イタリア旅行中、魔女の一撃(ぎっくり腰)に襲われたら・・・

2016年01月14日

スローフード・スローライフの地イタリア*シエナより愛をこめて 第11回

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イタリアでは、ぎっくり腰を「魔女の一撃」と呼ぶ。おそらく、全く結びつかないような些細なことでも原因になるからではないだろうか。私が通訳を務めた日本人観光客Aさんのぎっくり腰は、おそらく気温の変化によるもの。旅先で魔女の一撃に襲われたら、迷わず救急車を!

ぎっくり腰の通訳に救急出動!


あれはちょうど10月30日。
海外旅行保険の事務局から、ぎっくり腰になってしまったツアー観光客Aさんを救急外来にお連れし、通訳を務めて欲しい、との要請がはいり、私はAさんの待つホテルに向かった。
60代半ばとみられる男性Aさんは、ベッドから立ち上がるのがやっとで、歩くことができなかった。すぐさま118番にコールをし、救急車を呼んだ。
(イタリアでは、救急車は118番です!)

15分ほどで救急隊員が到着。

救急車には、患者以外に、同伴者一人だけ、救急車に乗れることになっている。
私は、助手席に座り、運転手に事情を説明した。

1463486313 白にオレンジがイタリア救急車の定番カラー



「救急車を呼んで正解だったよ。もし、タクシーで移動しようものなら態勢が崩れて、
 症状が悪化するかもしれないからね」

緊急外来では、重症、準重症、中等症、軽症の順に患者を診察することになっており、 自力で緊急外来に訪れると、対外、数時間は待たされる。
しかし今回はラッキーなことに、すぐに処置室に運ばれた。

ユーモアたっぷりなイタリア看護師に、思わず笑ってしまうAさん


ベッドに横たわるAさんに、看護師が質問を投げかける。

「どうされましたか?」

「コルポ デッラ ストレーガ(魔女の一撃)です」

A氏の代わりに、私はそう答えた。イタリア語では、ギックリ腰の事をそう呼ぶ。

「ハロウィンは明日(10月31日)のはずですが・・・さすが日本人。魔女は早めに訪れましたね」

ユーモアあふれる看護師の対応にAさんは思わず笑ってしまい、
「なるほど、そうくるか!」といたく感心した。

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Aさんが病院に運ばれた翌日、街を闊歩していた魔女のひとり


名前、生年月日、薬のアレルギー等、いくつかの質問が続いた後、話題が脱線し始めた。

「私は日本が大好きなんです。
Kitano Takeshiのファンでしてね。全てのパスワードには、kitanotakeshiを使ってるんですよ」

「MI~YA~ZA~KIの映画も大好き。TOTORO」

イタリア看護師との会話を楽しむAさんの表情は、ホテルで見た時とは別人のようだ。

その後、Aさんは個室に運ばれ点滴を受けた。
点滴を受けている間も、看護師は廊下を通る度に寝室に顔をのぞかせ、
日本の著名人の名を挙げては去っていく。

「大多和さん、日本にはイタリアの小さな村を紹介するテレビ番組がありましてね。
私はそれを観るのが大好きなんですよ。今回の体験は、私にとって思い出です。
それにしても悔しいね~。
経済や政治のニュースに関心を注いできたけど、
どうして、昔観たイタリア映画に出てくる俳優の名前を憶えていないんだろう。
私も彼に言い返してやりたいのに!」

点滴が終わりに近づくと、突然、館内が停電となり、
あちこちで「ピピピピ・・・ピピピピ・・・」と機械が鳴り響いている。

それまで笑顔を見せていた病院のスタッフの様子は一気に険しくなり、あちらこちらを駆け回る中、 なんとか点滴を抜いてもらい、担当医に処方箋と診断書を書いてもらって、病室を出た。

まるで伊丹十三監督の映画にありそうな光景だ。

歩けなかったAさんは、点滴の後、人に支えられながら歩けるようになっていた。

この日、救急車の使用も含め、医療サービスは無料だった。
今のところ、イタリアでは、イタリア人であろうが外人旅行客であろうが、
保険に加入してようが加入してなかろうが、救急サービスは無料で受けられる。

1463486313 シエナ総合病院の救急入り口


温度変化はぎっくり腰の大敵


数日後、日本に無事に到着したAさんからメールをいただき、
治療に専念されながらも、元気そうな文面に安心した。

私はこれまで、ぎっくり腰について知識がなかったが、
看護師からの説明で温度の変化でなりやすいことを知った。

今回Aさんは、シエナを散策している途中に突然の雨に遭い、ホテルの部屋で着替えをしている時に、魔女の一撃をくらってしまった。

これから海外旅行に出られる皆さま、雨や汗で濡れた体は体温調整に問題を生じますのですぐに拭き取り、屋内と屋外の温度差を感じた時に温度調整できますよう、羽織れるものをご用意ください! そしてくれぐれも魔女には出会いませんよう。

では ボン ヴィアッジョ (良い旅を)!

プロフィール

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大多和聖美(おおたわきよみ)
トスカーナ州・シエナ在住。ソムリエ。ワインショップ、小麦粉アレルギー対応レストランでのコック体験を経て独立。「エノテカトスカーナ」を立ち上げ、日本にワインやオリーブオイルの販売を行う。

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