【イタリア発:健康ワイン1】モーツァルトを鑑賞する葡萄たち 後編

2016年03月03日

スローフード・スローライフの地イタリア*シエナより愛をこめて 第18回

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モーツァルトを鑑賞しながら育った葡萄たちから生まれた「パラディーゾ ディ フラッシナ」農園のブルネッロ。口に含むと、果実の風味、ポリフェノールの恩恵に体が喜び、心地よい酔いが広がる・・・後編では、音楽が葡萄とワインに与えた驚くべき影響についてご紹介。

私達に安らぎを与えてくれるモーツァルトは、害虫にとってはストレス!


雨量の多い年、無農薬の畑はうどんこ病(べと病)やオイディウム菌の被害を受ける。
この繁殖を防ぐために、硫黄や硫酸銅などから出来たボルドー液を散布する。
これは、自然に存在する物質の混合溶液として、無農薬農園でも使用が認められている。せっかく散布しても、雨が降ると流れ落ちてしまうので、雨が続くと作り手は苦労する。

しかし「パラディーゾ ディ フラッシナ」農園では、他の無農薬農園に比べ、ボルドー液の使用は3分の1で済んでいる。

なぜなら、音楽を浴びて育つ葡萄の葉は緑が濃く、厚みがあり、少々の被害があっても葉が朽ちて房に被害が及ぶ心配がないためだ。

葡萄に害を及ぼす虫について、ピサ大学が、音量の大きな東の畑と音量の控えめな西の畑に300ずつの罠を仕掛けたところ、罠にかかった虫の割合は1:10で、生息している虫は音量の大きな畑の方が断然少ないことが分かった。

虫は求婚するためにフェロモンを出すが、中には振動を起こし、求愛信号を空気中で発信して異性を呼び寄せるケースもある。
音楽が流れていると、振動が音波に防御され、相手に上手く伝わらないのだ。

モーツァルトは葡萄を刺激し、成長を促進する


葡萄に関して言えば、房が緑から葡萄色へと色づき始める頃、
スピーカーに近い葡萄ほど早く色づく様子が見られる。

葡萄を分析すると、音楽を浴びた葡萄には、糖度とポリフェノールに富んでいる。

抗酸化作用を持つポリフェノールは赤ワインの質において非常に重要で、
アントシアニンは色を、フラボノイドは香りを、タンニンはボディーを支える、赤ワインの心臓的な存在である。
昼と夜の温度差が激しい等、変化に挑発されて生み出されるポリフェノールは
音楽からも刺激を受けている。

自然界からバランスを得ることの難しい酸度に関しても、ジャストとなっている。

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8月後半。夏の太陽で葡萄が焦げないよう、葉が日傘となって葡萄を守る

ロマンと愛情が注がれたワインは、一味違うおいしさ


これらの研究結果を経て、ワイナリー「パラディーゾ ディ フラッシナ」は、
今後の歩みにさらなる自信と勇気を得た。

2011年にリオで行われたアグロエコロジーのイベントでは、
6000件のエコプロジェクトのうち、100の最も優れた持続可能プロジェクトが選ばれた。うち、イタリアのプロジェクトは2軒のみ。
1つは、イタリア大手の電力会社エネル、そして、もう一つは、ここ、モーツァルトと葡萄の研究に携わった「パラディーゾ ディ フラッシナ」農園だ。

音楽の愛情を受けると葡萄は健康に育つ、ということを教えてくれた「パラディーゾ ディ フラッシナ」農園。
彼らの手掛けるブルネッロを開栓する時には、モーツァルトを流し、
生まれ育った情景の語りをつまみに、至福の時を味わいたい!


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シンフォニーのように穏やかでバランスのとれた風味を放つブルネッロ

プロフィール

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大多和聖美(おおたわきよみ)
トスカーナ州・シエナ在住。ソムリエ。ワインショップ、小麦粉アレルギー対応レストランでのコック体験を経て独立。「エノテカトスカーナ」を立ち上げ、日本にワインやオリーブオイルの販売を行う。

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