仕事も効率化!?バターコーヒーダイエット 薬剤師がゆるく実践!第1回

2016年03月23日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第13回

昨年末から話題のバターコーヒーダイエット。毎朝、無塩の発酵バターとMCTオイルという油をブレンドしたコーヒーを飲むダイエット法です。きっかけとなる本が発売されてから、スーパーやネットショップでは無塩バター、発酵バターの品切れが相次いでいます。一体どんなダイエットなのでしょうか? この2週間実践してみた成果を3日連続でお届けします!

 

ケトン体ダイエットの決定版!?シリコンバレー発、日本でも話題沸騰の“完全無欠”バターコーヒーダイエットとは?

 

 

バターコーヒーダイエットが流行したきっかけは、『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』(デイヴ・アスプリー著/ダイヤモンド社)という本です。シリコンバレーのIT長者である著者は、世界中のありとあらゆるダイエット法を自分の身体で試し(かかった総額なんと30万ドル!)、最終的に最も効果が見られた方法を“完全無欠ダイエット”としてまとめています。このダイエットで中心的な役割を果たしているのが、「バターコーヒー」なのです。

完全無欠ダイエットの概要は次のようになっています。

完全無欠ダイエットの概要
● 朝食は、質の良いコーヒーに無塩の発酵バター(グラスフェッドのもの)とMCTオイルを混ぜたもの
● 食事(バターコーヒー以外)は6時間以内に済ませ、何も食べない時間を15~18時間作る
● 自分の体にとってリスクの高い食品を知り、“完全無欠な食品”(著者が本の中で提唱)を摂る


著者が提唱する完全無欠ダイエットの特徴は、痩せやすい体になり、なおかつ頭の回転もよくなること。この方法でなんと50kg痩せ、IQが20上がったそうです。そのダイエット法とは、近年広く知られるようになった「ケトン体ダイエット」を強化したもの。

ケトン体ダイエットとは、炭水化物を制限することで、通常エネルギー源として使われる糖分の摂取量を減らし、代わりのエネルギー源として余分な脂肪を燃焼するように体質を変えるダイエットのこと。小児の難治性てんかんの食事療法の一つとして医療現場で用いられることもあるほど確立した食事法ですが、以下のようなデメリットもあります。

<ケトン体ダイエットのデメリット>
● 糖質がほとんど摂れない
● 糖質を断つので、体が慣れるまでだるくなったり頭がボーッとしたりする
● 便秘、低体温などが現れる人がいる
● 糖尿病で治療中の人、腎機能・肝機能が低下している人、尿酸値が高い人はまず主治医と相談が必要

<ケトン体ダイエットと糖尿病患者のケトアシドーシスとの違い>
● 血糖値が高い人では、糖を代謝するホルモン、インスリンが不足しているなどの原因で急激に糖の代謝機能が弱まり、極度の高血糖になることがあります。こういう高血糖状態では糖をエネルギーとして使えないため脂肪をエネルギーとするため過度にケトン体が増えることがあり、血液が酸性に傾き(ケトアシドーシス)、吐き気や嘔吐、意識障害が現れ、最悪死に至ることがあります。これは、ケトン体ダイエットで体がケトン体を作り出すようになった状態(ケトーシス)とは言葉は似ていても、全く違う状態です。


バターコーヒーダイエットは、こうしたケトン体ダイエットのデメリットをなるべく少なくした方法です。
カギとなるのがMCTオイル(中鎖脂肪酸100%のオイル)。最近、ココナッツオイルがブームとなっていますが、その健康成分として注目されている中鎖脂肪酸だけを集めたものが市販されています。
中鎖脂肪酸は、一般的な食用油と比べて分子の長さが短く、体に吸収されるとすばやく肝臓に運ばれ、約4~5倍早くエネルギーになります。中鎖脂肪酸はすぐにエネルギーとして利用されるため、中性脂肪として体に貯まりにくいという特徴があります。
また、ケトン体は中鎖脂肪酸の分解によって生じることが知られています。つまり、中鎖脂肪酸をある程度摂取することで、炭水化物を極端に制限しなくてもケトン体ダイエットができるというのが、著者の理論です。

 

 

バターコーヒーダイエットで腸内フローラを操り、脂肪をため込まない“ヤセ体質”を作る

 

 

バターコーヒーダイエット、2つめのポイントは、コーヒーに含まれるポリフェノールの効果。
ポリフェノールは、“ヤセ菌“とも言われる、バクテロイデス門の腸内細菌を増やす効果があります。
肥満体型の人とスリムな人の腸内フローラを調べた研究の結果で、肥満体型の人にはファーミキューテス門という種類の菌が、スリムな人にはバクテロイデス門という種類の菌が多いことがわかりました。
コーヒーを飲むことで、ポリフェノールがバクテロイデス門のエサ(プレバイオティクス)となり、腸内をスリムな人のものに近づけてくれるのです。
反対に、果物に含まれる果糖は、ファーミキューテス菌のエサとなることが言われており、本では朝にフルーツを食べる習慣は逆にダイエットに良くない、としています。

 

食欲調整ホルモンを味方につけて、集中力をアップ! バターコーヒーダイエットは忙しい人こそオススメの、“仕事が捗って、しかもやせる”ダイエット

 

3つめのポイントは、食事の内容と時間を調整することで、本当に必要な時にお腹が空く(=無駄に食べない)身体にすること。
私達の体には「レプチン」という、満腹感と関係のあるホルモンが働いています。レプチンは脂肪細胞から作られ、満腹感やエネルギー代謝の増加、肥満の抑制や体重の制御に関わるホルモンで、名前の由来もギリシャ語の【痩せる】(leptos)という言葉からきています。
レプチンの量は体脂肪に比例すると言われており、太りぎみの方はそれだけレプチンの量も多いと言えます。レプチンの量が多いと、レプチンが出す“満腹シグナル”に体が慣れてしまい、本来体が十分な量の栄養を摂っていてもお腹が減ってしまうのです。この状態が続くと、血糖を調節するホルモンのインスリンにも抵抗ができてしまい、2型糖尿病や肥満につながるとも言われています。

 

 

そこで、レプチンを増やす原因である中性脂肪を増やさないような食事(果糖を制限する、ハイリスクな食品を避ける)を続け、短期間のファスティング(断食)をすることで、増えてしまったレプチンを減らし、体がレプチンに正しく反応する状態に戻す、というのがこのダイエットです。
短期間のファスティングというのが、具体的に1日当たり15~18時間となります。この時間を確保するために、1日の食事をだいたい6時間以内に終わらせ、あとは食事をしないでいる必要があります。しかし、毎日仕事で忙しいビジネスマンには、この生活には耐えられないでしょう。そこで筆者が編み出したのが「バターコーヒー」だったのです。
脂肪は“第六の味覚“と言われるくらい、人の食事に影響する要素。無塩の良質な発酵バターをコーヒーに加えることで、カフェドリンクを飲んでいるような満足感を得ることができます。
バターコーヒーは、コーヒーと脂肪分、少しのたんぱく質しか含まれておらず、ある程度質の良い食材を使えばレプチンが増える心配も少ないです。朝食をバターコーヒー1杯にすることで、空腹感を和らげつつ、ファスティングの時間を確保できるというわけです。

 

 

バターコーヒーダイエットの危険性は?

 

いいこと尽くめに見えるバターコーヒーダイエットですが、本当に“安全“で“完全無欠“かどうかはわからないのが正直な所。
他のダイエットでもそうですが、いくら動物実験の結果を論理的に積み重ねても、たくさんのヒトで試してみなければハッキリとしたことはわからないのです(今回のダイエットの中には、ヒトでの研究結果を基にした部分もありますが、全てではありません)。
ですから、取り入れるかどうかは自分の身体の状態を考えて、場合によっては医師に相談してから決める必要があります。特に、糖尿病や脂質異常症、骨粗鬆症性などの疾患をお持ちの方は、必ず医師に相談してください。

注意しておきたいのが、バターや赤身肉、MCTオイルばかりを偏って摂ること。
本では、これらの食品に含まれている「飽和脂肪酸」(中鎖脂肪酸は飽和脂肪酸の一種です)が酸化されにくく、身体の炎症を誘発しにくい油だとしてオススメされています。
従来、飽和脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化や脳卒中のリスクを上げるものとして“悪者扱い”され、摂取を控える様な指導がされてきました。
筆者曰く、この言説のもとになった研究は方法に問題があり、飽和脂肪酸は無害で制限する必要はない、としています。しかし、飽和脂肪酸の摂取が良いか悪いかという問題は、まだ結論が出ていないのが現状です。

参考に、国立がん研究センターが日本人を対象に行った調査結果をご紹介します。
平成2年に40~69歳の男女を対象に行ったアンケート調査で、飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇した一方、飽和脂肪酸を食べる量が多いグループでは心筋梗塞のリスクが上昇していることがわかりました。(アンケート調査の限界はありますが。)

この結果からは、「飽和脂肪酸は多すぎても少なすぎても良くない」ということが言えます。コレステロールは多すぎても少なすぎても良くないと言われていることを考えると、頷ける結果ではないでしょうか。

 

 

“完全無欠“とはいえど、極端に一部の食品ばかり摂るのではなく、食事の中での割合・バランスを意識した取り入れ方が大事なのは変わりません。
まずは2週間、このダイエットを試して、体の調子を見てみることから。
このシリーズでは、実際にバターコーヒーダイエットを生活に取り入れて、その結果を検証してみます!

次回(第2回)は、バターコーヒーの作り方とポイントをご紹介します。

 

 

<出典・参考文献>
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー・著/栗原百代・訳(ダイヤモンド社)

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