朝の頭痛にはご用心−見過ごして後悔したくない体の悲鳴2

2016年04月06日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第11回

 

朝の頭痛や吐き気は、学校や仕事がつらいことから来る精神的な問題だと思われがちです。でも、実は脳腫瘍などの病気が隠されていることがあります。年度の切り替わり
生活の変化のせいにせず、どうか心を配ってください。

 

朝の頭痛、しかも吐く

 

新しい学校に入ったばかりの子でした。春から朝が苦手になり、頭を痛がったり吐いたりするようになりました。でも午後は元気に遊んでいたので、ご家族は様子をみていたとのことでした。しかしながら朝の不調は軽くなるどころか、だらだらと悪化していきました。そして一学期が終わってしまいます。本人も家族も、学校を休まずに病院に来られる機会まで待ったということになります。夏休みになって初めて近所の開業医を受診し、病院へ紹介されてきました。お母さんは「念のため」と言っていました。「もとから怠け者なので、そのせいだと思うのですが。心理的な原因ですかね?こんなことですみません」と申し訳なさそうでした。

 

いえいえ、遠慮することはありません。逆にわたしたちは青ざめました。医師ならば朝の頭痛・嘔吐と言えば疑わねばならない病気があります。すぐに頭のMRIを撮って、その子は脳腫瘍の診断で入院となりました。脳外科の医師が、「かなり大きいですね。もう少し早く来てほしかったなあ」とため息をもらしていました。

朝の寝起きは頭の中に二酸化炭素が多く、脳の圧が高まって頭痛や吐き気を起こしやすいのです。大人でも子どもでも、腫瘍がゆっくり大きくなっていると、これが唯一の症状でありえます。そしてこの嘔吐の原因は頭の中にあるので、お腹の不調(下痢など)はみられません。また、社会人では仕事の失敗が多くなる、学生では成績が下がる、あるいは一般に字が下手になる、など、わかりにくい変化をともなっていることもあります。

このような状態を抱えている人が、たまたま下痢などをして胃腸炎と考えられるとまた危険です。脱水を心配して点滴を始めたら、急に入れた水分によって脳の圧が加速的に上がってしまう可能性があります。こうなると重要な神経が圧迫され、とたんに生命の危機に瀕します。

 

元から頭痛持ちの人でも気をつけて

 

どうも頭痛は多くの人が抱えているだけあって、みんな少し様子を見るようです。確かに病院へ行こうという気分にならないのはわかります。市販薬のような処方が出ることもしばしばあります。片頭痛などは受診してすぐ解決するわけでもないでしょう。ただ片頭痛がよく起こるのは夕方であり、朝からの頭痛は要注意なのです。症状というのは、「何」と同じくらい「いつ」かが大切なことが多くあります。

 

頭痛で受診する前にできること

 

まずは血圧を測りたいところです。例えば溶連菌感染症後の腎炎では急に血圧が上がって頭が痛くなります。これは咽(のど)風邪症状から2〜4週間後に起こることが多いので、近い過去を振り返ってみるのもいいかもしれません。また副腎腫瘍による高血圧なども頭痛を起こします。

 

市販の鎮痛剤が効かないときは特に受診・検査を

 

軽い片頭痛などであれば、アセトアミノフェンなどでしのげます。したがって薬が効かない場合はしっかり原因を探す必要があります。もちろん重い片頭痛では髄膜炎かと思うほど頭痛で吐きます。泣けてきます。だから薬が効くかどうかで病名を判断できませんが、症状が強いならば検査を受ける意味はあります。片頭痛が発作時の脳波などで診断できて、鎮痛剤を乱用しないように相談していくことも可能かと思います。そして画像をとってみると、副鼻腔炎が見つかって抗生物質などの薬を飲んで治ったということもあります。

さて、身近な症状について、様子を見てよいかどうかの判断は難しいと思います。ただ「これはふつうではないな」と感じることはできるのではないでしょうか。その症状が1週間も2週間も続くようであれば、やり過ごさずに受診して相談してみてください。

 

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