イタリアのスローフードが生む高貴な滴 バルサミコ酢 前編

2016年03月17日

スローフード・スローライフの地イタリア*シエナより愛をこめて 第20回

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スローフードの地イタリアは、その土地に住む人々の習慣が、時間の堆積を経て伝統となり、 タイムスリップをも楽しませてくれる美味しい食材の宝庫。
今回は、11世紀に北イタリアのモデナで誕生したバルサミコ酢をご紹介しましょう。

本物のバルサミコ酢とはね・・・


手間をかけた手法で、伝統とその味が今日まで守られるバルサミコ酢。
「黒の金」と呼ばれる滴について、1800年半ばから高級バルサミコ酢を生産する
レオナルディ社のオーナー夫人、クレリアさんに語っていただきました。

ここに並ぶバルサミコ酢は、自然そのものです。
白いスプーンで試食をした後、スプーンには黄金がかった黄色の痕跡が残りますよ。

工場で大量生産されるバルサミコ酢には、保存料、色と味付けの為のカラメル等、
化学物質が使用されています。
そのようなタイプは、白いスプーンに赤い染みが見えるのです。

バルサミコ酢は、職人気質のイタリア人が手掛けた作品だ


9~10月にかけて収穫された葡萄はそのまま圧搾され、果汁は70度の温度で30時間、
半分の量に凝縮されるまで、釜でゆっくりと加熱されます。

この段階で、弱い酵母が消滅し、強い酵母のみが生き残るんです。

その後、違う材木でできた小樽に移し替えながら、異なる香と味を与えていきます。

・樫:味付け。 ほんの少し、バニラのニュアンスを与えてくれる。
・栗:この木が持つタンニンが、ダークブラウンの色付けとなる。
・桜:甘い味覚と、赤みの色を与えてくれる
・アカシアと糸杉:深みと濃度、どっしり感を与えてくれる
・桑:デリケートなニュアンスを与えてくれる。

夏、40度近い温度に達した時、樽の中では発酵作用が起こります。
そして寒い冬に発酵が停止します。

長年にわたり様々な樽を渡り歩き、最終段階の樽から5ℓがボトリングされるのです。
ボトリングは、極寒で細菌が沈み、発酵活動が休止している12~2月にかけて行われます。

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樽中で静かに呼吸を続けるバルサミコ酢

年を重ねる毎に、老いていくのではなく、美味しく育っていく秘訣


モデナのバルサミコ酢を手掛けるには、沢山の愛、情熱、長い年月の忍耐が必要で、
その結果、美味しいバルサミコ酢が誕生します。

主人は一つ一つの樽を覗き、鏡のように顔を映して確認するんです。 バルサミコ酢は澄んでいて、輝きがなければなりません。
 
もし、そうでないとしたら、バルサミコ酢はカビをまとったことになります。

この状態では、酵母が呼吸できず、死んでしまう。そうなったら、捨てなければなりません。

主人が手掛けるバルサミコ酢は、これまで120以上のメダルやトロフィーを獲得し、
最近では、アメリカでオスカーに輝きました。

私達の仕事は、夏は酷暑、冬は極寒に身を置き、疲労と忍耐を伴う本当に辛いものです。
故に、オスカーを得た時、「この先も続けて行こう!」という確信に満たされました。


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伝統ある本来のバルサミコ酢は、まるで子育てのように長い歳月、手間暇かけて作らていることがおわかりいただけたでしょうか。

次回も引き続き、クレリア夫人のお話しをご紹介。
バルサミコ酢にまつわるエピソードや使用方法をお届けします!

プロフィール

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大多和聖美(おおたわきよみ)
トスカーナ州・シエナ在住。ソムリエ。ワインショップ、小麦粉アレルギー対応レストランでのコック体験を経て独立。「エノテカトスカーナ」を立ち上げ、日本にワインやオリーブオイルの販売を行う。

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