ビタミンB群の過剰摂取で男性の肺がんリスクが上昇

山野秋生 | 世界の論文から見える最新の健康・栄養ニュース 第22回

食事摂取基準の数倍に及ぶ大用量ビタミン・サプリメントの長期摂取は、男性の肺がん発症リスクを高め、それは特に喫煙者で顕著であるようです。女性にはそのような効果はみられなかったということです。

 

 

長期にわたってビタミンB6とB12の大用量サプリメントを摂取し続けることは、摂取しない場合に比べて、男性の肺がんリスクを2倍以上高めるようだ、という米国オハイオ州立大学の研究結果が報告されました。

 

男性喫煙者ではさらにリスクは高く、ビタミンB6を20mg以上10年にわたって毎日摂取し続けた男性喫煙者は、肺がんを発症するリスクが3倍高く、ビタミンB12を55mg以上10年にわたって摂取し続けた男性喫煙者は、肺がんを発症するリスクが4倍高かったということです。

 

77,000人のデータを解析

 

オハイオ州立大学包括的がんセンターの疫学研究チームは、フレッドハッチンソンがん研究センターと国立台湾大学と共同で、大用量のビタミンB6/B12サプリメントの長期摂取が肺がんに及ぼす影響に関する初めての前向き観察研究を『臨床腫瘍学雑誌』に発表しました。これらのビタミンは、一般的には発がんリスクを下げるものと考えられていました。

 

テオドール・ブラスキー博士らの研究チームは、ビタミンと生活習慣コホート研究の参加者77,000人のデータを解析しました。この長期にわたる前向き観察研究は、ビタミンやミネラルのサプリメントががんリスクに及ぼす影響を評価するためにデザインされました。すべての参加者が50-76歳で2000年から2002年の間にワシントン州で集められました。参加者はまず、過去10年間にわたってのサプリメントの使用状況を聞かれました。その際、しばしば忘れられがちな、けれども極めて重要な問題である、サプリメントに含まれるビタミンの量も調べられました。

 

データの解析にあたって、研究チームは、喫煙歴、年齢、人種、学歴、体格、飲酒歴、がんの罹患歴と家族歴、慢性肺臓疾患の罹患歴と家族歴、抗炎症剤の使用歴などの影響が除かれるように統計的技法を用いて調整を行いました。

 

大用量のビタミン・サプリメントが問題

 

「これら他の関連因子の影響を等しいものにセットすることで、我々はより純粋にビタミンB6とB12の大用量摂取の影響を取りだしました」とブラスキー博士は説明しています。「私たちのデータは、大用量のビタミンB6とB12の極めて長期にわたる摂取が、男性喫煙者の肺がん罹患率を高めることに寄与していることを示しました。これは間違いなくさらに検討を進めるべき価値のある発見です。」

 

ブラスキー博士は、これらの知見は、総合ビタミン剤を10年摂取するよりかなり多くの用量を摂取したことに関連していると述べています。「これだけの摂取量は、大用量ビタミンBサプリメントを摂取しない限り達成することはできません。これらのサプリメントには、米国の食事摂取基準の何倍ものビタミンが含まれているのです」とブラスキー博士は述べています。

 

検証実験が進行中

 

現在、ビタミンB6とB12の大用量サプリメントの長期使用と肺がんリスクをさらに検討するための二つの関連研究が同研究所で進行中だといいます。そのひとつは、閉経後女性を対象にしたもので、今回の結果である女性ではリスクを高めないという知見を追認するためのもの。ふたつめの研究は、男性を対象とした別の大規模前向き研究で、今回の結果が再現されることを検証しようというものです。

 

出典:『臨床腫瘍学雑誌

編集者プロフィール

  • 山野秋生(やまの あきお)
  • 薬学博士。専門は栄養学。科学的根拠に基づいた栄養と健康に関する知識の普及および啓発活動に努める。ダイエットアプリ『Mealthy』の理論面のサポートも担当。《ダイエットアプリ》 Mealthy

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