太っていない人も内臓脂肪に注意!日本人はやせでも生活習慣病になりやすい

2016年10月18日

はぐれ薬学院生(♀)の “しみる” ひととき 第36回

 

「肥満は万病の元」と昔からよく言いますが、「自分はそんなに太っていないから」と安心していませんか?実は、日本を含むアジアの人は欧米の人より生活習慣病になりやすいんです。

 

肥満だと健康にどんなリスクがあるか

 

なぜ、肥満はよくないと言われているのでしょうか?

これまでの研究から、肥満になると以下の様な病気を発症しやすいことがわかっています。

 

<肥満になるとこんな病気になりやすい>

  •  糖尿病 
  •  脂質異常症
  •  高血圧
  •  変形性膝関節症
  •  睡眠時無呼吸症候群

 

これらのほとんどが命に関わる疾患であるため、肥満はよくないと言われているのです。

特に、糖尿病、脂質異常症、高血圧は要注意。それぞれが予備軍や軽症の状態であったとしても、複数の因子を持っているだけで、動脈硬化が起こりやすくなります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な心血管疾患を引き起こす確率が高まります。

 

脂肪にはお腹まわりにつきやすい「内臓脂肪」と腰まわり~下半身につきやすい「皮下脂肪」がありますが、肥満によって起こる様々な体の異常は、蓄積した「内臓脂肪」によって引き起こされます。

 

また、すっかりおなじみの言葉になった「メタボリック・シンドローム」 。これは、内臓脂肪の溜まり具合を見ることで、予備軍や軽症の段階から体の異常を見つけ出し、早くから対策を打つことで動脈硬化の悪化を予防するためにできた考え方なんですね。

 

 

ダイエッターにはおなじみ、BMIをおさらい!BMIは医学・疫学の研究にはよく使われる指標です

 

ダイエットをされている方にはもうおなじみ、BMI(Body Mass Index)をちょっとおさらいしましょう。

BMIは、体重と身長からおおよその肥満傾向を予測する指標です。

BMIだけでは脂肪や筋肉の付き方がわからないので、BMIだけで自分がメタボかどうかを判断することはできませんが、手軽なので日頃の健康維持の参考にはなりますね。

 

BMIの計算式>

BMI(Body Mass Index) = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

例:身長170cmで体重75kgの人は、BMI = 75kg ÷ 1.70m ÷ 1.70m = 25.95

 

 

ちなみに、体脂肪率の目安は下記の数値が知られています。

<健康的な体脂肪率の目安>

 男性 1520%

 女性 2025%

 

医学や疫学の研究では、肥満や体型の指標としてBMIが用いられることが多いです。

というのも、何万人~何百万人という多数の人数を解析するときに体脂肪率を一人ずつ測るのは現実的にムリがあるからなんですね(肥満や上記の生活習慣病そのものを研究する場合は、もちろん体脂肪率や血中コレステロール値、血糖値なども測定しています)。


ざっくりと体型別にグループ分けをして解析をする時にBMIはとても重宝する指標。BMIは、身長と体重という手に入りやすい数値から簡単に予測できるため、今後も研究で用いられると思います。

最新の研究論文を自分の健康に役立てたい場合は、自分のBMIを知っておくと良いでしょう。

 

 

数値が正常だからと安心してはいけない!BMIの“落とし穴“

 

ご自分のBMI、計算してみましたか?

日本ではBMI 18.5~25、が標準とされていますが、実は標準範囲内におさまっていてもBMI2325の方は注意が必要です。

 

これまでの研究から、日本を含むアジアの民族では、糖尿病にかかっている人のBMIの平均が2025と正常範囲内の数値であることが知られています。

また、メタボリックシンドロームもヒスパニック系の民族(欧米の白人の方)と比較してアジア人では正常数値でも起こりやすいことがわかっています。

 

私たちは民族的に太っていなくても生活習慣病が起こりやすい体のつくりなのですね。

 

最近、なぜアジア人では太っていなくても生活習慣病が起こりやすいのか、そのメカニズムの一端が日本の研究で明らかになりました。

順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターをはじめとする研究グループが行った研究では、30~50歳のBMI23~25の日本人男性を対象に、心血管疾患のリスク因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症)を「どれか1つもっている群」「2つ以上もっている群」「もたない群」の3つに分け、それぞれについて特徴を調べました。

 

その結果、リスクをもっている人の群では、骨格筋のインスリン感受性が低下し、インスリンに抵抗を持っている体になっていることがわかりました。また、このインスリン抵抗性は、体力の低下、生活活動量の低下、高脂肪食、肝脂肪軽度な蓄積、肝機能検査値の軽度上昇(数値は正常範囲内)のといった要素と関連がみられたとのことです。

 

 

体力がなく、日頃あまり動かず、食べ物が脂っこい…このような生活習慣の人は、肥満でなくても注意した方が良いかもしれません(インスリン抵抗性との因果関係はわかりませんが、感覚として気をつけたほうがいいな、と思いますよね)。

 

健康情報がグローバルになっても、私達の体から民族や遺伝の違いを排除することはできません。「数値が正常なうちは大丈夫」「海外ではこんな情報がある」、では言い逃れにすぎないのです。

 

秋は食べ物が美味しくなる一方、気温が下がりダラダラしやすい季節。日本人は生活習慣病になりやすい体、という意識を持って、日頃の生活を見直してみましょう!

 

出典・参考文献

「肥満と健康」e-ヘルスネット(厚生労働省)

Takeno K, et al. J Clin Endocrinol Metab. June 2016; jc20161650

 

 

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