【胃腸炎のホームケア2】吐いた後、下痢や軟便のときの食事(離乳食やミルクを含めて)

2016年03月02日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第6回

 

下痢をしているときのラーメンは、二日酔いの迎え酒のようなもの。ちょっとお腹がかわいそう。今回は弱った胃腸に負担のかかる食品、消化のよい食品を紹介します。大切な人や赤ちゃんの看病をする際の参考にもなれば幸いです。

 

いつから食べていい?

 

吐いているうちは無理をしないとしても、腸管を長く休める必要はないようです。早くから栄養をとると下痢を長引かせないと言われています。24時間以上の絶食は避けましょう

 

お腹にやさしくて、栄養のある食べ物は?

アメリカ小児科学会ではBRAT食、つまりバナナ、米、リンゴ(アップルソース)、トーストをすすめています。頭文字で憶えやすい! 日本では昔からおかゆですね。最近は白がゆを苦手とする人を多く見かけますが、少し水分を多めにして炊いたご飯ではどうでしょうか。その他はやわらかいうどん、お豆腐、白身の魚、ささみなどもよいようです。野菜は人参や大根などを煮て使います。脂肪は消化がよいとは言えないものの、栄養のために選んで使います。控えめにバターや卵を取り入れてはどうでしょうか。

油もの、味の濃いもの、繊維の強い食品はおあずけ

 

ラーメンやフレンチフライ、お刺身やウナギなどは調子がよくなってから。デザートもドーナツなどでなく、プリンウエハースくらいにしておきます。甘すぎるものは弱った胃腸に厳しいもの(浸透圧負荷がかかるため)。したがって糖分の多いジュースも避けます。パンもデニッシュやクロワッサンでなくあっさりしたものを。ゴボウなど繊維の野菜なども消化しにくいものです。もちろん今まで食べたことのないものもやめておきましょう。

 

下痢をしているとき、ヨーグルトはおすすめか

 

 

プロバイオティクス(いわゆる善玉菌)を含むヨーグルトに関しては、判断が難しいところです。プロバイオティクスは腸内細菌を整えて、お腹によいとされています。でもヨーグルトを食べたところで、下痢に効くほどのプロバイオティクスが腸に届くかはわかりません。また、ヨーグルトは乳糖を含み、弱った腸ではこの成分を分解できないことがあります(乳糖不耐)。この場合、下痢が続いたりお腹が張ったりしてしまいます。したがってヨーグルトを積極的に食べていいとも言えず、特に乳幼児では整腸剤を使うほうが無難だと考えられます。

 

赤ちゃんの下痢は意外と長引くもの

 

乳幼児がお腹をこわすと、しばしば2、3週間続きます。腸がまだ育っていないせいもあり、回復に時間がかかることが多いようです。したがって他に症状がなくて食欲があれば、すぐに大きな病気を考えることなく様子をみます。ただし成長の著しい時期なので、きちんと栄養がとれているかは確認したいところ。下痢が1週間以上続く場合には、小児科で相談したほうがいいと思います。

 

母乳やミルクについて

 

母乳栄養の中止は推奨されません。ミルクを薄めることも不必要で、かえって病期を長くするという報告があります。大豆ミルクは便をやや硬くし、オムツかぶれを悪くしないという点でいいかもしれません。しかし全体的に見て有益というほどでもないとのこと。かなり重症でないかぎり、乳糖を制限する利点もないようです。したがって、下痢をしたからといってミルクを変えなくてよいと思います。早期に乳糖不耐用ミルクに変えたところで、ふつうの下痢が早く治るという印象もありません。

 

離乳食は続ける

 

 

下痢をしたからといって、さっそく離乳食を止める必要はありません。ただし消化のよい材料と調理法を選びます。食欲がないときは、無理強いせずに少量を。UNICEFが下痢には亜鉛がよいと推奨しましたが、それまでの栄養状態がよければこだわらなくて大丈夫だと思います。また、亜鉛を多く含み、赤ちゃんに与えやすい特別な食材はないようです。ちなみにフォローアップミルクに亜鉛は含まれていません。ふつうのミルクや乳糖不耐用のミルクには添加されています。

今回はお腹をこわしたときの食事について、よく聞かれる点について書いてみました。大人の場合、「わかっていても少し・・・」ということもあるかと思います。でも上記の知識を踏まえ、どうか無理しすぎないよう気をつけてください。

 

 

 

参考文献とその簡単な紹介
1)King CK, et al. Managing acute gastroenteritis among children: oral rehydration, maintenance, and nutritional therapy. MMWR Recomm Rep. 2003 Nov 21; 52(RR-16): 1-16. アメリカ小児科学会の推奨案

2)Lazzerini M, Ronfani L. Oral zinc for treating diarrhoea in children.
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jan 31; 1: CD005436. doi: 10.1002/14651858.CD005436.pub4.
アジアを中心として発展途上国で約1万人(生後1か月から5歳まで)を対象とした統計。生後6か月以上の子に関しては、亜鉛の経口投与(飲ませること)が下痢の期間を短くしたと考えられる。栄養状態が悪い子ほど効果が見られた。生後6か月未満の子に関しては改善を期待できる結果が得られなかった。副作用として深刻なものはないが、急性期の下痢の子では嘔吐があげられる。

3)Malik A, et al. Short-course prophylactic zinc supplementation for diarrhea morbidity in infants of 6 to 11 months.
Pediatrics. 2013 Jul; 132(1): e46-52. doi: 10.1542/peds.2012-2980. Epub 2013 Jun 3.
インドで2011-2012年にかけて272人の生後6か月から11か月の赤ちゃんに対して行われた調査。毎日20mgの亜鉛を二週間飲ませた子のほうが、下痢の期間が短かった。

4)Fischer Walker CL, Black RE. Micronutrients and diarrheal disease.
Clin Infect Dis. 2007 Jul 15; 45 Suppl 1: S73-7. ビタミンAは下痢の治療として積極的に与えるものとして推奨されない。亜鉛は下痢の期間を短くするようだが、葉酸は予防にも治療にも効果がないと考えられる。

 

 

コメント

この記事へのコメントはありません。

この記事の関連ワード

新着の記事

Sidekibit b fefa1c4699a4986147a527399409cd3c5417e373a7c81d98947fd955971daf54

人工知能KIBITが、あなたに合った記事をおすすめします。 初めてKIBITに教えた時は翌朝までお待ちください。