近ごろよく聞く「難聴」を知る ~ その1『突発性難聴』とは?

2016年07月28日


テレビや雑誌のヘルスケアに関するニュースで「難聴」という言葉を目にし、耳にする機会が増えてきました。今回はそのなかでも話題になることが多い『突発性難聴』について探ってみましょう。年々患者が増え続けているこの病気の症状、治療法とは?

 

突然、片方の耳が聞こえなくなる!


『突発性難聴』とは、突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気のこと。それまで耳の病気を経験したことのない人が、はっきりした原因もなく、突然そういう状態になるのですから、本人は驚くばかり。通常は片側の耳だけが聞こえなくなりますが、まれに両耳に症状が現れることもあります。この『突発性難聴』、実は厚生労働省において特定疾患指定されている難病です。
難聴には、音を伝える働きをする外耳や中耳に起きる「伝音難聴」と、音を電気信号に変換する内耳に起きる「感音難聴」の2種類があり、『突発性難聴』は後者に属し、「感音難聴」の一種と言われています。いつ発症したか本人が自覚できるほど、ある時突然聞こえなくなるというのが特徴で、耳鳴りやめまい、また耳閉感(耳が詰まった感じ)を伴うケースもあります。
『突発性難聴』の受診者は、2001年の厚生労働省研究班によって行われた調査では、年間で推定3万5000人、人口100万人に対して275.0人となっています。それに先立つ1993年の調査では年間推定2万4000人(人口100万人に対して192.4人)ですから、受診者が年々増加する傾向にあることがわかります。

 

原因が特定されていない難病


この病気の特徴としてもう一つ挙げられるのは、はっきりした原因がわかっていない点です。ウイルスの感染が原因だとする説、血流が妨げられて血液が行きわたらないことによる内耳の機能不全を原因とする説が有力とされていますが、最近は、めまいや耳鳴りを引き起こす心身の強いストレスも原因の一つとして注目されています。
『突発性難聴』にかかる人は50~60歳代に多く、男女差はほとんどありません。飲酒や喫煙、日頃の睡眠時間は関係しないと言われています。発症前に心身の疲労を感じていた人が多いようです。また、おたふく風邪、はしか、みずぼうそうの病歴を持った人が患者に多いという傾向が見られるほか、高血圧、糖尿病、心疾患の既往症も多いことから、生活習慣病との関係もあるのではないかと論議を呼んでいます。しかし、まだ明確な結論が出ていないのが現状と言えます。

 

発症してから1週間以内に受診を!


突然耳が聞こえなくなった(あるいは聞こえにくくなった)と感じた時にいちばん大切なことは、「できるだけ早く耳鼻咽喉科の診察を受ける」こと。『突発性難聴』は発症してから1週間以上経って治療を始めると、1週間以内に治療を開始するのに比べ、聴力の回復率が著しく低くなります。さらに1カ月を過ぎるとほとんど回復が見込めないと言われているので、ぼやぼやしていないですぐに病院に駆け込むべきです。
1週間以内に治療を始めた場合、発症時「聞こえにくい」程度の状態であれば、30~60%の患者は日常の生活に支障がない程度に回復すると言われています。
治療は薬物によって行われます。前述したように原因が突き止められていないため、完全に確立された治療法はなく、病院や施設によって多少の違いはありますが、副腎皮質ホルモン(ステロイド薬)を中心に、ビタミン剤(B12、B6)、末梢血管拡張剤、血流改善剤、線維素溶解剤、神経賦活剤などを併用するのが一般的。安静も重要とされるため、症状の重さによっては入院治療を勧められることもあります。

『突発性難聴』は治療によって聴力の回復が望める数少ない「感音難聴」の一つと言われています。繰り返しになりますが、回復の可能性を高めるためにも、ご自分や家族の身に起こったら、できるだけ早く耳鼻咽喉科で診察・治療を受けるよう心がけてください。

(ライター/三好達彦)

<参考図書>
馬場俊吉『専門のお医者さんが語るQ&A めまい・耳鳴り』(保健同人社)

<参考サイト>
みみから。』 
eonet.jp 健康』 
難病情報センター

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