時間栄養学 ~ いつ、何を食べるのか体内時計に合わせる ~

2016年01月25日

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私たちは、「今日は食べすぎた」などと、一日にとった総カロリーにばかり気をとられがちですが、同じ栄養でも摂る時間帯によってうまく消費されたり、脂肪となって蓄積されてしまったりするのです。鍵をにぎるのは、「体内時計」――私たちの生体リズムです。

いつ、何を食べるか意識していますか?


現代の私たちは、忙しさのあまり朝食を抜いてしまったり、夜遅くにたくさん食事をとってしまったりと、食生活が乱れてしまいがちです。朝ぎりぎりまで寝ていて朝食を食べる時間がない、睡眠不足で朝は何も食べる気がしない、などという話をよく聞きますが、これはおおいに問題です。朝食をとることは私たちの体にとって、とても大切だからです。
人の体には、「体内時計」という生活のリズムがあります。朝になると目が覚め、夜になると眠って一日の疲れをとる――たとえ時計を意識しなくても、自然にこのような流れで生活することができるのです。このような生活のリズムを「生体リズム」と呼びます。
この生体リズムは、一日24時間よりも少し長い周期になっているため、何もしないでいると、リズムが少しずつずれてしまいます。これをリセットして24時間周期に修正してくれるスイッチが、「太陽の光」と「朝食」なのです。
朝食も、ただ何か食べればいいのではありません。朝は肝臓が活発に働き、脂肪などの消化を助けてくれますから、ある程度のカロリーを摂ってもOK。ごはんやパンなどの炭水化物だけでなく、タンパク質もしっかり摂ったほうがいいのです。
朝食は一つの例ですが、このように、私たちの生体リズムに合わせて「いつ、何を食べるか?」を問題として捉え、研究している栄養学を「時間栄養学」と言い、健康志向の高まりとともに注目を集めています。

生体リズムに合った食事を


一日の生体リズムと食事について、もう少し詳しく見てみましょう。
前にも述べたように、朝は肝臓が活発に働くので、一日の活動のためにも積極的にカロリーを摂るべきなのです。そして、昼からは胃の働きが活発になってきます。昼食にも、朝食同様タンパク質を含んだ食物をたっぷり食べるのがおすすめ。夕方には膵臓の働きが活発になり、インスリンという糖質の吸収に働くホルモンの分泌が盛んになります。おやつを食べるのにちょうどいい時間と言えます。そして夜には老廃物の排出のため、腎臓の働きが活発になる一方、肝臓・膵臓・胃などの消化吸収に関わる臓器は休息モードに入ります。従って、臓器に負担をかけるような脂質の多い食事は避けたほうがいいでしょう。
もう皆さんおわかりかと思いますが、「一日に何をどれだけ食べるか」ではなく、「いつ、何を食べるか」というタイミングが問題なのです。

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このような栄養の摂り方は、将来病気になる可能性を減らすことを目的とした「予防医学」の見地からも、注目されています。生体リズムに合わせて生活を整えることで、メタボリックシンドロームなどを予防することができるというメリットもあるのです。
忙しい毎日のリズムを大きく変えるのは難しいものですが、まずは、朝食をしっかり食べて体内時計をリセットする、夕方の小腹がすく時間に「おやつ」を食べて夜の食べすぎを防ぐなど、始められることからトライしてみてはいかがでしょう。

プロフィール

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矢澤 一良(やざわ・かずなが)
農学博士。「日本を健康にする!」研究会会長。早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構、規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門研究院教授。1972年、京都大学工学部工業化学科卒。株式会社ヤクルト本社・中央研究所勤務ののち、東京海洋大学大学院ヘルスフード科学講座客員教授を経て、現職。日本機能性食品医用学会理事。地方および海外との産学連携プロジェクトにも熱心で、農林水産省・食品産業科学技術研究推進事業専門官でもある。

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