ボケ予防に効果的な食べ物とは? ~その2

2015年12月04日

認知症の原因となるβアミロイドは40代から溜まり始めます。認知症のリスクを減らすには、日頃から脳や細胞の老化を防ぐ食生活が大切になってきます。

カレーのクルクミンに大きな期待

 

アルツハイマー病とカレーはどのように関係しているのでしょうか。
まず、ある科学雑誌の統計学的数字を見てみましょう。インド・ニューデリー近郊に住む1000人と、アメリカ・モノンガヘラという町に住む1000人で、65~75歳の人を対象に、アルツハイマー病の発症率がどれくらい違うかを調べた数値です。
それによれば、インド人はアメリカ人と比べ発症率が4分の1であるという驚異的な数字が報告されました。
その要因として注目を浴びたのが、インド人の食生活には欠かせないカレー料理です。
カレーにはさまざまなスパイスが使われていますが、基本となるのが、ウコンという黄色いスパイス(英語名はターメリック)です。その中のクルクミンという成分が、発症率の軽減に影響を与えていることがわかってきました。
マウスを使ってクルクミンのテストをしてみると、脳に溜まったアミロイドのしみ=老人斑が減少することが確かめられました。
アルツハイマー病は、アミロイドが溜まって神経細胞を壊してしまうために起こります。クルクミンには、アミロイドの凝集を防ぐ作用があるのですから、それが含まれるカレーを食べることはアルツハイマー予防につながると言えます。
日本人の好きな料理に挙がることが多いカレー。アンチエイジング食として、これからも大いに食べていきたいものです。

 

根本治療薬の開発とクルクミン

 

クルクミンは、認知症の根本治療薬の開発にも光明を与えています。
私が認知症の新薬開発を志したきっかけは、母がこの病になったことでした。高卒で研究補助職として製薬会社に入社した私は、やはり専門知識を学ばなくてはいけないと決心し、大学の夜間部に進学。仕事と勉強の両立は大変でしたが、学位を取得し、新薬開発も担当、ようやく親孝行ができると思っていたところ、母が認知症になってしまったのです。
認知症の薬の研究に取り組んだ結果、アリセプトという新薬を生み出すことができたのですが、母の存命中には間に合いませんでした。新薬の開発は困難の連続です。その苦労は著書『杉本八郎 創薬への途』(京都廣川書店)に詳しく紹介しています。
現在は、ベンチャー企業グリーン・テックの代表として、認知症の根本治療薬の開発を目指し研究を続けています。カレーと認知症の関係からヒントを得た、クルクミン誘導体薬は、来年、臨床試験に入ります。
それとは別に、認知症予防を可能にするサプリメントの研究にも取り組んでいます。

アルツハイマー病は、患者の人格を崩壊させるだけでなく、家族まで大変困難な状況に追い込んでしまう病気。21世紀に最も克服すべき病気の一つです。私は母が亡くなったときに、改めて「この薬を絶対、創るのだ」と誓いました。その思いは今も変わりません。


次回は、認知症の予防に向け、カレー以外にも日常食べておきたいものを紹介します。

◆参考図書:『加齢に勝つにはカレーを食べよう』杉本八郎著(インプレス)
http://quickbooks.impress.jp/?p=1124

 

プロフィール

 

  杉本八郎(すぎもと・はちろう)先生
同志社大学大学院脳科学研究科チェアプロフェッサー、京都大学大学院薬学研究科最先端創薬研究センター客員教授、薬学博士。日本薬学会理事、有機合成化学協会理事。世界に先駆けてアルツハイマー病の治療薬「アリセプト」を創った研究者。エーザイ株式会社に就職後、中央大学理工学部工業化学科を卒業。15年の歳月をかけ1000を超える化合物を合成し、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」の開発に成功した。

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