中高年からの毛髪再生(最終回)薄毛とホルモンの関係

2017年02月15日

 

皮膚科学の進歩により、髪の毛が生えてから抜けるまでのサイクルが明らかにされています。以前、脱毛予防・育毛のために行うことといえば、市販の育毛剤による頭皮ケアが中心でしたが、最近は「治療で改善する」という道も開けています。最終回の今回は、薬剤による治療について、藤田先生がどう考えているのかを含め、説明します。

 

ホルモンのイタズラが薄毛を加速させている

 

薄毛や抜け毛には男性ホルモンの働きが大きく関与しています。男性ホルモンにはいくつかの種類がありますが、代表的なものの一つがテストステロン。やる気や行動力、男性らしさなどの源になるものですが、このテストステロンは、5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンに変質します。DHTは毛母細胞の寿命を短くするため、別名「脱毛ホルモン」と言い、DHTが増えるに従い髪の毛のサイクルは短くなります。そして、額や生え際や頭頂部から薄くなるのが、いわゆる男性型脱毛症(AGA)。男性で薄毛に悩む人の多くはこのタイプです。


悪さをする物質がわかれば対策を立てることもできます。治療には、男性型脱毛症の原因となる5αリダクターゼを抑制する服用薬が使われます。現在、認可されているのはフィナステリド製剤、デュタステリド製剤。一定の効果も確認されていますが、いずれも前立腺肥大症の治療薬として使われていたのが始まりで、効果があれば副作用もあるため、藤田先生は薬剤を服用せずフサフサを取り戻したそうです。

 

薄毛を改善するために「亜鉛」の摂取を心がける

 

ポイントは脱毛のサイクルを断ち切ること。藤田先生が注目したのは亜鉛で、5αリダクターゼの働きを抑制する効果があります。ただ、亜鉛は不自然な摂取をすると過剰症を起こしやすいミネラルでもあるため、サプリメントではなく毎日の食事から摂取するのが肝心です。カキやレバー、牛肉、卵、ウナギ、玄米、納豆、煮干し、ゴマなどに含まれ、一つひとつの食材に含まれる亜鉛量は少量のため、毎日とり続けても過剰症になる心配はほとんどありません(摂取の上限は成人男性が40~45mg、成人女性が35mgとされる)。


ただし亜鉛は食物繊維と一緒にとると吸収を阻害されるので、藤田先生は亜鉛の吸収率を高めるビタミンCやクエン酸を含む食品(レモンなど)を加えるようにしたそうです。カキにレモン汁をかけて食べるのはこうした意味からも理にかなっているのです。

 

食事・運動・睡眠の改善で、フサフサを手にした

 

5αリダクターゼの働きを抑えると同時に、藤田先生が注意したのは男性ホルモンのテストステロンの量を維持すること。5αリダクターゼだけでなく、そもそもテストステロンの分泌量を減らせば、薄毛の改善につながると考える人もいますが、これは大きな間違い。男性の場合、20代をピークに男性ホルモンがジワジワと減っていき、40代を過ぎる頃から疲れがとれない、やる気が出ない、集中力の低下などの症状を覚えるようになります。同時に代謝機能が落ちて内臓脂肪が増え、メタボが進むケースもあります。髪の毛だけでなく、いつまでも若々しくエネルギッシュであるために男性ホルモンは欠かせません。


大切なのは、糖質の制限と亜鉛摂取を意識した食事。適度な運動。そして良質な睡眠。この3つを心がけることで藤田先生の薄毛は劇的に改善したのです。

 

<プロフィール>


藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)

 

1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。東京大学大学院医学系研究科修了。医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学と熱帯医学、感染免疫学。1983年に寄生虫体内のアレルゲン発見で日本寄生虫学会小泉賞を、2000年にはヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞を受賞。著書多数、『腸内細菌を味方にする30の方法』(ワニブックスPLUS新書)はベストセラーとなった。

 

 

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