どんな漢方薬を飲めばいい?神様に聞いてみよう!

2016年08月19日

元気のヒント・松浦優子の台湾暮らし(金曜更新) 第39回


中医学の知識を持った人が少なかった時代、人々はお寺で神様から処方箋をもらっていました。「藥籤(ヤオチェン)」というおみくじを私も体験。お寺の隣の漢方薬局では、今でも神様の処方通りに薬を出してくれます。

 

台湾の人は、神様と結構リアルに仲良し


異国情緒あふれる豪華絢爛な台湾のお寺は、観光客にも大人気。でも何より、地元の台湾の人たちにとって、神様はとても身近な存在みたいです。

 

▲私の行きつけ、龍山寺(台北市)


台湾には道教・仏教・キリスト教などいくつも宗教がありますが、お寺の数が一番多いのはやはり道教。たくさんの神様がいます。

台湾の人は、神様との距離感が近いというか、関係がリアルです。
日本では、なんとなく運試しという感じでおみくじを引いて、それぞれの項目を確認したりしますよね。台湾のおみくじは全然違います。

例えば、「今の会社を辞めたほうがいいでしょうか?」とか「今の彼女と結婚していいでしょうか?」とか、きっぱり具体的に「質問」しなければなりません。でないと質問自体にダメ出しをくらいます(詳細は後述)。

台湾のおみくじの体裁は日本のものに似ていますが、全部の項目は見ません。自分が質問した項目だけを軽くチェックし、その後、ご神託の中国語詩の意味を、お寺にいる「おみくじ解説係(解籤人)」の人に教えてもらいます。

 

▲台北・龍山寺のおみくじはこんな感じ


おみくじを渡すと、まず、「で、神様に何を尋ねたの?」と聞かれます。かくかくしかじか、と答えると、その質問への答えとして、神託詩の意味を読み解いてくれるわけです。

台湾の神様は、はっきり質問しないと答えてくれません。
そして、その答えもはっきりしています。
それどころか、漢方薬の処方箋まで出してくれちゃうんです!

 

医神「保生大帝」の「保安宮」は、神様の診察室


台湾各地にある「保安宮(バオアンゴン)」は、道教の名医師の神様「保生大帝」を祀ったお寺です。

 

▲保生大帝(台南・興濟宮)


今ではどこにでも漢方クリニックがある台湾ですが、かつては中医学の知識を持った人が少なかったため、人々はこの神様に頼りました。「保生大帝」が出してくれる漢方の処方箋を「藥籤(ヤオチェン)」といいます。「籤(チェン)」はおみくじという意味。

さて、この日私は台南市で「保生大帝」を祀る「興濟宮」というお寺にやってきました。
「藥籤(ヤオチェン)」があるお寺は近年減ってきていますが、ここには残っています。

台湾の普通のおみくじは何回も引いたことがあるのですが、「藥籤(ヤオチェン)」は初めて。見ると、診療科目ごとに分かれているではありませんか!本当にお医者さんに来たみたいだ。

 

▲一番左は普通のおみくじ。藥籤は大人内科、眼科、外科・小児科がある


では、台湾おみくじの必需品「ポエ」を使いながら、「藥籤(ヤオチェン)」をいただいてみましょう。

「ポエ」は神様の意見を聞く道具で、2つセットで一緒に投げます。
・表&裏:よろしい。
・表&表:ダメ!
・裏&裏:質問の仕方が悪い、何言ってるかわからない!(神様が笑っている)
という意味です。

▲表と裏。これが出ればOK


おみくじを引く場合は、
①おみくじ引いてもいいですか?と聞く→ポエでOKが出たら②おみくじの棒を引き、番号を確認する→③この番号でいいですか?と聞く→OKが3回出たら確定、紙を受け取る
となります。(最後の回数は諸説あり)

③のところで「ダメ」と言われたらおみくじを引き直し、それでいいかどうかもう一度聞きます。そこでダメだったらまた引き直しという、非常に面倒くさいシステムです。

しかし私、今回は心がはっきり決まっておりました。それを神様もわかってくれたのでしょうか。引き直しなしのストレートでもらえました。

 

▲私の藥籤(ヤオチェン)。4種類の薬材を煎じて飲めとのこと


おや?ビンロウ(檳榔・連載第4回参照)も入ってます。薬でもあるんですね。

 

神様が処方してくれた薬をもらいに行こう


「保安宮」の隣には漢方薬局がありました。現代的なドラッグストアのような感じなのですが、お店の一角は木の引き出しが並んだレトロな漢方薬カウンター。

私が行った時、先に一人のおじいちゃんが「藥籤(ヤオチェン)」を出していました。おお!今でもやっている人、本当にいるんだなあ。

 


そして私の番です。漢方薬局のおばさんが手際よく漢方薬材を計量し、プラスチックのトレイに載せていきます。1日3回、煎じて飲めとのこと。

 

▲これが私の1回分の漢方薬(処方by神様)


「はい、1回分20元で3個60元(約200円)ね」

うっわ、安っ!!!

私は、それぞれの薬材の効能までは詳しくはわかりません。でも、神様がこれだと言ってくれたんだからいいんだろうな、と、素直に思えてしまいました。なんだか、妙に愉快で嬉しくなっちゃったんです。

神様がきっちり薬の相談にまで乗ってくれる。台湾での神様とのこんな距離感、私は大好きです。


プロフィール

松浦優子


東京都出身。Web広告ディレクターとして勤務後、ひょんな縁で台湾・台北に語学留学し、すっかり台湾に魅了される。帰国後に日本語教師資格を取得し、現在は外国人向け日本語レッスンや台湾現地ニュースの日本語翻訳などを手掛ける。その後も台湾には年数回のペースで訪れ、一年のうち約1か月は台湾に滞在。現地の友達との旧交を温めつつ、もっと深く台湾を知るべく取材活動を行っている。

 

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