【胃腸炎のホームケア1】嘔吐や下痢のときにすべきこと、やってはいけないこと

2016年02月24日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第5回

 

お腹をこわすと、一時的とはいえ猛烈につらいですよね。小学生の頃、夜中に吐いて苦しんでいたら、親に救急車を呼ばれてしまったことがあります。脱水や虫垂炎(盲腸)を恐れたのでしょう。でも実は、家での不適切な対処法が症状をひどくしていたようです。医者になってわかりました。そして今も似たような失敗を見かけています。ここでは意外と知られていない看病の基本と、受診の目安を紹介します。

 

吐き気があるときに、ゆっくりとした呼吸を

 

気分が悪いと息が荒く浅くなりがちです。知らない間に過呼吸になって、手先がしびれてくることもあります。頭もぼんやりしてきたら大変です。ゆっくり息をするよう意識しましょう。

 

吐いてすぐに飲ませない!

 

脱水を心配するあまり、吐いた直後から水分を補おうとしてはいけません。すぐに胃を刺激すると、次の嘔吐を招く可能性が高いからです。小学生の自分も、吐いた直後に水と総合感冒薬を与えられ、飲んだら吐きました。飲んで吐くことを繰り返し、親がどんどん焦っていきました。まずお腹を休めましょう。最低でも30分、できれば2時間は待ちたいところ。それまで普通に暮らしていたのであれば、すぐに脱水や低血糖になることは考えにくいもの。それよりも刺激して何度も吐くほうが消耗します。最初の我慢がとても大切です。飲むべき薬があるときも少し待ってから、本当に必要なものだけを。

 

スプーン一杯からゆっくりと

 

そろそろ飲んでみよう、というときも少量から始めます。子どもならひとさじ、大人でも1口2口から。咽がかわいたからといって、ごくごくと飲むとやっぱり吐いてしまいます。じれったいけどここが勝負所です。ふつう吐き気は長続きせず、半日から1日以内で去っていきます。少しずつでも吐かずに飲めれば脱水にならずにのりきれます。ペットボトルキャップ一杯ずつを5分から10分おきに飲んで徐々に倍量にしていく方法で、2,3時間たつと点滴1本いれたくらいは入ります。痛い注射をされて細いベッドでじっとしているよりいいと思いませんか? 子どもには1回量しか見せないようにしましょう。あるのにもらえないと、欲しがって大変ですから。

 

最初は水、それから糖分と塩分を

 

栄養のためといって、いきなり牛乳を飲ませたりはしません。また吐いてしまいそうな時期は、まず水を。確実に飲めそうであれば糖分や電解質を含んでいるものを選びます。いわゆる経口補水液がおすすめです。市販のイオン飲料は少し組成が違うので頼り過ぎないよう。子どもには年齢に合ったイオン飲料を(こうした飲料は普段使いしないこと!)。味が嫌いなら、常温のリンゴジュースや味噌汁の上澄みなどを少しずつ。シンプルなものを少量ずつ多種類とることでバランスを保ちます。慣れた味のほうがうまくいくことも多いようです。もちろん、初めての食品は使わないように。

 

吐いてしばらくして下痢をする

 

多くの胃腸炎で、吐き気が落ち着いてきた頃に下痢をします。程度はさまざまですが、たいてい数日で自然によくなっていきます。なぜなら胃腸炎の原因の大半はウイルスで、重症になることは少ないからです。今のところ直接ウイルスを攻撃する治療薬はありません。ウイルスの排泄や腸の動きを妨げる下痢止めよりは、整腸剤を使われることが多いようです。細菌による胃腸炎の場合は抗生物質で菌を攻撃できますが、多くは飲まなくても治ります。しかも抗生物質には下痢をするという副作用があるため、安易には処方されません。つまり急性胃腸炎は軽ければホームケアでみていかれるということです。ちなみに胃腸炎のウイルスには、ぬる消毒薬が効きません。したがって予防には手洗いをしっかりと。

 

診察を受けたほうがよいとき

 

持病がある人や、生後6か月未満、あるいは体重8kg未満の赤ちゃんは早めに相談を。自宅で様子をみてよい範囲を確認しておきます。38度以上の熱がある場合、お腹にくるインフルエンザや強い細菌性胃腸炎も考えられるので受診しましょう。血便があるときも病原性大腸菌などが疑われます。お腹の痛みが強いときには盲腸(虫垂炎)など、外科の病気も考えられます。半日以上吐くことや、1日10回以上の下痢があれば脱水が心配になります。また、2週間以上の下痢はふつうの胃腸炎以外の原因も考えられます。

さて、誰もがお腹をこわした経験があるのではないでしょうか。いわゆる「お腹の風邪」の原因となるウイルスは種類が多く、ロタやノロほど有名でないものもたくさんあります。それでも看病の方法はだいたい同じ。うつりやすい病気なのに直接の治療薬がないので、ホームケアの知識が大切ではないかと思います。

 

 

 

参考文献:アメリカ小児科学会の推奨案
King CK, et al. Managing acute gastroenteritis among children: oral rehydration, maintenance, and nutritional therapy. MMWR Recomm Rep. 2003 Nov 21; 52(RR-16): 1-16.

 

 

コメント

この記事へのコメントはありません。

この記事の関連ワード

新着の記事

Sidekibit b fefa1c4699a4986147a527399409cd3c5417e373a7c81d98947fd955971daf54

人工知能KIBITが、あなたに合った記事をおすすめします。 初めてKIBITに教えた時は翌朝までお待ちください。