叶美香だけじゃない! 誰にでも起こるアレルギー「アナフィラキシー」の対処法

2015年12月07日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第2回

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叶美香さんが、お医者さんに処方された咳止めの薬でアナフィラキシーショックとなり、入院中とニュースになりました。アナフィラキシーは、「どんな薬でも、誰にでも起こる可能性がある」アレルギーです。予防するにはどうしたら? いざ自分の身に起きた時のために、どんなことができるでしょうか?

アナフィラキシーは、「早い、やばい」


アナフィラキシーというと聞き慣れないかもしれませんが、簡単に言うと「短い時間で起こる、命に関わる重大なアレルギー反応」を指します。アナフィラキシーは「早い、やばい」と覚えてください。

食べ物でじんましんが起こったり、金属でかぶれたりするのもアレルギーですが、アナフィラキシーの場合はこれらのほか全身の至る所に症状が出るのが特徴です。叶美香さんは処方せん医薬品でアナフィラキシーが起こりましたが、市販の医薬品や、食べ物のようなほかのアレルゲンも原因となります。また、はじめて飲むお薬だけでなく、叶美香さんのようにこれまで何回も飲んできたお薬でも、突然発症する場合があります。

アナフィラキシーを起こすと、次のような症状がみられます。

【アナフィラキシーの症状】
• じんましん、赤み、かゆみ
• くしゃみ、せき、息苦しさ
• 目のかゆみ、むくみ(腫れ)、唇や舌の腫れ
• 腹痛、嘔吐

また、この様な症状によって、血圧が急激に低下したり、意識がなくなったりして命の危険が迫った状態を「アナフィラキシーショック」といいます。叶美香さんは本当に生死の境をさまよっていたということなんですね。

アナフィラキシーが起きたら、すぐに病院に行きましょう。一旦おさまっても、また症状が現れることがあります。

アレルギーの「サイン」を覚えましょう! アナフィラキシーが起こる確率を減らすコツ

アナフィラキシーを完全に防ぐことは、残念ながらできません。ですが、アレルギーの起こりやすい医薬品の種類や、アレルギーをひどくする原因、軽度のアレルギーの症状を予め知っておくことで、ある程度予防をすることができます。自分がどんな時、どんな薬でアレルギーを起こしやすいのかを知っておくのは、とても大事なことです。

【よくある薬物アレルギーの症状】
• 発疹(皮膚にぶつぶつができる)
• 皮膚や目のかゆみ

お薬を飲んでこのような症状がでたら、それは体からの「危険信号」。次に同じお薬を飲むと、重いアレルギー症状が起こる可能性があります。まずはそのお薬を一旦中止して、すぐにかかりつけ医や薬剤師に相談してください。また、お医者さんにかかる時や、薬局でお薬をもらう時、市販の医薬品を購入する時も、必ずお薬でアレルギーが起こったことを伝えましょう(製品名や成分名もいっしょに!)。

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【薬物アレルギーを起こしやすい薬】
• 抗生物質
• 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の入った鎮痛剤、解熱剤
• 造影剤
• 抗がん剤、局所麻酔薬、筋弛緩薬、生物学的製剤

鎮痛剤や解熱剤は、市販の医薬品でも沢山売られていますが、決してこれらが危険というわけではありません。ただ、これまでの調査でアレルギーを起こす人が多いので、使う際は前述したような症状が出ていないか、特に意識した方がいいということです。

【アナフィラキシーを重くしたり、増幅させたりするもの】
• 喘息などの呼吸器疾患
• 心血管疾患
• マスト細胞(アレルギーに関わる細胞)の異常
• アレルギー性鼻炎、湿疹
• うつ病などの精神疾患
• 一部の高血圧の薬(β遮断薬やACE阻害薬)
• アルコール、鎮静剤、睡眠薬、抗うつ剤
• 運動、かぜなどの急性感染症、精神的ストレス、旅行のようないつもと違う活動、月経前

自分がこれらの場合に当てはまる場合は、少し注意して過ごしましょう。また、一度アナフィラキシーショックを経験したことのある方や、アナフィラキシーを起こす危険性が高いと思われる方は、アドレナリン自己注射薬を携帯することが望ましいです。

泣き寝入りせずに、国に報告! 薬で起きたアレルギーは、治療費が返ってくることも


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『医薬品副作用被害救済制度』をご存じですか?

これは、今回ご紹介したアナフィラキシーショックのように、医薬品を正しく使ったにも関わらず入院が必要なほどの副作用が起きてしまった場合、国が患者さんを救済する制度です。

病院や薬局などを介さず、患者さん本人(亡くなった場合はその遺族)が直接申請する制度となっているので、なかなか知らない人も多いようです。

申請先は、製薬会社ではなくPMDA(医薬品医療機器総合機構)です。こちらに治療にかかった請求書や診断書などを送付します。PMDAは、患者さんからの請求を受けると、厚生労働大臣に給付ができるかどうか判定をしてもらいます。もしこれで給付可能との判定が出れば、副作用の治療にかかったお金を一定額補償してもらうことができます。(※がんや免疫抑制剤など、対象外の医薬品もあります。)

万が一重い副作用が出てしまった場合にはこの様な制度があることを覚えておいてくださいね。

★手続きの方法など詳しい説明はPMDAの特設ページ(*出典1)をご覧ください。
★制度について相談したい事がある方は、『救済制度相談窓口』(*出典2)へ。

プロフィール

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はぐれ薬学院生(♀)/プサラ研究所研究員
下町生まれ下町育ち、都内の薬学系大学院に通う新人薬剤師。学部生時代は居酒屋、家庭教師、舞台スタッフ、ベンチャーの営業など、およそ薬学と関係のないバイトに明け暮れながらもなんとか卒業し薬剤師の資格を取得。普通に就職するつもりが、たまたま入った研究室の実験が楽しくなってしまい、気付けばそのまま大学院へ。現在は研究をしながらドラッグストアでバイト中。回り道をしまくった薬学院生が、日々の研究や仕事で“こりゃしみるなぁ“と感じたニュースをお届け。お薬や健康・美容のことなど、読者の方が「知りたい!」と思ったことにもお応えします(随時質問受付中!)。写真は最近はまっている奈良漬けのにぎり。

<出典・参考文献>
1.医薬品医療機器総合機構 「医薬品副作用被害救済制度」
2.医薬品医療機器総合機構「救済制度相談窓口」
3.日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン(2014年11月1日 第1版)

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