何がきくの?ドラッグストアで最適な胃薬を選ぶコツ

2016年07月27日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第30回


ドラッグストアでお薬選びのお手伝いをするとき、お客さまにいろいろと質問することが多いのが、胃薬。自分にぴったりの製品をチョイスするための、胃薬の「キモ」をお伝えします。

 

胃薬はトラブルの原因から選ぶと外れにくい


胃薬ほどバラエティに富んだお薬はありません。風邪薬は「頭痛・発熱」「鼻」「のど」の大きく3つの症状に分けることができ、成分もそれぞれはっきりと違いますが、胃薬は同じ「痛み」「もたれ」でも対応の仕方が異なってきます。また、お薬を飲むベストタイミングも、製品のタイプによって違います。

一応、風邪薬と同じように「総合胃腸薬」というものも売られてはいますが、胃薬の場合、これは最後の手。胃薬は自分の症状や原因に合ったシンプルな物を選んだ方が、効果を実感できます。

胃薬は、胃のトラブルの考え方から、大きく4つのタイプに分けることができます。まずはこれを知っておけば、合わない薬を選んでしまうことが減るでしょう。

 

胃のトラブルは「攻撃因子」と「防御因子」のバランスの崩れ


胃の環境はシーソーのようなもの。胃酸や消化酵素、アルコールのように、胃への刺激となる「攻撃因子」と、これに対抗する「防御因子」のバランスでできています。このバランスのもとは、自律神経や胃腸のぜん動運動によって作られます。

暴飲暴食で胃への刺激が増えたり、ストレスがかかって自律神経が乱れたりすると、バランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こします。
また、市販の鎮痛薬の一部は胃を荒らす副作用がありますが、これは薬効成分が胃粘膜を傷つけ、防御因子を下げてしまうことが原因です。

そこで、どちらかの因子に働きかけることで、シーソーのバランスを正常な状態に近づけようとするのが、胃の治療の基本的な考え方です。

 

また、シーソー全体の力が弱まってしまう(胃の機能が低下する)こともあります。これにより、食べ物を消化する酵素の分泌(攻撃因子)が減る一方で、胃の血流量(防御因子)も減り、消化不良、胃もたれの原因になります。

そして、ストレスなどで胃が過度に緊張すると、キリキリとさし込むような痛みが起きることがあります。この場合は、胃のけいれんを取り除く成分がよく効きます。

このような考え方から、市販の胃薬はざっくりと4つのタイプに分けることができます。

 

タイプ1「攻撃因子を下げる、制酸剤/胃酸分泌抑制剤(H2ブロッカー)」

タイプ2「防御因子を上げる、胃粘膜保護剤」

タイプ3「胃の機能を底上げして攻撃因子と防御因子両方を上げる、健胃薬」

タイプ4「胃のけいれんを抑える、鎮痙薬」


総合胃腸薬と呼ばれるものは、まったく原因がわからない人向けに作られており、健胃成分や消化酵素そのものなどの「攻撃因子も防御因子も上げる成分」(タイプ3)が入っているのと同時に、「攻撃因子を下げる」制酸剤(タイプ1)も一緒に配合されており、胃のシーソーに相反する成分を一度に取ることになります。
そのため、総合胃腸薬は、ひとつのタイプだけの薬よりも、効き目が弱くなってしまうと考えられます。よほど原因がわからない時でなければ、総合胃腸薬は避けた方が無難です。

*薬の影響で胃が荒れていると感じる場合は、まずはその薬を処方した医師に相談してくださいね。

 

胃薬は「原因」と「時間」で考える


だいたい、胃がおかしいなと感じる時は、なんとなく思い当たる原因があるのではないでしょうか。とりあえず全部入りの製品を選ぶのではなく、「この原因にはどちらのタイプがあっているのかな?」と考えると、意外とすんなり解決します。
お店の方に相談するときも、原因から話して頂いた方がスムーズかもしれません。

また、原因がわからなくても、食前・食後のどちらがひどいか?差しこむような痛みか、焼けるような痛みか?日中に痛いのか、夜に痛いのか?若い人なのか、お年寄りなのか?などの質問から、ずいぶんと絞り込むことができます。

 


●症状は空腹時か、食後か?
空腹時:防御因子の低下(胃粘膜の荒れ)の影響が大きい。→タイプ2
食後:攻撃因子の上昇(胃酸分泌が増える)の影響が大きい。→タイプ1

●(胃痛の場合)差しこむような痛みか?胸焼けに近いか?
差し込み痛(または食後のみぞおちの痛み):胃の痙攣が多い。→タイプ4
商品で言うとブスコパンは昔から有名ですね。

胸焼け:攻撃因子の上昇の影響が大きい。
→タイプ1 
※胸焼けがある方は攻撃因子の影響が大きいとと考えられますので、タイプ3のお薬は避けましょう。胃酸が多めにでているところに、さらに追い打ちをかけてしまいます。

●ストレスが原因の強い胃痛や胸焼け、夜間に症状が悪くなる人は
→タイプ1
なかでも、第1類医薬品(薬剤師から購入)のH2ブロッカーが適しています。商品名で言うとガスター10などがあります。ただし、H2ブロッカーはご高齢の方や免疫抑制剤を使っている方、水虫の飲み薬を使っている方、貧血気味の方などは使えない場合もあり、制限が多いため、必ず薬剤師さんの話を聞いて相談することが大事です。

●お年寄りの方は
→タイプ2
特に胃粘液の産生を助けるテプレノンやゲファルナートが良いです。加齢により粘液層(防御因子)が減っているので、攻撃因子を弱めるよりも、防御因子を補うようなお薬が向いています。商品でいうとセルベックスは有名でしょうか。

暴飲暴食気味
→タイプ1、タイプ2、タイプ3
胸焼けがある場合はタイプ3は避けましょう。脂っこいものを食べた後にもたれやすい方は、リパーゼなどの消化酵素入りのものも良いでしょう。清涼剤(l-メントール)が入ったものなら、一時的に胃がすっきりした感覚を得られます。ウコンや肝臓水解物などの肝臓を助けたり利胆作用のあるものを追加するのも良いでしょう。

 

胃薬は人によって気をつけたほうがよい成分が多い


多彩な胃薬ですが、色々な成分がある分、人によっては向かない製品も多いです。
買う前にパッケージの注意書きをチェックしましょう。

お年寄りや緑内障・前立腺肥大症の方、透析中の方など医療機関で治療を受けている場合は、必ずお店の方に相談してくださいね。


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