脳と心が元気になるブレインフード「DHA」

2016年06月13日


日本人の食生活がヘルシーであると世界的に認知されるようになったのは、もうずいぶん前のことです。とりわけ魚類を多く食べることがその特徴とされ、魚の油の主成分DHA(ドコサヘキサエン酸)に注目が集まりました。以前は、不飽和脂肪酸とコレステロールの関係性で取り上げられることが多かったDHAですが、現在、「ブレインフード」と呼ばれているのをご存じですか?

 

なぜDHAを摂ると体にいいの?


ブレインフードの代表格、「DHA」。最近では、脳内の神経物質に働きかけて、「脳と心に効く」成分ということで関心が高まっています。
DHAは、ひとことでいうと、魚などの海産物の脂肪に多く含まれている脂肪酸の一つです。脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二種類があり、一部の不飽和脂肪酸には、脳神経に働きかける成分が含まれています。中でDHAとアラキドン酸という二つの不飽和脂肪酸は、脳の働きに不可欠と言われます。現代の日本人の食生活では、リノール酸(体内でアラキドン酸に変わる)が豊富な食品が多く出回っているので、アラキドン酸不足を心配する必要はあまりありません。他方、魚を昔ほど食べなくなった日本人は、DHAが不足しがちな状況になってきました。
DHAの不足は、情緒不安定を招いたり、不眠症やうつ病、認知機能の低下など、脳の働きを弱める一因となる可能性があります。DHAを積極的に摂ることが、脳や心の健康にはとても大切なのです。

 

DHAは脳内でこんなに働いている!


私たちの脳は約140億の神経細胞でできていて、一つ一つの神経細胞が、たえず「神経伝達物質」をやりとりしながら、心身のあらゆる機能をコントロールしています。脳のおよそ半分は脂肪でできており(水分を除く)、その10%程度をDHAが占めています。記憶・学習を司る「海馬」では、DHAが実に20%以上の高濃度で存在します。DHAが脳においていかに重要な成分かがわかります。

脳内でDHAは、神経伝達物資のやりとりを円滑にしたり、神経細胞の成長を促したりする働きをします。また、活性酸素を除去する能力を高めたり、炎症の原因となる物質の産出を抑えたりして、神経細胞の死滅を防いでくれます。さらに、脳の血管を若返らせ、血行をよくする働きもあります。こうした働きの相乗効果で、脳・神経系のトラブルを立て直すのに大きく貢献してくれるのです。
DHAを含む食べ物を日常的にとることで、ストレスに基づく諸症状がやわらぐことは、多くの研究で報告されています。「キレやすさ」「かっとなりやすさ」を緩和し、うつ、不眠、ADHA(注意欠陥・多動性障害)などの症状改善にも効果が期待されます。
認知症への有効性については、日本神経学会でも認められており、「認知症の予防に魚食を!」という診療指針も出ています。
DHAは、魚のなかでも特に、マグロやカツオ、サバ、サンマ、イワシといった青魚に豊富に含まれています。魚が苦手という人もサプリメントやDHA入りの食品がたくさん出ていますので、積極的に摂って、脳と心を元気にしましょう。

<プロフィール>

 

 

矢澤 一良(やざわ・かずなが)先生

 


「日本を健康にする!」研究会会長。早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所 ヘルスフード科学部門研究院教授。1972年京都大学工学部工業化学科卒業。株式会社ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生態研究室勤務ののち財団法人相模中央化学研究所に入所。東京大学より農学博士号を授与される。2000年湘南予防医科学研究所設立、東京海洋大学大学院ヘルスフード科学講座客員教授、東京海洋大学「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究プロジェクト特任教授を経て2014年より現職。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。

◆参考文献:『ブレインフードDHAで“脳と心”が元気になる』矢澤一良 著(ハート出版)

 

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