台湾の産後ケア「坐月子(ズオユエズ)」、陽気の徹底補充で体質改善

2016年09月02日

元気のヒント・松浦優子の台湾暮らし(金曜更新) 第41回

産後の養生「坐月子(ズオユエズ)」では、出産で失われた陽の気を補うための食事がとても重要。台湾は豪華施設やサービスがとても豊富。体力回復だけでなく、この時期の体質改善がその後の人生の健康を左右します。

 

産婦さんの徹底ケア「坐月子(ズオユエズ)」、方法はいろいろ

 

出産後の女性のための徹底した休養期間「坐月子(ズオユエズ)」。色々な禁止事項があり、中には医学的根拠が乏しいものもありますが、現代でも重要視されているのは、なんといっても食事です。お母さんの体調を回復し、母乳の出を良くするための食事は、伝統的には一日5食にもなります。

 

だから、「坐月子(ズオユエズ)」用の特別食を家庭で準備するのはとても大変。

台湾では、いくつかの方法があります。

 

①坐月子センターに入居する

②坐月子用食の宅配サービスを利用する

③坐月子専門のお世話係さんに家に来てもらう

 

台湾には「坐月子中心(センター)」という、産婦と赤ちゃんのためのホテル式療養施設があります。産婦人科に併設のものと、民間企業運営の二種類があります。

完全個室でその他の施設も充実、食事やケアも万全。そのため価格も高く、1ヶ月10万元(約30万円)以上はするそうです。

 

 

▲台北市・藍田產後護理之家の客室。授乳クッションがなければホテルと区別がつかない

 

センターに泊まらずに自宅で休養する場合は、②や③の方法があります。②の宅配サービスは、できあがった料理を1日1回または複数回届けてくれるサービス。

 

③のお世話係さんは、「月嫂(ユエサオ)」とか「月子婆(ユエズポー)」と言われます。赤ちゃんと産婦さんのお世話をしてくれるベテラン女性で、食事の宅配サービスを使わない場合には毎日市場に出かけて材料を購入し、自宅で坐月子用の食事を作ってくれます。

 

「坐月子(ズオユエズ)」の期間は産婦さんの体調回復度によって決まりますが、1ヶ月くらいが中心のよう。長い人では2ヶ月療養するとか。

 

「坐月子ごはん」は、とにかく「陽気」!

 

漢方に根ざした言葉で、「產前宜涼,產後宜溫」というのがあります。妊娠期には「涼(ひんやり系)」の食材を多く摂り、出産後には「温(ぽかぽか系)」の食材を食べるべき、という意味です。

妊娠すると陽の気が活発になり、出産後には大量の血液などを失って陽の気が足りなくなると考えられているからです。

 

なので、「坐月子」の食事では「ひんやり系(涼性・寒性)」の食材を避け、滋養のつくもの・古い血を排出し新しい血を作ってくれるものを食べます。

 

最初に書きましたが、伝統的な「坐月子ごはん」は1日なんと5食!産婦さんは動いてはいけないのがルールですから、ベッドの上でひたすら食べ続けという生活になるそう。

私の友人が入居した「月子センター」は1日3食で、1日の摂取カロリーは2500~3000kclに設定されていたそうです。ある日のメニューを紹介するとこんな感じ。

 

【朝食】主食:ナツメ入り鶏のお粥/副食:ショウガ入り野菜炒め

【飲み物】生化湯(漢方スープ)、乾燥ライチ皮茶×2杯、養肝茶(黒豆・ナツメ・クコ茶)

【昼食】主食:当帰とクコ入り蒸し魚/副食:鶏手羽と山芋の煮込み/スープ:パイコースープ/野菜:菜の花

【夕食】主食:山芋と牛肉の煮込み/煮物:魚のごま油スープ/野菜:エビと豆苗

【ご飯】白ゴマ・黒ゴマ入りごはん×2杯

【デザート】エン麦の牛乳粥×2杯

 

こんな感じのメニューを、友人は1ヶ月間食べ続けました。昔の「坐月子ごはん」では、「麻油雞(マーヨウジー:ショウガと鶏肉のごま油スープ)など、似たメニューの繰り返しだったそうですが、最近はバリエーションも豊かになっているそう。

 

料理はほとんどが「ぽかぽか系」なので、「火気(フオチー)」は大丈夫なの?(連載第8回参照)とも聞いてみましたが、「大丈夫だった~」との答え。やっぱり産婦さんは陽の気が激減しているんですね。

 

メニューに出てくる「生化湯(シェンファータン)」という漢方スープは、女性の体にとても良いスープなので、またどこかでご紹介しようと思います。

▲台北市・馨月產後護理之家の「坐月子ごはん」

 

「坐月子」で体質改善、冷え性・腰痛知らずのカラダに

 

「坐月子(ズオユエズ)」をダンナさんの立場で経験した友人にも話を聞きました。奥様は施設滞在まではしなくても…という感じだったのですが、姑さん(友人のお母さん)が「絶対ちゃんとやらなきゃダメ!」と、「坐月子中心」に入居させました。

 

その姑さんは仕事が忙しくて「坐月子(ズオユエズ)」ができず、歳をとってから同世代の「坐月子」経験者と比べて体調不調が多かったそう。だから、自分の息子のお嫁さんには絶対しっかり養生してもらうんだ!と、固く決心したそうです。

 

「坐月子(ズオユエズ)」をした友人たちも、その効果は実感しています。

・出産前のひどい冷え性がすっかり治った!

・腰痛になりにくくなった!

あと、子宮筋腫が改善したという人もいるそうです(友人が聞いた話ですが)。

長期的には、女性が避けて通れない更年期障害が軽減されるということもよく聞かれます。

 

坐月子は、産後の体力回復だけでなく、女性がその後の人生のために体質改善をする最高のチャンスだというのが、台湾では常識のようです。

 

友人たちの話を聞いて、「出産は病気じゃない!」なんていう日本の心ない人たちに是非聞かせてあげたいと思いましたし、日本の女性も食事で体質を改善することにもっと積極的になったらいいのに、と思いました。

 

友人:「でもね、坐月子(ズオユエズ)にはひとつだけ欠点があって」

私:「えっ、何?」

友人:「……太るんだよね(爆笑)」

私:「それは…その後の子育てで痩せようよ(笑)」

 

 

プロフィール

松浦優子

 

東京都出身。Web広告ディレクターとして勤務後、ひょんな縁で台湾・台北に語学留学し、すっかり台湾に魅了される。帰国後に日本語教師資格を取得し、現在は外国人向け日本語レッスンや台湾現地ニュースの日本語翻訳などを手掛ける。その後も台湾には年数回のペースで訪れ、一年のうち約1か月は台湾に滞在。現地の友達との旧交を温めつつ、もっと深く台湾を知るべく取材活動を行っている。

 

編集:プサラ研究所

 

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