薬を使ってもよくならない?別の医療機関にかかる前に考えること2

2016年09月21日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第33回

今回は先週のつづきです。処方された薬を飲んでもよくならないとき、別の病院を探す前に落ち着いて振り返ってみませんか。原因は薬自体ではないことも多いのです。

 

酷な注文:絶対に咳を止める薬がほしい

 

「明日はお受験だから」「発表会があるから」、「強い薬をください」と言われることがあります。

 

でも咳は体が病原体や痰などを出して、病気を治そうとして起こるのです。だから咳を止めることは、自己防衛にさからうことになります。また、体が自分を守るための反応というのは、かなり必死なものです。完全におさえたかったら、呼吸を止めるくらいのつもりで立ち向かう必要があります。ちなみに強い咳止めは麻薬性のものです。今どきの小児科医はあまり出しません。

 

 

薬は効果と安全性を天秤にかけています。多くの症状は体が自分のために起こしているので、薬でガッチリ止めることは少ないのです。「効かない」のでなく「効かせられない」こともあるわけです。

 

食事や睡眠、生活習慣はどうですか?

 

服用方法は守っている。でもダメだ、よくなっていく気配がない!

 

このような場合、病気とたたかう体力がないことも多いようです。栄養や睡眠は足りていますか?

 

治療の主人公は薬でなく、本人であることをお忘れなく。自分も体に協力しなければ、治りづらくなります。無理して仕事や保育園へ行けば、また新しい風邪をもらう危険もあります。だから、せめて休日はゆっくり過ごし、栄養補給を!

 

 

そんなこと、みんな知っているかもしれません。でも、わかっていることと、できることは違うもの。きついけど、つい遊びに行ってしまうのでは?お腹をこわしていてもラーメンを食べたり、風邪が長引いているのに鼻をかまなかったり…(第3回5回参照)。「よく治らない」と思うときは、立ち止まって生活を見つめ直してみてください。

 

そして、長い不調の原因がアレルギーなどだったということは成人でもあります。「あんなに困っていたのに、食事や生活習慣を変えたら治った」という例。薬よりも直接原因を除いたほうがスンナリ解決するわけです。症状が長引くときは記録をつけてみて、心当たりがでてきたら相談を。

 

薬の細かい調整:例えば、ステロイド剤と保湿剤、どちらを先に使う?

 

「なんだかよくなったり悪くなったりしてる…」などというとき、細かい配慮で差がつくことがあります。

 

例えばステロイドは、吸収量をゆっくり減らす工夫をします。ふつうはステロイド剤の後に保湿剤、よくなったら逆にぬると思います。入浴後も赤みやかゆみが出なければ、よくなっていると考えます。減らし方が早すぎて失敗することも多く、こまめな相談が大切です。ちなみにステロイドは体の中でも作られていて、成分が怖いのではありません。恐れるべきは不適切な使い方なのです。

 

最後に、処方のときに言われない前提について

 

「あのね、きれいにしないで軟膏をぬっても、効かないんだよ。風呂では石けんで洗いなさい。それから、よくすすぐんだよ!」なんて、

昔は年配の先生や看護師さんがよくお説教していたけど、今では珍しい光景。

 

 

保護者の人たちが高学歴になったり、インターネットなどで情報を集めたりして、難しい質問をすることが多くなりました。こうなると医師側は、あまりに基本的な話をすることをひかえます。「もうご存知ですよね、今さら説明するのも失礼かな」と遠慮します。

 

でも、意外と基本的なステップが抜けていた、なんていう話もあります。上の例のように、赤ちゃんの顔を洗わないで薬をぬっちゃうこと、意外と多いです。薬を使っても治らないときは、当たり前のようなところも確認してみてください。

 

 

プロフィール

Dr.しろくま子

 

20世紀の末に某国公立大学医学部卒業。二児の母。両親は非医師。三十代後半からは月に何度も当直を行う体力がなく、研修医を教えたり専門外来やセレブ的小児科外来担当したりしています。好きなものはテディベア。今はドイツ語が読めるようになりたい。二年半ほど北米に住んでいました。

 

編集:プサラ研究所

 

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