ボケは40代に始まっていた その2

2015年12月01日

認知症の兆候は、やはり「物忘れ」が増えていくことから気づく場合が多いのです。加齢による物忘れとの違いを、病院ではどのように診断しているのでしょうか。

認知症の始まりをチェックする

 

前回は、加齢による物忘れと認知症による物忘れの違いを紹介しましたが、認知症ではないかと疑い始めるのは、やはり物忘れが増えたというのがきっかけになるようです。
最も多いアルツハイマー病では「近似記憶」が失われるので、同じ質問を繰り返す、物を置き忘れる、年月日があやふやになり約束を忘れるといった症状が出てきます。
次のチェック表で確認してみましょう。

今はあてはまる項目が少なくても、定期的にチェックして項目が増えていくようなら認知症の兆候かもしれません。
もし、おやっと思ったら、「物忘れ外来」を設けている病院で診察を受けましょう。
病院では認知症かどうか、どうやって判断するのでしょうか。その判断は、患者さんが診察室に入ってきたときから始まっています。顔つきや歩行の様子、診察用の椅子にすっと座れるか、麻痺は出ていないかなどを見ます。認知症は脳の老化が加速度的に進んでしまう状態ですから、物忘れ以外にも行動や言動など、さまざまなところに症状が現れます。

 

認知症患者に見られる特徴的な行動とは

 

認知症の行動で特徴的なものが二つあります。「取り繕い」と「振り返り」です。認知症で最も多いアルツハイマー病では、新しい記憶による脳での書き換えが行われないため、何か聞かれても的確に反応できず、答えをはぐらかすなど、その場その場を取り繕うことが多くなるのです。
「振り返り」は、付添いの家族を頼りにして助けを求めるように振り返ることを指します。自分では上手く答えられないことに不安を覚え、その不安から生じる動作です。

また、症状が進むと、視空間機能障害が生じます。この機能の確認のためによく行われるのが「キツネとハト」と呼ばれるテストです。群馬大学の山口晴保教授が開発したもので、医者が患者さんの前でキツネやハトの形を指でつくり、それをまねしてもらうのです。影絵遊びでおなじみの形ですね。

キツネは中程度の認知症患者でもまねすることができるのですが、ハトは軽度の認知障害でも6割がうまく形がつくれなくなります。
簡単なテストですが、こちらもご自身やご家族の認知症判断の助けとなります。


◆参考図書:『ボケは40代に始まっていた』西道隆臣 編著(かんき出版)

プロフィール

 

西道 隆臣(さいどう・たかおみ)
理化学研究所脳科学総合研究センター神経蛋白制御チーム シニアチームリーダー。日本認知症学会理事。早稲田大学客員教授、横浜市立大学・日本女子大学・千葉大学・東京大学・名古屋大学・筑波大学・東北大学で教鞭をとる。筑波大学生物学類卒業、東京大学大学院薬学系研究科修了、薬学博士。

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