子どもの血液型を知っておくべき?

2016年10月12日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第36回

 

入園入学準備の頃には、血液型検査を希望されることがよくあります。ただ知りたくて来院する方もいます。子どもの血液型検査には、カン違いもワナもコツもひそんでいるようなので、実際どうしているかに触れて説明しようと思います。

 

そもそも血液型を知る必要はあるの?

 

よく聞かれるのは、「手術や輸血などのときのために、調べておいたほうがいい?」という質問。

別にそんなことはありません。輸血前には血液型検査を行います。ご家族が「この子はA型です!」と言って書類を見せてくれたからといって、検査を省略することはないはずです。

また、輸血は血液型情報だけで行われるものでなく、実際に「輸血しようとする血液」と「患者さんの血液」との反応も確認してから行います。

 

入園入学の書類に血液型を記入する欄があるとき

 

 

しばしば見かけますけれど、どうして血液型記入欄があるのでしょうね。しかも健康診断書ではなくて、家族が記入する書類にあることがほとんどです。つまり、医療機関の証明はいらないわけでしょう。まさに参考程度という感じがします。問い合わせると「未検査」と記入してもよいと言われることもあります。子どもに無駄な検査を受けさせたくなければ、確認してみるとよいと思います。どうしても必要な理由はなさそうですよね。どうやら日本独特の習慣なのかなという気もします。そのうち座高測定みたいになくなるかもしれませんね。

 

さて、たいていの保護者は必要ないならば検査の希望を取り下げますけど・・・

 

それでも、子どもの血液型を知りたい場合:何に注意する?

 

1 ABO式血液型とRh式

 

血液型にもいろいろありますが、検査を希望したときは、ふつうABO式とRh式のD抗原について結果をもらいます。

ABO型の検査には、オモテとウラと二種類の試験が行われます。小さな赤ちゃんではオモテ試験のみを行い、将来「変わった、違った」と言われることがあります。

この理由は主に2つ

①新生児ではまだ母体からの影響を受けています。

②また、血液型を定める成分も生まれたばかりでは不完全で、ゆっくりと育っていきます。だから小さい子の血液型検査の結果は、確実とは言えないのです。

 

2 血液型検査を受ける時期

 

上述の理由で、あまり小さい頃はおススメできません。でも、出産する施設によっては、ついでに検査してくれることがあります。参考までに知りたければ希望してはいかがでしょう。臍帯血で調べるなら、赤ちゃんは痛くないですしね。

子どもから採血するのであれば、少なくとも1歳前は避けたほうがよいと思います。結果は不確かですし、貧血になりやすい時期に不急の採血をすべきではありません。乳児期は著しく成長するため、鉄の摂取が追い付かずに貧血になりやすいのです。体重5kgの赤ちゃんから1mlの採血をするのは、50kgの大人が10ml取られるようなものです。そのように比べると、少量とはいえ不急の採血を避けたくなるのではないでしょうか。

小学生くらいになれば、体重も血液型もしっかりしてきています。本人も知りたいと思うなら、検査を受けてもいいかもしれません。落ち着いて採血もできるでしょう。

 

3 血液型を知りたいだけなら自費診療

 

医療上必要な場合でなければ、血液型検査に健康保険はききません。お値段は医療機関によってまちまちです。ちなみに私が知っている相場は、三千円から五、六千円まで。おそらくどこでも同じような結果報告書をくれるし、採血のウマヘタとも関係ないと思います。通常は当日検査結果をもらえることはなく、後日また足を運ぶことになります。

 

4 子どもとの話し合い

 

物ごころがついていると、たいてい本人は採血を嫌がります。

 

子ども:えー、注射、やだやだやだ

ママ:ほら、でも、調べておこうよ

子ども:いい、いい、いらない

ママ:わがまま言わないの

 

 

この問答、場合によっては母の怒りと児の涙の戦いになってしまうんですよね。医師は自費の血液型検査に関して、保護者を応援することはありません。心の内では子どもを味方したくなっています。でも感情的な二人に割って入るときは中立をとります。そうすると、結局は権力のあるほうが勝つことがほとんどです。親の意思が通ってしまうのです。本当にわがままなのは、どちらなのかな。どうか話し合いはご自宅ですませてきてくださいますよう、ぜひよろしくお願いします。

 

5 ついでの採血で

 

例えばアレルギー検査、肺炎で入院、などの理由で、採血する機会があった場合。ついでに血液型検査を希望するという手があります。この場合も血液型検査は自費になりますが、痛い思いをする回数は減るわけです。わざわざ注射されるよりいいでしょう。

ここでの注意点は、採血前に希望を言うことです。後で血液が残っているかを聞いても、おそらく検査できません。

 

どうも日本では性格診断やアンケートによく血液型が使われるから、調べておきたくなるのでしょうかね。でも実は、私も子どもの血液型を知りません。もう高校生で、採血する機会も何度かあったのですが。本人が知りたければ、自分でお金払って調べればいいと思っています。

 

 

プロフィール

Dr.しろくま子

 

20世紀の末に某国公立大学医学部卒業。二児の母。両親は非医師。フルタイム勤務に復活する際、保育所探しに難渋して転居。通勤・夜間労働と子育てに四苦八苦で家が荒れる。三十代前半に配偶者事情で北米へ。帰国後は小児科一般診療や専門外来を担当。好きなものはテディベア、通勤電車での読書。ドイツ語が少し読めるようになってきました!

 

編集:プサラ研究所

 

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