微熱や低体温、短い高熱−見過ごして後悔したくない体の悲鳴1

2016年03月30日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第10回

 

医師であれば心配するような身体のサインを、一般の人が素通りしてしまうことがあるようです。そこで、実際に経験した例を紹介しながら、様子を見るべきでない症状 − 体の悲鳴 − についてシリーズでお届けします。第1回は、体温について。小さな体温の変化が、大きな病気(例えば腫瘍、大動脈の解離)を知らせてくれることがあります。気になるなと思ったら、体温を記録して受診してください。

 

どんな微熱で病気を考えるか

 

インフルエンザで高熱を出した直後には、しばらく体温が37度台後半でうろうろすることがあります。そして少しずつ戻っていきます。でも、何もないのに1週間以上も微熱が続く場合は、他に症状がなくても理由を探す必要があります。もちろん平熱が高めならば、異常がないことも考えられます。しかしそれは懸念を除外してからのことです。安易に「平熱が高い」から、と決めこまないほうがよいと思います。

 

微熱で受診をするとき

 

倦怠感などを含めて他の症状があれば、それらを含めて相談します。「肺炎だろうか?」とレントゲン写真を撮り、大動脈解離が見つかった例もありました。ただ、微熱だけの場合には、診断のヒントが少なくて検査に迷います。こういった場合には、体温表があると参考になります。まずは何日か熱を測って表をつけると、どの時刻に高いかなどの傾向がつかめます。元気に日常生活を送っていたのに、副腎腫瘍だったということもありました。37.5℃から38℃という微妙な熱は、あなどれないのです。

 

赤ちゃんの微熱

 

新生児や乳児は一般に体温が高めです。37.5℃くらいまではよくみられます。服を着せ過ぎたり、部屋が暑かったりするだけで、38℃を越えてしまうこともあります。ときには午後の平熱が37.5℃以上の子もいて、予防接種をすすめにくいことも。もちろん診察や検査を行って、隠れた病気がなさそうであることを確認します。

 

赤ちゃんの低体温

 

こちらのほうが、注意が必要です。なぜなら気にされにくいからです。例えばけいれんで入院した生後6か月くらいの赤ちゃんの体温が、35度台だったことがあります。検査の結果、その子はとても珍しい生まれつきの病気だとわかりました。しかし発見が遅く、脳の発達が難しくなってしまいました。長い期間、低体温が唯一の症状だったようです。実はご家族はそのことに気づいていました。ただ異常だととらえず、健診でも見過ごされていました。

 

短期間高熱が出て自然に下がるとき 熱を繰り返す時は要注意! 

 

1日か2日、39℃近くの熱が出て、受診するか迷っているうちに下がってしまう。時折このような経験はないですか?
高熱を繰り返すだけで、それ以外は特に症状がない場合には、腎盂腎炎を反復している可能性もあります。原因を検査せず、なんとなく抗生物質を処方されて中途半端に治っていくこともあるようです。しかし後から超音波検査などで調べてみると、左右の腎臓に大きな差ができていて驚くことが! 繰り返す腎炎によって、片方の腎臓がダメージを受けていたのです。
腎臓の将来に影響を及ぼさないよう、奇妙な熱を放置しないようにしてください。同じ熱を繰り返している場合には受診の際に「繰り返していること」を、しっかり告げるといいと思います。いや、本当はわたしたちのほうから、「繰り返していますか?」と聞くべきなのですけどね。

 

実際に微熱があるかどうかなど、ふだん気に留めることはないようにも思います。でも体調が優れないときには、ぜひ体温を記録してみてください。手書きでもパソコンで作った立派な熱型グラフでも、とても診断の参考になります。

 

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