男性にもある“更年期障害”、アンチエイジングの鍵は「男性ホルモン」

2016年03月28日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第16回

 

 

いつまでも生き生きと、自信をもって、仕事もプライベートも頑張りたい―そんな理想を持つ男性は多いと思います。でも現実は、衰えていく体に出っ張りが気になるお腹、そしてしぼんでいくやる気… 実はそれ、男性ホルモンが減っているせいかもしれません!

 

 

男性にも更年期障害が!原因は歳とともに減っていく「男性ホルモン」

 

更年期障害というと、女性特有のものとイメージしがちですが、実は男性にも更年期障害が存在します。女性の場合と同様、その原因は性ホルモンの低下です。男性の場合、「テストステロン」というホルモンが影響します。

男性ホルモン(テストステロン)は雄々しさの象徴。『肉食系男子は男性ホルモンが多い』なんて言われるように、男性ホルモンは性機能と深く結び付いていることが知られています。しかし、実はそれだけはないのです。男性ホルモンはやる気筋肉の機能とも密接な関係があり、日常生活に大きな影響を及ぼします。さらに、近年の研究で、男性ホルモン量の低下はうつ病メタボ心臓病脳血管疾患骨粗鬆症認知症とも関連があることがわかっています。

テストステロンは20代をピークに、その後徐々に減少していきます。テストステロンの分泌量には個人差がありますが、「最近なんだか調子が悪い」「疲れが取れにくくなった」「不安になったり、イライラすることが増えた」とお悩みの方は、テストステロンの量が足りていないのかもしれません。

テストステロンの量は、病院で調べることができます。もし一定の値よりも低く、他の疾患の可能性がない場合には、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)として、ホルモン補充療法を中心とした治療を受けることになります。

現在、日本で推定されているLOH症候群の患者数は約400万人と言われていますが、実際に治療を受けているのはわずか10%程度とされています。
最近では「男性力ドッグ」「男性更年期外来」「メンズヘルス外来」といった専門外来も増えていますので、気になった方は一度チェックされてみてはいかがでしょうか。

 

 

男の更年期障害には、男性ホルモンを外から補給!
薬局で購入できる「男性ホルモンの塗り薬」、その効果は?

 

 

男性更年期障害の治療法は、注射・飲み薬・軟膏の3種類がありますが、現在、日本では注射によるホルモン補充療法のみが保険適応となっています。飲み薬と軟膏は、薬局で第1類医薬品として販売されており、全額自費で薬剤師から購入することができます。
しかし、飲み薬は副作用の肝機能障害が多く報告されており、使い勝手があまりよくないようです。一方、保険のきく注射薬は、医師が患者さんの状態を見ながら投与するため比較的安心できますが、注射薬にアレルギーの出る患者さんには使えないこともあります。
その点、軟膏は手軽で使い勝手も良いのですが、効果が本当にあるのかイマイチな面がありました。

というわけで、最近、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE誌(医学の一流誌)に発表された男性ホルモンを軟膏で補給した時の効果を調べたアメリカの研究をご紹介しましょう。

研究では、65歳以上でテストステロン値が低い790人の男性を対象に、実際に販売されているテストステロン入りのゲルと、見かけが全く同じでテストステロンが入っていないゲルのどちらかを1年間塗ってもらい、その効果を見ました。

すると、テストステロン入りのゲルを塗った人のグループでは、血中のテストステロン値が19~40歳男性の正常中間値まで上昇し、性的な行動の増加や気分の改善、抑うつ症状の重症度の低下に有用であることがわかりました。一方で、今回の試験では活力や歩行機能の試験ではテストステロン入のゲルによる改善は認められなかったとのことです。また、副作用はテストステロンありとなしで差が見られなかったとのことですが、きちんと評価をするにはもっと試験人数を増やす必要があります。研究グループは、65歳未満での使用やより長期に渡っての使用の効果を調べる必要があるとしています。

今回の研究から、軟膏で男性ホルモンを補給することにも、男性の更年期障害に対し一定の改善効果があると言えそうです。今後、日本でも高濃度のテストステロンを含んだ軟膏剤が治療薬として保険適応になるかもしれません。塗り薬なら病院に通う手間も減らせますから、患者さんとしてもありがたいですね。

 

更年期障害対策はインナーケアも抜かりなく!
内側からも男性ホルモンを増やして、アンチエイジングしよう

 

男性にも起きる更年期障害と、その治療法についてお伝えしてきました。最後に、日常生活でテストステロンをアップできるケア方法をご紹介します。

① 良質な睡眠
テストステロンの分泌は起床時よりも睡眠中、緊張している時よりもリラックスしている時(副交感神経優位の時)に増えます。
動物実験の結果で、一旦徹夜してしまうと最低4日間はテストステロンの値が低下してしまうことが報告されています。

② 有酸素運動、マッサージ、ストレッチ
テストステロンのほとんどが睾丸から分泌されます。そのため、下半身を中心に全身の血流を良くしておくことで、睾丸の機能を高め、テストステロンの分泌を増やすことができます。
運動をすると一過性に交感神経が優位になりますが、適度な運動であればその後副交感神経優位になり、テストステロンの増加が期待されます。マッサージやストレッチも効果的です。
また、運動によってテストステロンを受け取るセンサー(受容体)が増え、よりテストステロンの恩恵を受けられる体づくりに働くこともわかっています。

③ 亜鉛
男性力アップにサプリメントで人気の亜鉛ですが、亜鉛は血中のテストステロン量を維持するように働きます。亜鉛は動物性タンパク質と一緒に摂ることで吸収が早まるため、普段の食事では牡蠣や牛肉などの肉・魚介類から摂取することが良さそうです。

④ タマネギ、ニンニク+豚肉
タマネギやニンニクの香り成分アリシンは、豚肉によく含まれるビタミンB1と結合することで、テストステロンの上昇にはたらくと言われています。

テストステロンの低下には様々な原因があると言われています。毎年1%ずつ減っていくと言われる男性ホルモンを、少しでも増やして、更年期を乗り切りましょう!

 

 

<出典・参考文献>
1. 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会『加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き
2. 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会『加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)治療状況に関するアンケート報告 2006年
3. Peter J. Snuder et al.
Effects of Testosterone Treatment in Older Men
The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE
(February 2016)
4. ユナイテッドクリニック上野院 コラム『男性更年期障害(LOH症候群)の食事とサプリメント

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