油の質が健康の質を決める!これからの食事はリポクオリティがキーワード

2016年06月14日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第25回


【EPA、DHAなどのω3脂肪酸が体に良い理由】エゴマ油、亜麻仁油、ココナッツオイル…最近のスーパーには、健康ブームからたくさんの油が並べられるようになりました。一方で、トランス脂肪酸のように避けられる油も。私たちの食事に欠かせない油、これからは質にこだわるのが常識になるかも?今回は、大注目の「リポクオリティ=油の質」について、最先端の研究に迫ります。

 

油の質にこだわると、何が良いの?〜脂質は体のマルチプレーヤー〜


どうして最近、油が注目されるようになったのでしょう?

もともと、脂質は私たちの体のあらゆる場面ではたらく、マルチな栄養素です。

具体的な脂質の働きには、「生体のエネルギー源」「細胞膜の構成成分」「シグナル分子」の大きく分けて3つがあります。

体の基礎をつくり、体を動かすエネルギーをつくり、体にさまざまな生理作用を起こすのが脂質です。

このうち、3番目の「シグナル分子」について近年研究が進み、体の機能や病気に脂質が深くかかわっていること、そして食事から摂る油の質も重要であることがわかってきました。

★脂質のはたらき★

1. 生体のエネルギー源
・・・脂質は、たんぱく質、糖質と並んで3大栄養素と言われ、効率のよいエネルギー源となります。

2. 細胞膜の構成成分
・・・細胞一つ一つが形を維持するには、細胞膜が必要。脂質は、この細胞膜の主要な構成成分です。

3. シグナル分子
・・・細胞内や細胞同士での情報伝達に使われ、生体が機能するために必要な物質をシグナル分子、メディエーターなどと呼びます。
シグナル分子には大きく「ホルモン」「神経伝達物質」「それ以外(オータコイド)」の3グループがあり、脂質はオータコイドの素材になります。

★オータコイドって何?★


オータコイドは体の局所で生理作用を発揮する物質です。
特に、脂質からできるオータコイドをエイコサノイドと言い、炎症や痛みの原因となるプロスタグランディンのもとになります。油(脂肪酸)の種類によって作られるエイコサノイドも異なるため、どんな油を摂取するかで体の反応も変わってくるのです。

 

 

EPA、DHAって何に良いんだっけ?ω3脂肪酸の効果をおさらい!


EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)はもうおなじみですね。
魚に含まれることで有名なω3脂肪酸の仲間です。

ω3脂肪酸は、私たちの体で作ることはできません。そのため、食事から摂取する必要があります。


ω3というと、頭に良い、眼に良いといったことをよく聞きますが、もともとは血液や血管を健康に保ち、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを予防する効果があることで有名になったものです。

ω3の健康効果については、これまで世界中で研究されています。

日本でも、千葉と九州の久山町で大規模な調査が行われました。特に、2013年に発表された久山町の研究では、血中のEPA/アラキドン酸(ω6脂肪酸)の比が大きい人たち(つまりω6に比べてω3を多く摂っている人たち)の群はそうでない群と比べて総死亡率や心血管死が少なかったことが報告されています。

ところで、EPAとDHAの違いはご存知でしょうか?

同じω3脂肪酸の仲間ですが、EPAは食事から摂ると血中のEPA量も比較的変動しやすい一方、DHAはたくさん摂取しても体内量に差がでにくいと言われています。

また、EPAは血や血管への健康効果が多く報告されているのに対し、脳や網膜などの神経に対する健康効果はDHAだけと言われています。

 

 


実は、魚はEPAもDHAも自分で作れないって知っていましたか?

人間の体では作れないEPAとDHA。これだけ健康効果が証明されているなら、積極的にお魚を摂りたいですよね。

そんなお魚も自分ではω3脂肪酸を作れないって、知っていましたか?

実は、生き物の中でω3脂肪酸を作ることのできる生物種はかなり少なく、進化の段階でω3を作る酵素の遺伝子がなくなってしまったことがわかっています。

お魚にω3脂肪酸が多いのは、彼らが食べているプランクトンの中に、ω3を作ることのできるものがいる、つまり食物連鎖の結果と言われています。海の環境の良し悪しが、魚から摂取できるω3脂肪酸の量を左右するのです。

 

 

日本人研究者が解き明かす「油の質」!リポクオリティの最新研究とは

 

ω3脂肪酸についておさらいしたところで、最後に最新の研究をご紹介しましょう。

実は、大注目の「油の質=リポクオリティ」研究の最前線では、日本の研究者が活躍しています。

理化学研究所の有田誠先生率いる研究チームでは、ω3脂肪酸や他の脂肪酸が体にどんな影響を与えるのかを、マウスやヒトの細胞を使って網羅的に研究しています。

有田先生の研究チームは、体内でω3脂肪酸を作れるようにしたマウスでは、炎症が起きにくい、一部のがんが発生しにくい、太ってもインスリン抵抗性になりにくい(糖尿病になりにくい)可能性があることを発見しています。

また、EPAが体内で代謝された物質は、炎症の発生を抑えたり、心筋梗塞の原因となる心臓の線維化を抑えたりすることがわかりました。

このように、「なぜω3脂肪酸が健康に良いのか」のメカニズムが明らかになると、病気の予防法や治療法の開発につながり、より健康な生活を送るためにはどんな食事が効果的なのかを考えるヒントになります。

研究チームは今後、他の油についても解析を行い、油の質によって体にどんな変化の違いがでるかを解明するとのこと。


私たちの体を大きく変えるかもしれない「リポクオリティ=油の質」。

これからは「リポクオリティ」を意識した食生活が健康のカギとなるかもしれませんね!


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