今日から使える脂質の正しい知識と手軽な摂り方

2016年10月12日

管理栄養士に聞く、栄養の基礎と簡単レシピ 第2回

炭水化物やタンパク質とともに3大栄養素の1つである脂質。何かと悪者に思われがちですが、体の中ではとても大切な働きをしています。脂質も選び方に注意すれば、健康な体づくりに役立てられるのです。

 

 

料理やお菓子作りに欠かせないバターや植物油、脂ののったおいしいお肉やお魚などなど、私たちの食卓に欠かせない「脂質」。脂質のとりすぎはご存知の通り、肥満の原因となってしまいますが、不足もまた不調の原因になってしまいます。今回は脂質について分かりやすくお伝えしていきます。

 

そもそも脂質とは?

 

脂質は水に溶けず、有機溶媒(エーテルやクロロホルムなど)に溶ける物質の総称で、その構造によって中性脂肪、コレステロール、リン脂質などの種類に分けられます。3大栄養素の中で最も高いエネルギー源(脂質1gに対して9kcal、タンパク質・炭水化物は1gに対して4kcal)となり私たちの体にとって大切な栄養素です。バターやマーガリン、肉の脂身、植物油などに多く含まれています。

 

1日に必要な脂質の量は?

 

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年)では、男性、女性(18歳以上)ともに総エネルギーの20~30%の範囲に収めることを目標量としています。
 

 ≪計算方法≫ 脂肪エネルギー比率(%)=脂質(g)×9/総エネルギー(kcal)×100


例えば30歳女性の場合、1日に必要とされるエネルギー量は2000kcal(身体活動レベルⅡふつう)なので、1日に400~600kcalを脂質で摂取しようとすると、脂質44~66gをとるのが理想的ということになります。※膵臓や胆のうの疾患や脂質異常症をお持ちの方は医師の指示に従って下さい。

 

豚バラ肉60g(20.8g)、サンマ1尾(24.6g)、バター大さじ1(11.3g)、サラダ油大さじ1(14g)をとると、脂質の量が70.7gですので、この女性の場合はあっという間にオーバーということになってしまいますね。

加工食品やスナック菓子、洋菓子など目に見えにくい脂質もあるので、意識していないとあっという間にとりすぎになってしまうので注意が必要です。

 

脂質によるからだへの効果

 

脂質は体内で分解されると、1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。エネルギーは炭水化物やたんぱく質からも作られますが、これらのエネルギー産生量が1g当たり4kcalということと比べると、脂質はエネルギー効率が高い栄養素なのです。ホルモンの原料や、消化吸収に関わる胆汁酸の原料に使われ、余剰分は体脂肪として蓄えて貯蔵エネルギーになります。また、生体膜の成分となり、細胞の働きを維持する役割を果たしています。このように細胞レベルで重要な働きをしている脂質なので、ダイエットしているからと言って極端に避けるのはおすすめできません。健康や美容にも良いとされているβ-カロテンビタミンEも油と相性の良い脂溶性ビタミンで、脂質を合わせてとることで、より吸収率が上がってその効果を発揮してくれます。健康や美容のためにも脂質は欠かせない栄養素と言えますね。

 

とはいえ脂質なら何でもいいというわけではありません。肉の脂(ラード)やバターなどの常温で固形の脂は血中コレステロール値を上げる原因となるので、動物性脂肪に偏ってしまうと、肥満や糖尿病、動脈硬化など生活習慣病にもつながってしまいます。植物性の油や魚油なども合わせてバランスよくとりいれていくのがかしこい脂質のとり方です。

 

良質な脂質を簡単に摂取できるおすすめレシピ

 

脂質の中でも人が体内で合成できないn-6系脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸)、n-3系脂肪酸(α-リノレン酸、DHA、EPA)は食品からとる必要があります。これらは動脈硬化を防いだり、血中のコレステロール値を低下させるなど生活習慣病の予防にも効果的です。n-6系はごま油、大豆油、コーン油、サフラワー油(紅花油)などの植物性油脂に多く含まれ、n-3系はイワシやマグロ、サンマなどの魚油に多く含まれています。これらの食材を使ったおすすめのレシピをご紹介します。

 

(1)まぐろとめかぶのビビンパ風丼

 

脂溶性のビタミン(ビタミンA・D・E・K)は、水には溶けず油脂に溶けて吸収されます。脂質はこれらのビタミンを溶かし込んで、吸収しやすくする働きがあります。ごま油がほうれん草や人参に豊富な脂溶性ビタミンをより吸収されやすくしてくれます。

 

(2)サーモンきのこソテー

今が旬の鮭もDHA、EPAを多く含んでいる食材。脂溶性のビタミンEも豊富でオリーブオイルがビタミンEの吸収率をUPします。また、きのこをあわせることで食物繊維が摂れるので、余分な脂質の吸収を抑制してくれます。

 

最後に

 

すっかり定着した洋食やイタリアン、ファストフードなどは脂質が多くなりがちです。それに比べて和食は、脂質そのものが抑えられ、かつ、脂質の吸収を抑える食物繊維がとりやすいので、積極的に和食を選ぶのもおすすめです。脂質の多い食事のあとは脂質を控えるなど、脂質のとりすぎに注意して、健康的な食生活を送っていきましょう。

 

参考資料

1) 日本人の食事摂取基準(2015年)

2) 改訂新版 いちばん詳しくて、わかりやすい! 栄養の教科書、中嶋 洋子 (監修)

3) クックパッド, 『まぐろとめかぶのビビンパ風丼

4) クックパッド, 『サーモンきのこソテー

 

<プロフィール>

一般社団法人NS Labo [栄養サポート研究所]

 

全国600名の栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やヘルスケア事業に取り組む企業のコンサルティングや商品開発、コンテンツ提供などの事業サポートと、ヘルスケア分野で活躍できる管理栄養士の人材育成、人材紹介を行うほか、ダイエットアプリ『Mealthy』内で管理栄養士による食事サポートなどの事業支援を行う。

 

《WEB》 一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)

《ダイエットアプリ》 Mealthy

 

 

 

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