エッセンシャル・オイルの体内への吸収経路(アロマテラピー講座~Vol.4)

2016年09月23日

 

西洋では古くから「自然の医薬品」として認知されているアロマテラピー。人々は天然の植物オイルに様々な薬効を見出してきました。では、このエッセンシャル・オイル(精油)はどのように体内に吸収され、作用するのでしょうか?

 

精油は3つのルートで体内に吸収される

 

精油の芳香分子はたいへん揮発性に富んでいます。そのため私たちが吸い込むと、次の3つのルートで、すみやかに体内に吸収されていきます。
ルート1は、精油の芳香分子が気管支を通り、肺の中にある肺胞群に入っていく経路です。この肺胞は、たくさんの毛細血管がとりまき、血液中のガス(酵素や二酸化炭素など)の交換を行っています。精油の分子はこの肺胞を通して血液中に溶け込んでいくのです。そして、血液の流れに乗って全身を駆け巡り、視床下部や大脳辺緑系を含む大脳全体の組織、各臓器を循環、代謝されていきます。
ルート2は、気体を吸い込んだ後、鼻腔粘膜にある嗅覚上皮という、わずか5平方センチメートルしかない薄い粘膜を通して吸収される経路です。
ルート3は、同じく鼻腔粘膜にある嗅覚器官を通して吸収される経路です。

 


 

嗅覚器官は神経細胞の束から成り、ここを揮発性の小さな芳香分子が通ると、嗅細胞の中の嗅毛が刺激され、興奮するのです。嗅毛は、嗅神経の先端の繊毛で、大脳辺緑系と直接つながっています。嗅細胞が芳香分子を瞬時に識別し、電気信号に変えると言われています。つまり鼻腔内のコンピュータ解析装置のようなものです。

 

精油の成分が大脳の快・不快の情動に作用する

 

嗅細胞は約200万個もあると言われます。精油の成分は嗅細胞に吸収され、嗅神経を伝わって大脳辺緑系に到達します。他の感覚と違い、嗅覚だけが、快・不快の情動や記憶と深く関わっている大脳辺緑系と直接つながっているのです。
つまり、私たちの感情や心理状態に影響を及ぼすということです。
また、精油の成分は大脳辺縁系だけでなく、視床下部にも作用すると言われています。視床下部は免疫系や自律神経系に関わっている部位です。そこに天然由来の植物成分の極小分子が穏やかに作用することに注目しましょう。
精油の中には異なる化学構造を持つ、いくつもの芳香分子があることは以前、述べたとおりです。これらの分子集団が脳内で快い信号に変換され、私たちの情動に良い影響を及ぼすように働いてくれたら…? そこにこそアロマテラピーの意義があると私は考えています。
こうして私たちの体内を血液に乗って駆け巡った精油は、最後に水溶性になり、主に腎臓から尿に溶け込んで排出されます。また皮膚の汗の中や、肺の呼気の中、大腸の便の中にも排出され、役目を終えるのです。

 

<プロフィール>
長谷川記子(はせがわ・のりこ)

1955年、茨城県水戸市生まれ。星薬科大学薬学部卒業、薬剤師。在学中より皮膚科、予防医学、香りに興味をもち、ガンや認知症患者を対象にアロマテラピーの実践とQOLの向上に取り組む。有限会社チェリッシュ・インターナショナル代表取締役。本稿は自著『ガンを癒すアロマテラピー』(リヨン社)からの引用、抜粋による。

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