睡眠不足だとお腹周りが太くなりやすい可能性

山野秋生 | 世界の論文から見える最新の健康・栄養ニュース 第21回

睡眠不足の人は、お腹周りが太くなりがちなだけでなく、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールの低下がみられたということです。研究者らは1日7-9時間の睡眠を推奨しています。

 

 

仕事が忙しかったり、悩み事があったりする日常のなかでは、睡眠時間も不規則になりがちですが、貧しい睡眠パターンをもつ英国人は、肥満になり、代謝系の健康に問題を起こす可能性が高い、という英国リーズ大学の研究結果が発表されました。

 

今回研究チームは、夜間の平均睡眠時間が6時間の者は、9時間の者に比べて、ウエストが平均3cm大きいことを発見しました。時間がより短い者はさらに太い傾向だったといいます。この結果は、不十分な睡眠が2型糖尿病のような代謝疾患の発症に関与している、というエビデンス(科学的根拠)を強化するものといえます。

 

睡眠時間と体重・代謝指標との関係を調査

 

リーズ大学分子疫学の研究リーダーであるローラ・ハーディ博士らの研究チームは、睡眠時間と体重の関連だけでなく、血圧、血清コレステロール値、血糖値、甲状腺機能などの代謝系の健康を示す指標との関連についても検討しました。調査は、1,615名の英国成人を対象に実施され、睡眠時間と食事パターンが調べられました。また体重、ウエスト周囲径、血圧、さらに多くの血中指標が検査されました。これらの生物学的指標と睡眠時間の関係が解析されました。

 

共同研究者のグレッグ・ポッターは、「世界の肥満者人口は、1980年以来2倍上に増加しています。肥満は、多くの疾患、特に2型糖尿病の発症に関与しています。人々の体重が増える理由を理解することは、公衆衛生上の重要事項なのです」と述べています。

 

睡眠不足で善玉コレステロールが低下

 

短い睡眠時間はまた、低いHDL-コレステロールの血中濃度に関連していました。HDL-コレステロールは、「善玉コレステロール」と呼ばれることもあり、血中から身体に良くない脂肪を除去する働きを持っています。その働きによって、HDL-コレステロールは、心血管系疾患から私たちの身体を守ってくれるのです。

 

興味深いことに、研究では短時間睡眠がより不健康な食生活につながり易い、というような証拠はまったく見つからなかったといいます。これは、研究者らとっては実に驚きだったということです。というのは、他のいくつもの研究で、短い睡眠時間が貧しい食生活パターンにつながりやすいことが示唆されているからです。

 

結果の解釈には注意が必要

 

本研究だけで睡眠不足が代謝に悪影響を与えるとの結論を出すことはできません。睡眠時間と睡眠の質に関するより客観的・長期的な研究を経て、睡眠・食事・代謝の関連性が明確になります。

 

主任研究者のローラ・ハーディ博士は、次のように述べています。「私たちは、平均よりも短い睡眠時間を報告した者が肥満者である傾向が高いことを発見しました。これは、充分な睡眠の重要性を示唆する結果です。充分な睡眠時間というのは、人によって様々でしょうが、多くの成人にとっては、7-9時間だというのが専門家による一般的な見解といえます。」

 

今回の研究結果は、夜間の充分な睡眠の健康に及ぼす重要性についての増え続けるエビデンスに新たな知見を加えるものだといえるでしょう。

 

出典:『プロスワン

編集者プロフィール

  • 山野秋生(やまの あきお)
  • 薬学博士。専門は栄養学。科学的根拠に基づいた栄養と健康に関する知識の普及および啓発活動に努める。ダイエットアプリ『Mealthy』の理論面のサポートも担当。《ダイエットアプリ》 Mealthy

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