熱だけの風邪が流行っている?

2016年08月17日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第29回

「熱だけの風邪が流行っている?」とときどき聞かれるのですが、そう感じることはありますか?そもそも「熱だけの風邪」って何でしょう?元気なら放っておいていいの?病院へ行かなくていいの?どれくらい続いたら心配すべきなの?今回はこんな話です。

 

熱だけの風邪って何?

 

実は、そんな病名はないと思うのですが、なぜか時おり聞かれるのです。

「今、熱だけの風邪が流行っていますか?」って。

 

 

たぶん「熱だけの風邪」と呼ばれているものの多くは、夏風邪のウイルス第26回参照)の感染症だと思います。ほんの少し便がゆるくなろうと、ちょっぴり咽が痛くなろうと、熱に比べて他の症状が地味だと気にされにくいですよね。これといって簡単な検査もなくて、確定診断がつきにくい。それで、「熱だけの風邪」と言われるのだと思います。だから夏によくこの質問が出るわけです。

 

元気なら放っておいていいの?

 

 

これはイエスでありノーでもあります。なぜかというと、「熱だけの風邪」ならば、ほとんど自然に治るけど、それが「熱だけの風邪」なのかは、病初期はわからないからです。熱が出始めたとき、風邪かどうかを完全に判断することはできないのです。終わってから「風邪だった」と言えるわけです。

「それでは役に立たないし、助けにならないよ」と怒られそうですね。

じゃあどうしましょう。

 

病院へ行くべき?

 

 

面倒ですが、診察を受けて「まぎらわしいもの」と区別することをおすすめします。最終的な判断はできなくとも、可能性を狭めることはできます。

なにしろ、大人が38度以上の熱を出すというのは、少し珍しいでしょう?小学校に入る頃からは、あんまり熱を出さないですよね。ただの風邪でいちいち発熱するのは幼児までがほとんどです。つまり、他に原因があることも多いのです。したがって、1日以上38度以上あれば、診察を受けたほうがいいと思います。

忙しくて市販の解熱剤に頼るとしても、無理はしすぎないよう。薬の選び方も慎重に。(第2回参照)中学生が解熱剤のロキソプロフェンでしのごうとして、副作用で大変なことになった、という例も経験しています。

 

「熱だけの風邪」とよく間違われるもの

 

例えば溶連菌感染症(初回参照)、尿路感染症(第20回参照)など。これらは抗生物質が有効ですし、放っておくとイヤなことが起こりうるので、ちゃんと診断・治療したいものです。

その他、思わぬ病気が隠れていることもあります(第10回参照)。大動脈解離とか、服腎腫瘍とか。診察してみたら、おたふくかぜだったこともあります。

「熱だけ」という症状は、あなどりがたいのです。

 

子どもの熱、病院にかかるタイミング

 

ちょっと子どもが熱を出すたびに受診していては、きりがない。そんな言葉を聞くことがあります。特に保育園に入ってから半年の間は、しょっちゅう風邪を引くでしょう。その都度お仕事を休んで受診するなんて難しい。でも子どもに無理をさせすぎたり、手遅れになったりするのは避けたい。ならばいつまで様子を見ましょう?

 

元気そうな幼児でも、発熱3日目までには受診したいところです。小さな風邪なら1,2日で治るものです。3日目にもなると、長引き始めている感じがしますよね。ただの風邪ではないかもしれない。食べて遊べれば重症の病気は少ないけれど、やっぱり気になります。

つまり、初日に受診しても、熱が3日続いたら、もう一度診察を受けたほうがよいとも言えます。

 

赤ちゃんは早めの受診を

 

生後3か月未満の赤ちゃんであれば夜中でも救急受診を考えます。小さい子は病気の進みが早かったり、脱水になりやすかったりしますから。生後6か月を過ぎると、だいぶ落ち着いて様子をみることができるようになります。それでも1歳までの乳児には尿路感染症なども多いので、熱に気づいた次の日までには受診したいところです。もちろん元気がなければ、早々に診察を受けましょう。

 

さて、「熱だけの風邪」と間違えられるものに、熱中症もあります。熱が高くておかしいな、と思ったら、くれぐれも無理をしないようにしてください!

 

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