小児科って何歳まで?子どもでも内科でいい? 今さら基本的な話1

2016年08月24日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第30回

 

いつだったか内科の先生に、「子どもを診るなんて犬を診るのと同じくらいできない」と言われたことがあります。これを聞いてショックだったけれど、確かに自分も高齢者の診療をしていません。内科と小児科、意外と違うのです。小児科は何歳までか?子供でも内科でいいか?実はよく知られていない基本中の基本のお話です。

 

ごめんね、小児科は中学生までなの

 

一年前まで風邪を引くと来ていた女の子。久しぶりに病院に駆け込んできて、小児科で門前払い。

「高校生は内科です」

「えー、いつもの小児科の女の先生がいいー!」

そう言ってくれてありがとう。思春期だし、いきなり知らない医師、しかも男の人だったらイヤだなという気持ちはわかります。でも、内科と小児科がある医療機関へ行くと、ふつう中学生までは小児科へ、高校生からは内科へ案内されます。

 

 

小児科と内科の微妙な境界線

 

しかし彼女は駄々をこねました。なかなかやり手です。実は絶対の境界線などありません。例えば、同じ理由で続けて通院している場合には、高校生になっても小児科で診療します。「中学卒業と同時にさよなら」なんて、治療途中の子は困るでしょう。状況を見て内科へ紹介するのが一般的です。診療の都合はルールより優先されます。でも彼女の場合はただの風邪症状であり、「継続診療が必要」という状況ではありませんでしたが。

 

成長・発達している時期を診る小児科

 

さて、区切りが中学卒業なのは、この頃にほぼ体の状態ができあがってくるからでしょう。小児科では「育ちつつある体」に起きることを扱います。だから大人とは違う病気、治療を考えるため、内科とは別なのです。

 

 

アッペ(虫垂炎)*・インバギ(腸重積)**・川崎病

 

この3つは見逃すなよ、しろくま子。廊下を唱えて歩いてもいいくらいだ

初めて深夜救急の外来に行くとき、そう上司に言われました。十何年も前のことなのに、まだ憶えています。

虫垂炎はいわゆる盲腸です。腸重積は腸どうしが重なってしまう病気です。いずれも状態によっては手術が必要となるし、夜中であっても放っておきたくはありません。

川崎病は主に4歳以下にみられる血管炎で、多彩な症状を示します。治療が何日も遅れると、心臓の血管に後遺症を残しやすくなるので要注意です。

「でも、川崎病はアッペやインバギほど急ぎませんよね?夜中に見つけても、次の朝に診断してもあまり変わらないのでは?」

と、つっこみを入れたかったのですが、上司は怖いので黙っていました。

実際に川崎病は見逃されやすいのは確かです。特に小さい子が内科にかかったとき、診断が遅れがちになるようです。症状がわかりにくいこともあり、小児科医でもよく迷う病気ですから。

*虫垂炎(Appendicitis→通称「アッペ」)

**腸重積(Invagination→通称「インバギ」)

 

子どもを診てくれる内科もあるよね?

 

そう、開業の内科では、しばしば小児の診療も行っています。何歳から診るかは個々の医師が決めていて、特に資格や経験によって制限されるものでもありません。だから小児科医が内科小児科として開業することもあります。こうした医療機関は、主に経営上の理由で業務を専門外に広げているようです。患者さんやご家族も、その点は念頭においておいたほうがよいと思います。

 

中学生までは小児科が基本ですが・・・

 

もちろん小児診療が得意な内科もあります。家族で同じ医療機関にかかることができれば便利でいいですよね。でも小児診療が得意でない内科の話も聞きます。そして、子どもを任せられる内科かどうかを、保護者の方が見分けるのは難しいですよね?

 

一つの傾向として、小児診療が得意でない医療機関の多くは、子どもを診ることに慣れていません。つまり、どこかに別の医療機関があって、たいていの人がそちらに子どもを連れて行っているのです。したがって近隣の評判は参考にしてみてください。

 

とはいっても、「よいともよくないとも言えない」という結論が出ることもあると思います。そこで専門性と利便性の妥協点をとるならば、少なくとも幼児までは小児科、小学生(できれば高学年)からは内科でいかがでしょう。子どもに多い病気、発達・予防接種の相談などは、ほぼ年齢がひと桁のうちに起きてきます。小学生が内科で大人同様の治療を受けて問題が生じた例も経験しないでもないですが、乳幼児ほど深刻な事態にはなりにくいので。

 

家庭医がいればいいのに!

 

 

海外には家族全員を診る家庭医制度を持つ国もあります。家族みんなを任せられれば、体質や親子での感染症も把握できていいですよね。日本も早くそういう「家庭医」を育成できるといいと思います。残念ながら今は、幅広い年齢の初期対応をこなせる医師は少ないようです。これから医師が増えたら、専門医ばかりでなく家庭医になる人も多くなるでしょうか。ともかくそれまでは、患者さんやご家族が、どこへかかるかを判断しなくてはいけないようです。

 

医学が進歩して細かくなるにつれて、「餅は餅屋」傾向も強くなっています。小児科の中でも専門に分かれていて、「どの領域の最新知見にも通じている医師」はいないようです。同じ人に診てもらえれば安心だけど、見落としは避けたいところ。今後はますます診療の連携が大切になりそうです。

 

 

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