幻の「耳ローソク健康法」を求めて

2016年03月11日

元気のヒント・松浦優子の台湾暮らし(金曜更新) 第18回

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台北の夜市で見かけた不思議な健康法「耳燭(アルジュー)」は、耳にローソクを突き立てて燃やすというシュールな光景が印象的でした。いつの間にかその夜市から姿を消してしまったのですが、探して体験してきました。

士林夜市で見た、耳に突き刺さり、燃え上がるローソク


台湾観光では外すことのできない夜市(ナイトマーケット)。中でも最も有名なのが、台北の「士林(シーリン)夜市」でしょう。数々の台湾B級グルメ・小吃(シャオチー)、健康的な台湾スイーツ、格安の洋服や雑貨、懐かしさを感じられる縁日のゲームなど、見どころいっぱいの場所です。
さて、今から10年ほど前、留学中の私が士林夜市で「何じゃこりゃ?!」とびっくりした出店があります。これです。

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▲士林夜市にて。2006年1月、友人撮影


テントの下に長机と椅子がコの字型に並んでおり、等間隔に枕が。そして、座った人は枕に頭をのせ、耳にローソクを突き刺して燃やしています。ローソクのカバーはたぶん、梅酒とかを入れるプラスチック容器です。何なんだこのシュールな光景。

既に士林夜市からは姿を消した、幻の健康法「耳燭(アルジュー)」


私に強烈な印象を残したこの「耳ローソク」、中国語では「耳燭(アルジュー)」といい、伝統的な健康法として知られています。燃やしているのは普通の蝋燭ではなく、ロウを染み込ませた麻布を中空にして巻いたもの。この特別なローソクを耳の穴に突っ込んで燃やすと、ローソク内側の空洞の圧力が下がることで、耳垢や老廃物を吸い出してくれるのだそう。また、耳鳴りや頭痛軽減の効果もあると謳われています。

当時から興味津々だったのですが、この(無理におしゃれに言うと)オープンエアな、衆人環視の状況では試す勇気は出ず。そうこうしているうちに、士林夜市はグルメ街の改装工事などで大きく様変わりし、このお店はいつの間にかなくなってしまったのでした。惜しいことをした。

写真も手元になく、同時期に台湾留学していた日本人の友人が撮影した貴重な写真を提供してもらいました。なので、不鮮明な点はご容赦を。

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▲結構激しく燃えているけど大丈夫なんだろうか

マッサージ店で見つけた「耳ローソク」を体験


台北っ子の友人たちに聞いてみても、士林夜市のこのお店のことは忘れてしまっていて、同じような店が今どこかにあるのかはわかりませんでした。でも、「耳燭療法」自体は知っていて、今体験できるお店を調べてくれました。夜市の店のようなワイルドな感じのではなく、マッサージ店のオプションメニューで見つかりました。

後で調べてわかったことですが、この「耳ローソク」は「イヤーキャンドル」と呼ばれ、世界のあちこちにある民間療法なんだそう。まあとにかくやってみましょう。
というわけで、台北駅にほど近い、きれいなマッサージ店を訪問。士林のお店は1回15分と書いてありましたが、この店の「耳燭(アルジュー)」は左右合計で40分くらいでした。

使うローソクは、夜市のお店よりもずっと細くておしゃれな感じ。

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▲「耳燭用」キャンドル。菜箸くらいのサイズ。


横向きに寝て、耳にローソクを挿します。ここではきれいなお姉さんがずっと手でローソクを押さえていてくれます。ロウや灰は落ちない特別なローソクなので大丈夫なんだそう。

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▲「耳燭」体験中。

メインはリラックス効果?


ローソクに火を付けると、ちり、ちり、とローソクが燃える音が小さく聞こえ始めました。熱いかと心配していたのですが、夜市のものに比べると炎もずっと小さく、ほんのり暖かいかな?という程度。むしろ、ローソクを押さえてくれているお姉さんの手のひらがあったかくて気持ち良かったというくらいです。

そして、「耳垢を吸い出す」との触れ込みとは裏腹に、何か吸われているような圧力は一切感じず。夜市のお店では、半分弱の長さまでローソクを燃やし終わった後、ローソクを開いて、中にたまった黄色っぽい大量の物質を「ほら、こんなに老廃物が取れましたよ!」と見せてくれるんだそうです。が、今回の店ではそんなことはなく、ローソクが燃える微かな音に耳を傾けつつぼーっとしていると、「はい、終わりです」と宣言されて終了。
うーん、何だか拍子抜けなくらい、あっさりと終わってしまったのでした。

いわゆる「イヤーキャンドル」については、様々な効果が謳われる一方で、外耳炎などのトラブルの原因となる可能性も指摘されており、あくまでも「民間療法」として付き合うべきもののようです。

気持ちよかったのは事実ですが、私はやっぱりあの夜市のような伝統的なお店で、太いローソクを耳に突き刺してみたいと思ったのでした。いつか台湾のどこかで見かけたら、絶対やってみるつもりです。自己責任で。

プロフィール

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松浦優子
東京都出身。Web広告ディレクターとして勤務後、ひょんな縁で台湾・台北に語学留学し、すっかり台湾に魅了される。帰国後に日本語教師資格を取得し、現在は外国人向け日本語レッスンや台湾現地ニュースの日本語翻訳などを手掛ける。その後も台湾には年数回のペースで訪れ、一年のうち約1か月は台湾に滞在。現地の友達との旧交を温めつつ、もっと深く台湾を知るべく取材活動を行っている。

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