レジャーの大敵、乗り物酔いのセルフケア:よく効く酔い止め薬とは

2016年08月02日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第31回


いくつになっても旅は楽しいもの。ワクワクを抱えて、思い出を持ち帰る…そんな素敵なひとときを邪魔するのが、乗り物酔い。実は乗る前からのセルフケアが大事です。楽しい旅のおともに、乗り物酔い対策をどうぞ。

 

乗り物酔いの原因は“情報の混乱”


乗り物酔いは、大きく分けて3段階に分けられます。目から入る視覚と、耳の奥(内耳)にある三半規管や前庭部が感じ取る平衡感覚。この2つ位置情報のズレが不快感に変わり、自律神経が乱れ、嘔吐中枢が刺激されます。

 

 


乗車時間が長かったり、においなどの強い刺激(においは不快情報を受け取る大脳辺縁系を直接刺激するため、酔いを悪化させやすい)が入ったりすると、酔いが最後まで進み、吐いてしまうことになります。

自分が酔いやすいと感じている方は、旅の長さに応じて対策をたてましょう。
乗り物酔いは心理的な影響も大きいので、セルフケアや酔い止めを活用することで、乗り物酔いに対する不安を和らげることが大事です。

 

 

酔わないためのセルフケア


乗り物酔いは自律神経の乱れや脳の混乱によって起こるため、乗車時の体調や環境、気分の状態に大きく左右されます。
乗るときだけでなく、前日から睡眠や食事に気をつけると良いでしょう。
「酔いやすいから朝ごはんは食べない」というのは、間違い。空腹は逆に酔いを早めてしまいます。

 

乗車前のセルフケア

●前日に睡眠を十分とる
●体を締め付けない服装(特におなかを圧迫しないもの)
●空腹、満腹は避け、消化のよい食べ物をとる。
●柑橘類は避ける(消化が悪い)
●タンパク質と鉄分を補給する
●ペパーミントガムや甘いものを食べる

 

乗車中のセルフケア

●座る場所は、乗用車なら助手席、バスや船は中央部がよい
●進行方向を向いて乗る
●遠くの景色を見るようにする
●視線を下に向けない(読書、ゲーム、スマホを見るなどは避ける)
●なるべく換気して、新鮮な空気を吸うようにする
●会話や音楽など、気分が楽になることをする
●アルコールや柑橘類は避ける

 

酔ってしまったら…

●胸元やベルトをゆるめ、目を閉じる
●外の新鮮な空気を鼻からゆっくり吸って口で吐く
●可能なら車から降り、外気に触れながら休む
●氷を5〜10分ごとに1個ずつなめる
●吐いてしまったら、冷たい水で口をゆすぐ

 


観光バスで他のお客さんがにおいのするものを食べ始めると、乗り物酔いしやすい人には苦痛ですよね。私は柿ピーのにおいがダメです(家で食べる分には最高なのですが…)。
においで酔いやすい方は、ペパーミントの精油やハッカ油をマスクやハンカチにたらし、苦手なにおいをなるべく嗅がないようにするのも良いかもしれませんね。

 

 

 

酔い止めは酔ってからでは遅い?


酔い止めは乗り物に乗る前に飲めと聞きませんか?
市販の酔い止めのほとんどは、嘔吐中枢を刺激する原因を抑えるものですが、飲んでから効果を発揮するまで30分〜1時間くらいかかります。酔ってから飲むのでは手遅れになってしまうため、酔い止めは乗車の30分〜1時間前に飲むのが良いといえます。「酔い止めを飲んだから大丈夫」、という心理的なオマケもつくので、乗る前に予防的に飲むことをオススメします。

酔ってからでも効く薬は?
市販の成分で酔ってからでも効果があるのは、ジフェニドール塩酸塩(商品名:トラベルミンRなど)というものです。これは、嘔吐中枢を直接抑えるほか、めまいを抑える効果があり、酔ってからでも効果があると言えます。
また、メクリジン塩酸塩スコポラミン臭化水素酸塩(商品名:トラベルミン1、センパア液など)も酔ってから効くと言われています。

 

 

酔い止め薬の使い分け


旅の楽しみ方によってオススメする酔い止めも変わってきます。

長旅に向いている薬は?
さきほどご紹介したメクリジン塩酸塩ですが、大きな特徴として効果が長時間持続するというものがあります。他の成分では4〜6時間のところ、メクリジン塩酸塩は一回飲むと12〜24時間持続すると言われています。長時間乗車する場合はメクリジン塩酸塩の酔い止めが便利です。

また、船乗りさんに人気と言われているのがアネロン「ニスキャップ」。これは様々な成分をカプセルに配合したもので、1日1回で効く持続型の酔い止めです。船旅のように陸地よりも自由がきかない場所での使用には、このようなお薬が適しています。

眠気の出にくい薬は?
市販の酔い止めはほとんどが抗ヒスタミン薬と呼ばれるお薬で、副作用として眠気やふらつき、目のかすみが挙げられます。その中でも比較的副作用の出にくい成分としてジメンヒドリナート(商品名:エアミットなど)やマレイン酸クロルフェニラミン(商品名:アネロン「ニスキャップ」など)が挙げられます。
また、ジフェニドール塩酸塩(商品名:トラベルミンRなど)は抗ヒスタミン薬ではなく、眠気やふらつきは出にくいと言われています。

道中景色やお喋りを楽しみたい方にはこのような製品がおすすめです。ただし、何れの場合も車の運転や機械操作には支障が出る可能性があるため、酔い止めを飲みながら運転は控えることが必要です。

妊娠中・授乳中に使える薬は?
妊娠中・授乳中の酔い止めの使用はオススメできません。授乳中にどうしても必要な場合は、飲んでから丸1日は授乳をやめるのが安全です。

これに関しては、とても危険だから避けるのではなく、本当に安全か確かめたデータが少ないので、確実なことが言えないというのが実情です。
産婦人科医や妊娠と薬情報センターなどに相談した上で、酔い止めを使ったほうが良いと思われる場合のみ使用するのが望ましいと言えます。


コメント

この記事へのコメントはありません。

この記事の関連ワード

新着の記事

Sidekibit b fefa1c4699a4986147a527399409cd3c5417e373a7c81d98947fd955971daf54

人工知能KIBITが、あなたに合った記事をおすすめします。 初めてKIBITに教えた時は翌朝までお待ちください。