いよいよ砂糖に「贅沢税」が?!-肥満大国アメリカの笑えない現実

2015年12月21日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第4回

料理にお菓子に…私たちの暮らしに必須の調味料、砂糖。肥満大国アメリカでは、その砂糖になんと税金を掛けることが検討されています。米有力紙ワシントンポストは「アメリカには砂糖税が必要」と題して、こんな記事を掲載しています。

膨れ上がるアメリカ人の体と財布

 

米国では肥満が深刻化しており、これまでにとてつもない数の肥満撲滅キャンペーンが打たれてきました。しかし、最近発表された米厚生労働省の調査によると、これらの努力は残念ながら徒労に終わったようです。米国の肥満率は2011~2012年で35%、2013年も38%前後に留まっています。2003~2004年からは6%も上昇しており、10年間で少しも改善されていないことがわかります。

同紙は、肥満によって起こる心疾患や糖尿病は米国にとって最大の悩みの種だが、これらの疾患はほとんどの場合予防ができ、次の10年で少しでも肥満率を下げることができれば数十億ドルもの医療費削減効果につながると報じています。

砂糖大国アメリカの選択

米国は砂糖の過剰消費国でもあります。米国食品医薬局(FDA)のガイドラインでは砂糖摂取量の推奨上限を1日の食事中10%(50g程度)としていますが、世界保健機関(WHO)の推奨量はその半分です。米国人の摂取カロリーの実に60%が食品に添加された糖分であり、砂糖の過剰摂取が問題の根源とも言えます。

肥満対策の一つとして、ミシェル・オバマ大統領夫人が生活習慣の改善を強く呼びかけています。メニューへのカロリー表示や、食品包装に添加糖分の量を表示しようという動きがあります。こうした取り組みは、健康的な食事をしようと頑張る人を傷つけずに広められる利点がありますが、一方で、特に肥満率の高さが問題となっている貧困層やマイノリティーの人々にはあまりメッセージが届いていないのも現状です。

この問題を解決するには、いったいどうすればいいのでしょう? 肥満につながる食事の需要を減らすのが有効ではないかという意見があります。その一例として専門家達が挙げているのが「砂糖入り飲料への課税」です。実際、メキシコ州では2013年に1人1Lあたりのソーダに1ペソの課税を行いました。これまでの見通しでは、ソーダの消費量が顕著に、それも特に貧困層の間で下がっているとのことです。もちろん、ソーダに課税することで他の砂糖製品に移る人がいることも否めません。そこで、国全域で砂糖そのものに課税してはどうかという意見まで出ています。

肥満の問題は米国の公衆衛生の危機であり、政府には説明責任があると同紙は締めくくっています。

日本も他人事ではない

 

 

実は、厚生労働省の有識者会議が2020年までにたばこや酒と並んで砂糖への課税強化を求める提言を出しています。ただ、砂糖は日本の重要な農業品目ですから、簡単に課税するのは難しいとも言われています。今後の動きに注目しつつ、砂糖との付き合い方を見つめ直すいい機会かもしれませんね。

 

 

参考記事:America needs a national sugar tax (The Washington Post; November 18, 2015)
厚生労働省 「保健医療2035提言」p35(平成27年6月)

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