アロマテラピーの薬理作用

2016年08月09日


西欧では民間薬として古くから利用されてきたアロマオイル。その原料となる植物でいちばん有名なのは薔薇の花びらでしょう。薔薇の花2トンから、わずか1キログラムのローズオイルしか採れないのですから、いかにこの精油が貴重か、おわかりでしょう。

 

精油(エッセンシャル・オイル)はどのように作用するか?


アロマテラピーで使われる精油は薬学的に充分、説明のつくものです。日本では、その薬効性や成分について詳しく説かれる機会が少ないように感じますが、西欧では「自然の医薬品」として広く認識されています。
精油は、大量の植物からわずかに採れるエッセンシャル・オイルです。たとえば、スペイン産オレガノの80%が、フェノールという化学分子構造を持ち、これは抗菌性を有しています。またクローブの精油に含まれるオイゲノールも、フェノールの一種で、ヨーロッパでは病院で防腐剤兼抗生物質として使われています。
たった1滴の精油の中に、大自然からの恩恵がもたらした、多くの異なる化学構造を持つ成分が凝縮されて入っていることを想像してみてください。
イギリスの著名なアロマテラピスト、ダニエル・ライマンは、その著書の中で、精油は天然の抗生物質としてバクテリアの繁殖を抑え、ウィルスを殺すだけでなく、身体の免疫系を強化する作用があると言っています。つまり薬効のある植物は天然の化学製造工場のようなもので、そこから抽出した精油はアルコールやエステル、フェノール、テルペンなど様々な成分を含み、防腐、抗炎症、抗ウィルスなどの作用が期待できるというわけです。

 

精油はどんな経路で体内に吸収されるか?


おおかたの精油は脂溶性であり、水よりも軽く、揮発性があります。では、精油が私たちの体内に入ったとき、どのような経路で吸収され、作用し、代謝・排出されていくのでしょうか? 次の図をご覧ください。

 


たとえば皆さんがラベンダーオイルでトリートメントを受けたとします。皮膚は、私たちの身体全体を覆う平均3㎜ほどの厚みがある器官です。精油は、角層から真皮に入り、皮膚の組織全体に拡散しながら、毛細血管に入っていきます。
ラベンダーオイルでトリートメントを受けると、この精油の主成分であるリナロールや酢酸リナロールは、数分以内に血中に溶け込み、体内を駆け巡って、約20分後には血液内で最大濃度となり、徐々に低くなっていきます。そして90分後には血液内から消えていきます(ブッフバウエル/1992年の実験による)。

ラベンダーオイルによるトリートメントや芳香浴は、安眠に誘う効果があります。実際にたくさんの事例があがっています。
次回は、精油の芳香成分が嗅神経を通じて人間の情動=大脳辺縁系と深く関わっていることをお話しします。

<プロフィール>
◆著者プロフィル 長谷川記子(はせがわ・のりこ)
1955年、茨城県水戸市生まれ。星薬科大学薬学部卒業、薬剤師。在学中より皮膚科、予防医学、香りに興味をもち、ガンや認知症患者を対象にアロマテラピーの実践とQOLの向上に取り組む。有限会社チェリッシュ・インターナショナル代表取締役。本稿は自著『ガンを癒すアロマテラピー』(リヨン社)からの引用、抜粋による。

 

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