【イタリア発:健康ワイン2】日本人が提唱する自然農法の葡萄畑で・・・

2016年03月10日

スローフード・スローライフの地イタリア*シエナより愛をこめて 第19回

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モンタルチーノ村でブルネッロを手掛けるサンタマリア農園(*)のマリーノ氏は、福岡正信氏が提唱する自然農法を実践している。
日本とイタリア。文化の違う国民同士でも、“体によいもの”を目指すと、自然のバランスを尊重する、という思想に辿り着く。

イタリアに生きる日本の自然農法


農園のオーナー、マリーノ氏の畑に足を踏み入れた時、
「茫々とした畑だな」というイメージを受けた。
しかし、彼の説明に耳を傾けるうちに、同じ景色が違った角度で見え始め、
この状態が、実はとても整っている、ということに気づきはじめる。

以下、マリーノ氏の言葉で語ります。

あなたの国の人である「わら一本の革命」(**)の著者、福岡正信氏は、
農作物に「何もしない」という哲学のもとに、水なしで、米を育てました。
森の中にミカンを育てました。雑木の中で野菜を育てました。

私の畑を見る時、それをイメージしてください。
整理されておらず、森が近くにあって、雑草が多く、昆虫の住み家になっている。

害虫も、虫食いの葉もあるのが自然


ラニエットジャッロ(黄色蜘蛛)と呼ばれるダニは、葡萄の葉に鼻を刺して、
養分を吸い込みます。すると6~7月には葉が黄色くなり、十分な光合成ができなくなる。

かつては、ゼラニウムの汁でできた自然派殺虫剤を使用していましたが、全てを殺す、ということは不自然だ。

次に、フィトセイディサベーラと呼ばれるダニの一種を採り入れることにしました。
私が何もしなくても、このダニが、ラニエットジャッロを食べてくれる。
オランダにあるビオ工房で養殖していることを知り、購入してみたが、子孫を残さない。結局、毎月購入し続けなければならないので、これも却下。

最終的に、ヴィチェンツァ県で農園を営む同僚から解決法を見出しました。

彼の畑の葉を提供してもらい、それを自分の葡萄の枝に差し込むように蒔いていく。
すると、彼の畑から来たダニがラニエットジャッロを食べ、新しい子孫を残してく。

もし、ラニエットジャッロが全滅してしまうと、このダニは餌を求めて、私の畑から出て行ってしまう。バランスが大事なのです。

葡萄の木の上方の葉は、虫の被害が多くみられますが、
問題なのは、葡萄の房のなる下のほう。その部分に問題がなければ、大丈夫です。

葡萄畑が何かを必要とすれば、私は助けます。

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自然農法を熱く語るブルネッロの作り手サンタマリア農園のマリーノ氏

健全な思想は、国境を越える


ローマ帝国の拡大と共にヨーロッパ中に広まったワイン。
長いワイン文化の歴史を誇るイタリアで尊重される日本人の哲学は、
例えて言うならば、東洋医学が症状のある部分だけを治すのではなく全身を整えるように、
葡萄の状態だけを見ず、畑全体、畑を取り巻く環境全体を整えていく、というもの。

マリーノ氏の葡萄畑で目にした日伊のマリアージュは、清々しいものだった。

心身の健康に、地球の健康に、そして自然と人間の共存に、乾杯!


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自然の力でまるまると実った農園の葡萄



*「SANTA MARIA」のブルネッロは日本に輸入されています。
  お問い合わせ先:株式会社ヴィナイオータ http://vinaiota.com/

** 「わら一本の革命」 福岡正信著 春秋社刊

プロフィール

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大多和聖美(おおたわきよみ)
トスカーナ州・シエナ在住。ソムリエ。ワインショップ、小麦粉アレルギー対応レストランでのコック体験を経て独立。「エノテカトスカーナ」を立ち上げ、日本にワインやオリーブオイルの販売を行う。

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