中高年が直面する認知症リスク~身内の介護1

2016年03月22日

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高齢化社会を迎え、国内の患者数は年々増加しています。認知症になるリスクは5歳年齢を重ねると倍になると言われています。中高年世代にとっては、身内に認知症の人を抱えるリスクも年々高まっていると言えます。

身内の認知症を受け入れる


中高年に差しかかると、どうしても記憶力が衰えてきます。物忘れが何度か続くと、認知症の始まり?と心配になりますね。脳の老化による認知症のリスクは、発症する20年ほど前、つまり40代頃から始まっているのですが、ここでは、身内に認知症の症状が現れた世代がその介護に直面するケースについてお話しします。
認知症は徐々に進行しますので、少し前のことが思い出せなかったり、今までなんなくできていたことができなくなったりしても、加齢のせいだろうと見過ごしがちです。もしかしたら認知症?という思いが頭をよぎっても、「まさかうちの家族に限って…」と打ち消してしまうのです。

今まで穏やかだった人が急に怒りっぽくなったり、お金が無くなったなどと言い出したりすると、「こんな人ではなかったのに」「嫌がらせなのでは?」というように、認知症の患者さんに対して否定的な感情を抱いてしまうこともあります。けれど、家族が認知症であるとわかったら、まずは周囲がしっかり受け止めることが大事です。
実際に身内の介護に直面したときどうすればいいか、認知症ケアのポイントをお話ししましょう。

記憶障害への対応


認知症になると、直近の記憶が不確かになります。さっき食事をしたばかりなのに忘れてしまう、置き忘れやしまい忘れが頻繁になりいつも探し物をしている、日時があやふやになる、大事な約束をすっぽかす、薬を余計にのんでしまうといったことが起こります。こういった記憶障害は、本人には自覚がないので、周囲の人や環境のほうを本人に合わせる必要があります。
記憶がないということは、本人にとってその体験(事実)は存在していないものになります。周囲の人の認識とはズレが生じますが、本人は自分の認識こそが正しいと思っているので、家族が事実を伝えても本人には通じません。ウソを言われている、だまされていると思ってしまうのです。
周囲の人は、本人の言動を訂正しようとしがちですが、本人にとっては自分自身を否定されたように感じます。間違いを訂正しようとすればするほど、本人は不安感が高まり、頑なになり、かえって逆効果。周囲の人はまず本人の言動をいったん受け止め、安心させることが大事です。
目立つ場所にメモを貼る、モノの置き場所をつくる、一緒に確認するなど、物忘れに対応した環境を整える工夫もしてあげましょう。

身の安全を確保する


どのくらい一人にしておけるかで認知症の重症度がわかるとも言われます。周囲としても四六時中一緒にいることは難しいですが、しかし一人になった状況下で、押し売りや火の元の安全など様々な問題が起こります。
認知症の初期には、訪問者への対応やサインなどができるので、宅配便を受け取ったもののどこかへしまいこんでしまったり、同じものを何度も購入してしまったりということが起こります。
宅配便などの荷物は、送ってくれる人に家族のいる時間帯に届くよう、時間指定をしてもらいましょう。また、一人にさせるときは玄関を二重に施錠するなどして簡単に開けられないようにし、インターフォン越しの会話にとどめるといった工夫をしましょう。

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認知症が進んでくると、心配なのは火の始末です。火の始末は本人の命はもちろんのこと、地域の安全にも関わってきます。火災をどうしたら防げるかしっかり考えておきましょう。
長年料理に携わってきた人が何度も鍋を焦がすようになると、料理すること自体を禁止したくなりますが、それは楽しみを奪うことにもなります。対処法として、電磁調理器や安全センサーの付いたコンロに切り替えてみてはいかがでしょう。火災報知器の取り付けも忘れずに。
また、ひらひらした袖から服に火が移ることもありますので、防火素材のエプロンや割烹着を用意するのもいいですね。

タバコは禁煙してもらうのがいちばんですが、難しいかもしれません。無理に取り上げるとタバコを探して徘徊することにつながります。予防策としては、大きな灰皿に水を入れておく、燃えにくい素材の寝具や衣類を使う、煙を検知する器具を用意して喫煙を見守るなどの配慮をしましょう。

高齢者のいる家屋では仏壇のロウソクや線香が火災の原因になることも。ロウソクはランプ式に変える、本人の目に付くところにマッチやライターを置かない、仏壇を家族の目の届くところに置くなどの対策を講じましょう。

次回は、徘徊、物盗られ妄想などにどう付き合うかを考えます。


<プロフィール>

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朝田 隆(あさだ・たかし)
メモリークリニックお茶の水 院長。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。2001年5月より、筑波大学臨床医学系精神医学教授。2014年、東京医科歯科大学医学部附属病院 特任教授。アルツハイマー病を中心に認知症疾患の基礎と臨床に携わる、脳機能画像診断の第一人者。音楽療法や絵画療法による脳機能改善効果の調査・研究のほか、運動や食事、30分以内の昼寝など、生活改善による認知症予防を世界で初めて明らかにした。

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