茶薬同源、お茶はりっぱな漢方薬

2016年06月17日

元気のヒント・松浦優子の台湾暮らし(金曜更新) 第31回


4000年前に発見された「お茶」は元々薬として服用されていました。お茶は、副作用がなく毎日飲める「上薬」。台湾烏龍茶は半発酵の「青茶」で、今では多数のブランドが。薬として飲む貴重な「黒金茶」も体験しました。

 

中国茶、そして台湾烏龍茶の奥深い世界


台湾と言えば、茶芸館でいただく美味しい台湾茶は欠かせませんよね。

私、台湾に行って初めて、烏龍茶がこんなに美味しいものだと知りました。それまではペットボトルの茶色い烏龍茶しか知りませんでしたから。

台湾のお茶の歴史は、18世紀末から19世紀初頭に中国・福建省から伝わったのが始まりと言われています。

お茶の栽培に適した台湾の気候や地形に、茶農家たちの高い技術が加わって、台湾茶は大きく発展しました。

さて、お茶というのは植物としては一種類しかありません。緑茶も紅茶も烏龍茶も、全部同じ葉っぱです。

摘んだ後の加工方法によって、色や味が変わってくるんですね。

 


▲製法によって異なるお茶になる(イメージ)

 


中国茶は、製法によって大きく6つに分類されます。

●緑茶:不発酵

●白茶:弱発酵

●青茶:半発酵(茶葉の酵素による発酵を途中で熱を加えて止めたもの。烏龍茶はこれ)

●黄茶:弱後発酵(茶葉の酵素ではなく菌で発酵)

●紅茶:完全発酵

●黒茶:後発酵(茶葉を固めて菌で発酵・プーアル茶が有名)


台湾茶は、多くが「青茶」です(紅茶もありますが)。
有名な凍頂烏龍茶が台湾烏龍茶の元祖。その後、産地ごとに多くのブランドの烏龍茶が生まれています。

同じ「青茶」でも茶農家のさじ加減で様々な風味が生まれる、奥が深い世界です。

 

お茶を漢方薬として見いだした、中医学の神様


中国の農耕と医薬の神様・神農(シェンノン)は、伝説上の皇帝です。中医学と漢方薬学の祖とされます。

唐代に書かれた中国最古の茶書『茶経』には、お茶を発見したのがこの神農だと書かれています。

お茶の発見は4000年前とされており、中医学の2000年の歴史よりもはるかに古いのです。

また、後漢から三国時代に成立した中国最古の漢方薬材百科『神農本草経』には、漢方薬材365種類の中に、お茶が「上薬」として記載されています。

漢方薬は、「上薬」「中薬」「下薬」の3つに分類されます。

【上薬】無毒で、生命を養う薬。長く服用でき、不老長寿に役立つ薬。

【中薬】毒性は弱く、上手く使えば役に立つ。ただし長期間の服用はできない。

【下薬】病気の治療薬。毒性が強く、長期間服用してはならない。


「毒性」というのは副作用と思って大丈夫です。日本では「体にやさしい」というイメージが強いですが、漢方薬にも副作用はあります。

お茶というのは、毎日飲んで体を健やかにしてくれるすばらしい「薬」なんです。

 


▲台湾烏龍茶の茶葉

 


他にどんな漢方薬材が「上薬」なのかといいますと、
甘草(カンゾウ)、山薬(ヤマイモ)、棗(ナツメ)、枸杞(クコ)、蓮の実、はちみつ、黄耆(おうぎ)、桂皮(シナモン)、胡麻(ゴマ)

…うん、身近なものばかりです。

現在中国の医学界で使用されている医薬品事典「薬典」の中薬(漢方薬)部門にも、お茶はちゃんと「薬」として掲載されています。

 

薬だよ、と飲ませてもらった「黒金茶」

 


「薬=病気になった時に飲むもの」という認識を、私たちは変えた方がいいのかもしれません。

もう一歩踏み込んで「上薬」の概念を取り入れたら、「養生(ヤンシェン)」、つまり予防医学が自分のものになるんじゃないでしょうか。

以前、台湾中部の南投県・鹿谷(凍頂烏龍茶の名産地)で旧正月を過ごさせてもらったことがあります。友人の親戚で、茶葉卸をしているおうちです。

私がつたない中国語でいちいち感想を言うのが面白かったのか、今までに飲んだことのない様々な種類の台湾烏龍茶を、次から次へとごちそうになりました。

至福の時でした。

 

 


▲茶芸館のようにおしゃれじゃないけど、それがいい

 


そして最後に、「これは…とっておきだよ」と言って出してくださったのが「黒金茶(ヘイジンチャ)」。烏龍茶をぎりぎりまで炭火焙煎したお茶です。

 


▲黒金茶。光沢があり、石炭か砂利にしか見えない

 


その時に言われたのが、

「これはお茶だけど、薬として飲むんだ。のどにとてもいいんだよ」

深く焙煎されているのでどこかほうじ茶にも似ていつつ、もっと深く、のどに香気が滑り込んでいくような味わいのお茶でした。

 


▲琥珀色の黒金茶

 


そして。

「君はお茶の味がわかるね。よし、これ持って行きな!」

と、黒金茶を軽くひとつかみ、その場で無造作に真空包装してプレゼントしてくれました。

日本に帰ってからネットで調べてみたところ…その稀少性と販売価格に仰天。

貴重な「薬」として、少しずつ大事に飲ませてもらっています。


プロフィール

 


松浦優子

 


東京都出身。Web広告ディレクターとして勤務後、ひょんな縁で台湾・台北に語学留学し、すっかり台湾に魅了される。帰国後に日本語教師資格を取得し、現在は外国人向け日本語レッスンや台湾現地ニュースの日本語翻訳などを手掛ける。その後も台湾には年数回のペースで訪れ、一年のうち約1か月は台湾に滞在。現地の友達との旧交を温めつつ、もっと深く台湾を知るべく取材活動を行っている。

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