抗酸化物質には肺がんリスク低下効果の可能性がある

山野秋生 | 世界の論文から見える最新の健康・栄養ニュース 第14回

カロテノイドとビタミンCが豊富な果物や野菜を食べることで、喫煙者・非喫煙者の両方に肺がんリスクの低下効果が認められた、という症例対象研究の結果が発表されました。サプリでなく食事で摂ることが重要かもしれません。

 

 

カロテノイドとビタミンCが豊富な果物や野菜を多く摂取することで肺がんのリスクが下がるかもしれない、というカナダ・モントリオール大学の研究結果が発表されました。この効果は喫煙者と非喫煙者の両方にみられたということです。

 

カロテノイドとビタミンCは、どちらも野菜や果物に豊富に含まれる栄養素です。カロテノイドは、植物色素の一種で、中にはβ-カロテンのようにヒトの体内でビタミンAに変換されるものもありますが、それ以外のカロテノイドにも様々な健康効果があるといわれています。ビタミンCもビタミンとして体内で酵素の働きを助ける他に、様々な健康効果があることがこれまで報告されてきました。

 

『腫瘍学の最前線』誌に発表された今回の研究は、モントリオールで実施された肺がんの症例対照研究(肺がん患者1,105名、健常対照者1,449名)のデータを用いて、喫煙の程度がカロテノイドやビタミンCのような抗酸化物質の効果にどのように影響するかを検討しています。

 

ヘビースモーカーの肺がんを予防

 

解析の結果、カロテノイドとビタミンCが豊富な食事は、肺がんに対して予防効果のあることがわかりました。β-カロテンを最も多く摂取した上位4分の1の人は、最も少なかった下位4分の1の人に比べて、肺がんの発症リスクが34%低かったのです。他のカロテノイド(α-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン)とビタミンCにも同様のリスクの低下が認められました。また、ビタミンCがヘビースモーカーの女性の肺がんを減らすことや、β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペンが、ヘビースモーカーの男性の肺がんを減らすことも明らかになりました。

 

「3種類の一般的な肺がんのうち、私たちはβ-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ビタミンCの高い摂取が、扁平上皮がんのリスクの低下と関連していることを観察しました。また、β-カロテンとα-カロテンの高い摂取は、腺がんのリスクの低下と関連していたのです」と共同研究者のマリ=エリーズ・パラン教授は述べています。「さらに、β-クリプトキサンチンとリコペンの中程度および高い摂取は、小細胞がんのリスクの低下と関連していました。」

 

ビタミンCは非喫煙者にも有効

 

これらの抗酸化物質のいくつかは、ヘビースモーカー以外の女性の肺がんリスクを下げる効果もあるということです。「私たちの研究から、ビタミンCが非喫煙者の女性の肺がんに予防効果をもっているという、今まで知られていなかった関係も明らかになりました」と本研究の筆頭研究者のマーチン・シャレックは述べています。

 

喫煙は、世界中でがん死亡の主要な原因である肺がんの最大のリスク因子ですが、食事もまた肺がんの発症に影響を及ぼす因子です。本研究の著者らは、本研究の結果に基づいて、カロテノイドとビタミンCの豊富な果物と野菜の摂取を促進することが、ヘビースモーカーを含む喫煙者および非喫煙者の肺がんを減少させるために望ましいことである、と結論付けています。

 

サプリメントの効果は不明

 

ところで、β-カロテンやビタミンCなどの抗酸化物質はサプリメントのかたちでも入手可能ですが、果物や野菜でなく、サプリの形で摂った抗酸化物質については、がんの発症を予防するよりもかえって促進するという結果も別の研究で報告されるなど、現在のところ一致した見解にはいたっていません。今回の研究結果は、あくまでも食事の形で摂取した場合の効果についてですので、ご注意ください。

 

出典:『腫瘍学の最前線

編集者プロフィール

  • 山野秋生(やまの あきお)
  • 薬学博士。専門は栄養学。科学的根拠に基づいた栄養と健康に関する知識の普及および啓発活動に努める。ダイエットアプリ『Mealthy』の理論面のサポートも担当。《ダイエットアプリ》 Mealthy

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