【イタリア発:健康ワイン1】モーツァルトを鑑賞する葡萄たち 前編

2016年02月25日

スローフード・スローライフの地イタリア*シエナより愛をこめて 第17回

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自然と人間の営みから生まれるワイン。ラベルやテイスティングコメントからの情報に加え、葡萄が生まれた大地と作り手の素性を知ることができたら、もっと豊かなワインライフが味わえる。

大手企業が生産するスマートなワインと、小さな作り手が手掛ける情熱的なワイン


シエナから60キロ南下したところに、モンタルチーノという村がある。
人口僅か5,300人の小さな村だが、イタリアの高級赤ワイン「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」の里として、世界のワインファンに知られる名醸地だ。
ビジネス目当てで参入してきた大手企業の活躍が目立ち、彼らが手掛けるブルネッロが世界市場の多くを占めるが、作り手の数では、中小規模のワイナリーが圧倒的に多く、
その分、作り手の哲学が反映された、様々なテイストを楽しめる。

葡萄畑にも、自分が感じる音楽の感動を!


ブルネッロの作り手「パラディーゾ ディ フラッシナ」のオーナーであるカルロ氏は、ミラノ出身の元弁護士。
彼が初めてこの地を訪れた時、まだ、アメリカ軍が使用した武器の残骸があり、
土地には何も育っていなかった。
しかし、何か惹かれるものを感じ、カブリオレのカーステレオを全開にして 彼のお気に入りの曲、アイネ・クライネ・ナハトムジークをかけた。
すると、丘陵が円形劇場となって音楽が丘を駆け抜け、その光景に大きく感動した。

当時、日本や韓国で行われている、植物と音の研究のニュースに触れ、
特定の周波数を持つ音が、植物の遺伝子に影響を与えることを知ったが、
カルロ氏の関心は音そのものにあるわけではない。
興味があるのは、人間が心地よく感じるハーモニー、
音楽が持つ愛情が、葡萄にどう伝わるか? ということだ。

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息子のウリッセ氏(左)と父親のカルロ氏(右)

一人のパッションは、アンサンブルとなった


カルロ氏は、この土地で2000年からワイン作りをスタート。
好奇心に駆られるまま、12機ほどのスピーカーを畑の隅に立て、
モーツァルトを流した。

その様子が、2006年にアメリカのテレビ番組で紹介されると、
スピーカーなど音響機器開発製造を手掛けるボーズ(Bose)社の関心を引いた。

ある日、ボーズ社の取締役が、創業者であるアマー・G・ボーズ会長からの手紙持って現れた。そこには、こう記されていた。

「カルロさん、私はあなたのことを知りません。しかし、私には直観力があります。
音は、体の中にも宇宙にも影響を与えます。
音楽は、その最高の表現です。
エゴイスティックに、私達人間だけが保持するのは持ったいない。
緑の地球に与えていこうではありませんか!
私はあなたについていきます。
あなたは、ラッキーだ!」

それから3か月後、3人のトップマネージャーが訪れ、6年の契約を交わすと、
フィレンツェ大学、ピサ大学が加わり、共同研究の開演となった。

「まず、これらのスピーカーを外してくれ。ボーズ社のものを取り付ける」

設置されたスピーカーは、84台。
東に広がる1ヘクタールの畑には音量を大きく、西に広がる1ヘクタールには音量を小さく流し、2006年から2012年にかけて両者の比較検討を重ねた結果、
大きなボリュームでモーツァルトを鑑賞した葡萄から、面白い結果が得られた・・・。

葡萄たち結果については、次週で詳しくご紹介します。


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畑に設置されたBose社のスピーカー

プロフィール

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大多和聖美(おおたわきよみ)
トスカーナ州・シエナ在住。ソムリエ。ワインショップ、小麦粉アレルギー対応レストランでのコック体験を経て独立。「エノテカトスカーナ」を立ち上げ、日本にワインやオリーブオイルの販売を行う。

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