い止めについても説明します。時おり外来で相談を受けるので。

 

旅行用の処方薬をもらうには

 


実は、正直に「旅行に備えて薬がほしい」と言って受診すると失敗しかねません。病気でないのに処方することは、健康保険で認められていないからです。少しでも症状があるときに相談しましょう。たいていの医師は、頼まれたら少し長めで大げさな処方をすると思います。かかりつけ医であれば、適切な薬を選んでくれるはずです。教科書的には処方薬をとっておいて使ってはいけないのですが、実際には解熱剤などで行われていることです。未知の市販薬を買うよりも安全だと考えられます。

 

自宅に残っている処方薬を利用したいとき


診察を受ける機会はないけれど、前にもらった薬がある場合。自己判断で使っている人も多いのではないでしょうか。本来は診察を受けた上で服用すべきですが、ここでは現実的な対処法を示しておこうと思います。

 


持って行くのにふさわしい薬:
1.自己判断で服用してよいもの
2.どのように使うか(はじめどき、やめどき、受診の目安)を理解しているもの
3.使ったことがあって、特にこれまでトラブルがなかったもの
4.飛行機に乗るなら液体や冷所保存の座薬などでなく、錠剤や粉薬
5.使用期限内のもの(調剤薬局で薬をもらうとき、期限を確認しておきたい)
6.行先が海外であれば、薬の一般名(※)を英語表記したものがあれば安心

 

※ 薬には商品名の他にその薬効成分となる化学物質の名前を表す「一般名」があります。一般名はインターネットで 【(薬の名前)+「一般名」+「英語」】で検索すればすぐにわかります。

 

自己判断で使える薬の種類


いわゆる症状をやわらげる薬がこれに当たると思います。解熱鎮痛薬、咳止め、吐き気・下痢止め、整腸剤、かゆみ止めなどを、一時的に使うのは問題ないでしょう。逆に病気の原因を治す薬は不向きです。「熱が出たから抗生物質を飲む」などはしないほうが無難です。抗生物質は適切な状態に使わなければ効きませんし、その後の診療を厄介にすることもあります。まず症状をやわらげる薬を使って休息をとり、1,2日でよくならなければ診察を受けてください。

 

子どもを眠らせる薬の処方はない

 


飛行機で乳幼児がぐずると、保護者は本当に困りますよね。そのためか、「子どもを眠らせる薬がほしい」と言われることがあります。でも、そのような処方はしていません。安全に乳幼児を眠らせる便利な薬はないのです。確かに脳波やMRI検査のときには子どもを眠らせる飲み薬や座薬を使いますが、予定通りに効くものではありません。したがって検査で薬を使うときでさえ、寝不足で来るようにお願いしています。タイミングさえ合えば、薬なしでも熟睡しますから。逆によく寝た後だと、薬を盛っても眠くならないのです。限界量まで与えても寝なくて、検査を諦めることもあります。眠らせる薬は脳に作用するので、やはり怖いわけです。どうしても確実に眠らせるなら、呼吸が止まることまで想定して薬を使います。強引に脳の活動を抑えるということは、そのくらい危険なことなのです。ですから乳幼児と飛行機に乗る際には、睡眠のタイミングを調節するのがベストだと考えられます。

 

抗ヒスタミン薬、酔い止め薬


ある種の鼻水の薬(抗ヒスタミン薬)を飲むと眠くなるという子はいます。こうした子には飛行機に乗る際にその薬を飲ませ、ウトウトさせることができると思います。ただし抗ヒスタミン薬はけいれんとの関連性で議論を呼んでいる薬なので、あえておすすめはしません。また、酔い止め薬の処方も一般には行われておらず、市販薬を使うことになります。

さて、あとは塗り薬が便利なのですが、これについてはまた次回とします。
 

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